2012.11.12 , 17:19

ツングースカ大爆発の謎、解明を待つ

ツングースカ大爆発の謎、解明を待つ

「ツングースカ大爆発」の謎について、「ロシアの声」日本語科のアーラ・ソロヴィヨワが、ロシア科学アカデミー宇宙学研究所宇宙学研究室主任研究員で数理物理学者のリディヤ・ルィフロワ氏にインタビューを行った。同氏はまた、2008年にモスクワで行われた国際会議「ツングースカ大爆発の100年」の参加者でもある。

   ツングースカで起きた爆発は、地球全体を揺るがすものであった。ルィフロワ氏はそう考えている。しかし、幾世代にもわたって世界中の学者ら、様々な分野の専門家らが研究を続けているにもかかわらず、この出来事に対する完全かつ包括的な説明には至っていない。

―ツングースカの事件を識別するために、我々はある呼称を用いている。「ツングースカの天体」というものだ。というのも、ポドカーメンナヤ・ツングースカ周辺の大爆発の原因になったのが、果たして小惑星だったのか、彗星だったのか、いまだ判明していないからだ。判明している確かなことは、ただ、1908年6月30日の早朝、半径50から100mの何らかの天体がエニセイ炭田地区上空の大気圏に突入し、南東から北西へ飛行し、急速に制動し、高度5kmから10kmの地点で爆発した。これだけのことだ。爆発は甚大な規模のものだった。TNT火薬10から15メガトン、また広島型原爆2000発分に相当する規模だ。

   タイガを燃やした閃光は数百km遠方からも視認された。また強力な衝撃波は周囲2000平方kmの樹木を薙ぎ倒した。大地は共振し、地磁気は乱れ、地震波・音波・重力波が発せられ、それらは世界中の天文台で観測された。続く数日間というものは、夜としもなれば、北半球全域で異常な現象が見られた:不自然に明るい夜空。奇妙にカラフルな朝焼け。夜光雲。こうしたヴィジュアルな怪奇現象にこそ、ちょうど、ツングースの天体の謎が隠されているのだ、とリディヤ・ルィフロワ氏は強調する。

―隕石の爆発によってこうした現象が引き起こされることはあり得ない。それに、もし隕石が落下したのなら、クレーターはどこか?隕石は重く、石や鉄から出来ている。100年がかりで探したが、クレーターは見つからなかった、隕石のかけらなど何ひとつ見つからなかった。かと言って、では彗星か?もし彗星が落下したのなら、火急の航跡、弾道軌道に沿って、細かな帯同物質が落ちていなければおかしいが、そんなものは見つかっていない。大気が異常に照らされたり、夜光雲が見られたり。これらは確かに隕石の爆発ということで説明できる。しかし、今手元にある限りの物理法則を総動員しても、どうしても、そうした現象が見られるためには、爆発は実際よりずっと高い気圏で起こらねばならぬ。つまり、高度30kmから40km。学者の多くは彗星説に傾いているが、いぜん謎は謎のままである。

   太陽系内の全ての小さな天体が、様々な謎に満ちている。それぞれ形、大きさ、化学組成、物理学的特性、寿命などで異なっている。彗星の核は硬い塵や氷で出来ている。彗星説に味方する人々は、ポドカーメンナヤ・ツングースカ上空で爆発したのは他ならぬ氷の核をもつ彗星だったと見なしている。いわく、当の彗星は超高温で融解し、地上に彗星本体の痕跡を残さなかったのだと。しかし、これも現段階では、仮説の域を出ない。ツングースカ事件の研究はこれからも続く、とルィフロワ博士は確信している。ところで、この事件の謎を解く手がかりは、事件の現場の地上ではなく、むしろ天空に見出される。学者らは現場を掘り起こすよりも、望遠鏡を空に向ける。小さな天体の秘密をことごとく解明できれば、いかなる訪問者が100年前地球を訪れたのがわかるというわけである。また、人類に危機をもたらすのがいかなる天体であるのか、ということも。

 

アーラ・ソロヴィヨワ
  •  
    シェアする