2013.03.25 , 14:30

露中、米国MDアジア展開への対抗措置を準備

露中、米国MDアジア展開への対抗措置を準備

   「モスクワと北京はMD(ミサイル防衛)に関する共同態勢の深化に一歩を踏み出した」。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と中国の習近平国家主席の共同宣言に、以上のように述べられている。この宣言は、モスクワにおける首脳会談の総括として発表されたものだ。両国首脳はまた、MDシステムの展開を見直すよう、国際社会に呼びかけている。

   米国は先日、そのグローバルMDシステムのアクセントを「北朝鮮によるミサイル攻撃への防備」ということに置き換える、という決定を下した。ミサイル迎撃装置をアラスカに14基追加配備すること、日本に2基目のレーダー探知施設を構築すること、同盟国である韓国のミサイル・ポテンシャルを高めること、などの発表がなされた。これに対し、ロシアと中国は共通の立場を固めた。モスクワと北京はともに、米国の措置は世界の戦略的パワー・バランスを壊乱するものだ、との確信を抱いている。それに、第一、米国は、極めて限定的な北朝鮮のミサイル・ポテンシャルに対して過剰な対抗措置を講じている。ロシア国防省ミサイル戦争本部の元課長、ヴィクトル・エシン氏はそのように指摘している。

   ―米国は、ロシアと中国の核ポテンシャルを低下させるためにこそ、グローバルMDシステムを拡大しているのだ。米国は、北朝鮮への対抗としては余りに不釣合いなものを準備している。であるから、中国の憂慮は至極妥当だ。米国の措置に反対する一方で、中国はパートナー国を探している。そこで、やはり同様にMDシステムに不満を抱いているロシアが眼に留まったのだ。

   MDに関し、ロシアと中国が、具体的にどのように行動を調整していくのか、専門家らも確たる予言を出来ないでいる。この点について、「ロシアと異なり、中国には、ミサイル攻撃を撃退するための複合的システムが存在しない」と指摘するのは、社会政治研究センター所長、ウラジーミル・エセーエフ氏だ。

   ―米国のMDシステムは、アラスカからオーストラリアに至る、巨大な弧を描いている。この弧の中には日本、韓国、フィリピンも含まれている。中国はこのMDの弧に多大な注意を向けている。なぜなら、この弧によって、中国の大陸間弾道ミサイル攻撃力は制限されてしまうからだ。

   ロシアと中国は、ミサイルによる挑発・脅迫に対し共同で対抗していくことにつき、合意を結んだ。これもやはり、プーチン大統領と習近平国家主席による首脳会談の共同総括宣言の中で述べられている。両国首脳は国際社会に対し、MD展開問題の見直しを求めているが、その「国際社会」の中には、日本や韓国も含まれている。日韓は自国領内に米国MDアジア・エレメントの設置を容している。政治研究センターのアンドレイ・ヴィノグラードフ所長はそう指摘している。

   ―多くの難問がある。たとえば、米国の最も緊密な同盟国という、日本と韓国の立場。その両者の立場の根底には、北朝鮮の核開発プログラムへの懸念ということがある。加えて、中国が経済的・政治的影響力を強めていることも、さらには将来における中国の外交政策ということも、日韓両国の政治エリートの間に危惧を引き起こしている。こうして見れば、米国の軍事プレゼンスの増大を日韓が歓迎するというのも頷ける話だ。おまけにその軍事プレゼンスの増大は、公式的には防衛的性格を持っているのであるから。とりわけ、中国とその近隣諸国の間に領土・領海紛争が存在し、それが昂じている状況下では、なおさらである。

   ロシアと中国は、既に長らく、MD問題に関する情報交換を行っている。現在、その力点は、共同行動の調整と強化という方面に移っている。共通の脅威、そして安全に対する挑発ということが、事実上、露中両国の協力関係を一層深化させる契機となった。習近平国家主席のモスクワ公式訪問で明らかになったこと、それは、MDシステムのごときセンシティブな問題を含め、露中両国が関係を新たなステージへ押し上げる準備が出来ている、ということだ。

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