2013.05. 4 , 16:45

北極のゴミ掃除

北極のゴミ掃除

   北極圏のゼムリャフランツァヨシファ(フランツ・ヨーゼフ諸島)にたまっている数千トンのゴミを一掃する一大清掃プロジェクトがロシアの学者・学生たちに実行される。オーガナイザーは連邦北極大学および国立公園「ルースカヤ・アルクチカ」。5月1日、参加者らは白海にのぞむ都市オネガに集まり、極地の複雑な環境における清掃作業の準備を開始した。6月にはゼムリャフランツァヨシファに出発する。

   ゴミ清掃特別使節は原子力砕氷船、ディーゼル船、ゴミ収集・再利用のための特別設備を載せた貨物船などの一大船団を組んで現地に渡る。ひと夏の特殊な実習として学生の一団が差し向けられるのは画期的なことである、とオーガナイザーのグリゴーリイ・コワリョフ氏は語っている。

   「選考は厳しいものとなった。倍率は4倍。応募条件として、21歳以上であること、学生使節団として活動した経験があること、肉体的に健強であることが求められた。結果、最良の代表団が結成された。折り紙つきの救急隊員、医者、環境学者が編成に加わっている。2ヶ月の作業期間、彼らはソビエト時代にゼムリャフランツァヨシファに建てられた施設の中で生活する。もっとも、既に改修済みではある。作業はつらく、厳しいものになるだろう。文明の恩恵は、ただ頭上を守る屋根くらいのものである。電話もテレビも現地にはない。また、学生たちの仕事はゴミの収集ばかりではない。建物を復旧させ、のちに観光施設として利用できるようにすることも課題のひとつである」

   ゼムリャフランツァヨシファはロシアで最も北に位置する群島である。1930年代に利用が開始され、90年代初頭には全ての施設が閉鎖された。諸島には機械設備や生活ゴミ、また膨大な量の使用済み燃料、工業用オイルが残された。近年、錆びた樽やタンクからソーラー油や灯油が少しずつ漏れ出し、地面に滲み、海洋に流出している。エコロジー的な大惨事一歩手前という事態だ。2010年4月、当地を訪れたプーチン大統領は、愕然とした。北極の白一面の大地のかわりに彼が目にしたのはゴミだらけの地面であった。大統領は一大清掃プロジェクトを手配した。清掃作業は既に、アレクサンドラ島およびグケラ島で行われている。その後続として、今年はルドルフ諸島、ヘイス諸島、ゴフマナ島、グレエムベル島でも作業が行われる。集められ、運び出されるゴミの総量は8000トンに上ると見られる。その一部を占めるのは使用済み燃料の入った数千もの樽である。国立公園「ルースカヤ・アルクチカ」のディレクター、ロマン・エルショフ氏は次のように語っている。

   「2012年の作業シーズンでは、小規模かつ予行的な作業しか行えなかった。今年はエコロジー的な大惨事を阻止する気構えでいる。いま、気候温暖化の影響で、海岸線が崩れかかっている。燃料のカスの山はその海岸線の間近にあるため、海洋に落ちてしまうかも知れないのだ。この危険な代物を取り除くことを、我々派遣団は予定している」

   北極圏の清掃には多額の国費が投入される。2012年から2013年は20億ルーブルが計上されている。しかし、副産物も得られるだろう。ゴミに混じってソビエト時代の様々な工作機械が発見されることになる。タンクローリー、ダンプカー、万能車、トラクターなどレトロ機械がエコロジー・ヒストリー・ミュージアムの陳列品となる。ミュージアムはアレクサンドラ島にオープンする予定だ。

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