2012.11.30 , 11:03

世界的大洪水は、まさに世界規模のものだったのか?

   米航空宇宙局の専門家達は、今年の12月21日にこの世の終わりがやって来ることはないと、公式に声明を出した。これは、まさにこの日にマヤの古代暦が終わるため、もうすぐこの世の終わりが来るとの噂が広まっている事からくるものだ。しかし一連の宗教の信徒達は、それでもやはりこの世の終末はやって来ると確信している。

  では、その終末とは、一体どんなものと予言されているのか? ある説によれば、聖書に記されたような大洪水が新たに世界中を襲うのだという。しかし実際に、そうした大洪水はあったのだろうか? もしあったとしたら、それは本当に世界中に及んだものだったのだろうか?

 歴史学者から地質学者に至るまで専門家の間では、聖書に記された世界的な大洪水は「現実にあったと理解されるべきだが、それは世界的規模のものではなく局地的なものだった」と考えられている。つまり、ノアが住んでいた場所では、実際に何らかの大洪水が起きたという意見で、そこで言う「世界」とはノアが見たすべて、つまり彼個人が生活していた場所の全てに過ぎない。

 その一方で、大洪水は実際に世界中に及んだことを証明する事実も存在する。それは多層貫通化石と呼ばれるもので、まず第一に、堆積した地層を垂直方向に貫通する巨大な木の幹の化石である。数十メートルに達する厚みを持った地層は、常識的には何百年もかかって形成されるべきものであるが、木の幹が垂直な形で化石化した層は、わずか数日か数週間のうちにできたらしい事が分かっている。つまり「破滅の化石」とも言われるこの多層貫通化石は、まさに何らかの「破滅的」状況の結果できたという事だ。例えば、大洪水によって、巨大な森が一瞬にして飲み込まれるといった状況の結果である。

「破滅の化石」
 

origins.org

聖書の中に記述された洪水の事実は、貝や魚などの化石が、現在海からはるか遠い場所、それもエベレストも含めた山の頂上から発見される事も物語っている。この事は、古代には海が今よりもずっと深かった事を意味するものではない。山々は現在のように高くなく、大洪水をもたらした地球のマントル内部の緊張の結果、地面あるいは水面が隆起したのだ。また、一瞬にして死んだ様々な種類の動物の化石が多数まとまって見つかる事も、世界的な洪水が実際にあった事を裏付けている。

 こうした証拠を無視し、世界的な大洪水など非科学的だと斥ける事も可能だ。しかし、世界中の多くの民族の言い伝えの中に洪水伝説や神話が残っている事を、どう説明できるだろう。民族学者らは、北米の原住民の中に59、南米では46、中東で17、アジアでは23、古代ヨーロッパでも31、さらにはオーストラリアやオセアニアにおいても37を数える、大洪水に関する伝説を採集している。

「デフカリオンと彼の妻達は、巨大な船に身を隠した。そこへは、イノシシや馬、獅子や蛇など他の獣達もやって来たので、デフカリオンは、彼らを船に乗せてやった。」これは、古代ギリシャの神話からの抜粋だ。大洪水については、アポロドル、ヘラニク、ピンダー、ルキアンといった古代の作家達も言及している。

   小アジアには、大洪水との関係を誇る町、フリギアのアパメヤがあった。この町は、ギリシャ風にはキボトスと呼ばれていたが、これは「箱」とか「箱舟」の意味である。この町でかつて鋳造されたコインには、二人の人間を乗せ水面を行く箱舟が描かれていた。箱舟の隣に、男女一人ずつの人間が立っており、箱舟の上にはオリーブの枝をくわえた二羽の鳥、カラスと鳩が飛んでいる。そして箱舟には、ノアの名前がギリシャ風にノエと記されている。コインに描かれた二人の人間が、ノアとその妻である事は疑いが無い。

   キューバの原住民の間には「ある老人が巨大な船を造り、そこに自分の家族の全てとたくさんの動物を乗せた」との話が残っている。

「ヌウという男が、巨大なカヌーを作り、食べ物や動物、植物を集めて、それに乗った」―これは、ハワイの昔話だ。

 アステカの神話では「神は洪水を起こす事を望み、ノタと彼の妻に『巨大なイトスギを削れ。おまえはそれに乗り救われる。波は空までの高さになる』と伝えた。それで彼らは、それに従い、神は扉を閉めた」と書かれている。

   又フィージー諸島には「怒り狂った神ムベンガは、雨雲を集め、そこから水が重荷を負った地面に流れ出た」という神話が残っている。

   ウェールズでは「ある悪い小人のエイデンスが、ある湖を氾濫させ、世界中が水浸しになった」と伝えられている。同じような話は、遠く南太平洋のニューへブリデス諸島にもあり、そこでは「タガロという男の家の中庭に塩水の池があったが、子供達が悪戯をして囲いを壊してしまい、池の水が世界中を水浸しにした」とされている。

   さらにアラスカのエスキモー達は「大洪水は、見た事もないような大地震と一緒にやって来た」と考え、南米のインディオ達は「火山が噴火し、平地ではコルディレラが隆起し、空から熱いタールが流れるように降り注いだ」と伝え、北米のインディアン達は「大変動のあと、海はかなり長い間、凍りついた」という話を残している。なおオーストラリアのアボリジニーの言い伝えには、現代人の目から見ても決して作り話とは思えない興味深い記述がある。それは「大洪水の水が引いた後、珍しい数々の魚が残った」というものだ。これは恐らく、海の水が前代未聞の規模でかき乱された事で表面に上がってきた深海魚に違いない。

   こうした多くの言い伝えは、細かい点では差異はあるが、すべて3つの点で共通している。まず第一に、巨大な洪水があった事。第二に、人間や動物などを救った船が存在した事。第三に、救われた人間は、一家族数人だった事だ。

   最も少なく見積もっても、少なくとも一つ特徴的なディテール(ノイ、ヌウ、ノトといった名前の一致を含めた、いくつかの中にあるものではなく)において、213の言い伝えが偶然に一致する確率は、75万1,065分の一のチャンスである。そうした事が偶然起こるとは思えない。 ゆえに大洪水が世界的規模で地球を襲ったという事は、実際のところ真実だったと信じてよいのではないだろうか。

  •  
    シェアする