2013.02.28 , 13:59

日本の読者たちの保守主義は、保護システム?

日本の読者たちの保守主義は、保護システム?

世界では年を追うごとに電子書籍の人気が高まっている。今や電子書籍は、現代人の生活に欠かせないものとなった。

ロシアでは2012年、2011年比で2倍の200万台以上の電子書籍が販売された。この事実は、読書スタイルが変わっただけで、ロシアが今も世界有数の読書率が高い国であることを証明している。トルストイの長編小説「戦争と平和」は、バックの中でたくさんの場所を占めることはなくなった。地下鉄、飛行機の機内、待合室では、従来の紙の書籍に代わって、電子書籍を読む人の数が増えている。

  一方で、インターネット普及率の高い日本では、ロシアと違って決して電子書籍の需要が高いわけではない。日本の電子書籍の使用率は、先進国の中で最も低いという。米国の企業R.R. Bowkerが実施した世論調査によると、日本人の72パーセントが電子書籍を利用しようとしたこともなく、今後も利用しないと考えており、一度でも電子書籍をダウンロードし、お金を支払ったことがあるのは8パーセントの回答者のみだった。日本のソニーは、電子書籍市場へいち早く参入したが、電子書籍端末の販売台数は、7年間で50万台にすぎなかった。

   電子書籍だけではない。世界ではDVD市場が急激に縮小しているが、日本では従来どおりの高い需要がある。新聞もそうだ。先進国では新聞がバーチャル空間に移行しているが、日本では新聞が数百万部発行されている。その理由は何か?日本ではなぜ、デジタル化された情報よりも、紙の書籍、新聞、DVDを利用する人のほうが多いのだろうか?それは、日本人の精神性に関係があるのか?日本人にとっては、物理的な所有が重要なのだろうか?アレクサンドル・パノフ元駐日ロシア大使は、次のような見解を表している。

   「日本人は印刷された文字に信頼を置いている。ディスプレイに表示されたものは本物ではなく、紙に印刷されたものは真実であるという意識がある。そのためカフェでは、紅茶やコーヒーを飲みながら紙の書籍を読んでいる人たちの姿をみかけることができ、日本企業では未だにファックスが使用されている。日本では、ディスプレイに表示された文章よりも、印刷された文字のほうが重みを持っている。」

  ロシアおよび外国でPCや携帯端末用のゲームを販売しているロシアの企業「ユナイテッド・ファン・トレーダーズ」のアンドレイ・クプリャヒン総責任者は、別の見解を持っている。クプリャヒン総責任者は、次のように語っている。

   「私は、紙の書籍への愛着が、日本で電子書籍の人気が低い原因だとは考えていない。日本人の読書量は、ロシア人ほど高くはない。日本では、読書よりもゲームの人気のほうが高い。一人当たりの携帯型ゲームの消費額を比べた場合、日本はトップに立っているが、読書では違う。日本人はゲームに多くの時間を費やしているが、読書に関しては問題がある。新聞について述べるならば、日本人は従来の形式に慣れてしまったのだ。伝統に引かれる人もいるだろうが、私は、紙の書籍を手にしている日本人をあまりみたことがない。」

  ロシア国立人文大学の教授を務める高名な日本研究者のアレクサンドル・メシェリャコフ氏は、次のような見解を表している。

   「日本で電子書籍が受け入れられないことには、いくつかの心理的な要因が関係している。紙の書籍は、自分の歴史が刻まれた品物だ。なぜなら日本には、欧州よりもずっと古い紙の文化がある。そして日本では未だに書籍が大きな権威を持っている。日本人には、本に印をつける習慣がある。だが、電子書籍に印をつけるのは難しい。加えて、電子書籍に表示される文字は、美しくない。これは、とても重要だ。心と指で愛着を感じている漢字は、全く違うものに感じられる。電子書籍に対する感覚は保守的なものだが、日本人は、自分たちにとって価値のある品物や過去の思い出を保存しているのだ。」

  日本人に電子書籍を読む習慣をつけさせようとする試みは続いている。「アマゾン」のほかに、「グーグル」や「アップル」も、日本人の読者を対象にした電子書籍ストアの開設を準備しているという。これらの企業が、日本人読者の心をつかむ鍵を見つける可能性もある。

 

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