2013.10.16 , 13:21

   モスクワのクレムリンにある博物館でロシア帝国の主要な象徴を集めた最大の展覧会が開幕した。これは16世紀半ばから最後の皇帝ニコライ2世まで続いたロシア帝国で皇帝の戴冠式の際に用いられたまばゆい宝物が飾られている。贅沢な衣装、頭部を覆った飾り、イコンなど、過ぎし帝国の歴史を語る貴重な資料、400点がそろえられ、3つのホールに所狭し、と展示された。

   4世紀にわたってこうしたロシア帝国の象徴は君主から君主へと手渡されてきた。展覧会の組織側は、皇帝の玉座にのぼる戴冠式の様子をあまなく見せるためには、すべてのディテール、必須アイテムに気を配らねばならないとしている。

   宝石をちりばめた枠飾りに収められたイコン。16世紀、イヴァン4世(イヴァン雷帝)の戴冠式のために書かれた。モスクワのクレムリン内にこのイコンが展示されたのは、今回が初めて。ロシア皇帝の中でも12歳と最も幼年で王座にのぼったピョートル2世の着た胴着。これは修復されている。ピョートル2世は世俗の衣装で戴冠式にのぞんだ最後の君主となった。ピョートル2世以降、ロシアの皇帝たちはみな、最も大事なセレモニーに正装の軍服を着るようになった。展覧会のキュレーターをつとめるエレーナ・モルジャコヴァさんは次のように説明している。

  「ここに展示されているものは、長年にわたる調査、修復の成果です。かなりの展示品が修復されて、新たな命を得ることができました。ロシア君主らが身に付けていたこの衣服ですが、これは以前はまったく見られる状態になかったものを、まさに布地の修復師らの努力のおかげで感動を呼ぶまでに蘇ったのです。」

   ロシアで皇帝の戴冠式に使われたすべての衣装を堂々と集めたこうした展覧会が開かれたのは、今回が初めて。ひときわ目を惹くこの女性用の戴冠式のマント。最後の皇帝ニコライ2世の母親、マリヤ・フョードロヴナの身に付けたこのマントは、息子の戴冠式に出席するために縫われたもの。重さ15キロのマントには、噂によれば900匹のオコジョの毛皮が用いられた。

   展覧会のキュレーターをつとめるエレーナ・モルジャコヴァさんはさらに次のように語る。

  「マントは皇帝一家の身に着ける衣装の中ではもっとも規模が大きなもので、それを展示する際にはいつも問題が伴います。それでも私たちはしかるべき空間を用意し、マントも他の権力の象徴もその偉大さを十分にお見せすることに成功したと思います。」

   古文書や絵画を通して、タイムマシーンに乗って、ロシア帝国のまばゆい時代に旅したかのような感覚が楽しめる。400年も前の古い書物には、ロシア初の皇帝、ミハイル帝の戴冠式がどのように行われたかが詳細まで記載されている。この本は、以前はまったく公開されていなかったが、今はページを繰ることも許されている。

   こんな豪華な展示品のなかでも、おそらく最も印象深いものはモノマフの帽子とよばれる戴冠式用の王冠だろう。モノマフの帽子は14世紀に作られた国権の象徴で、今までずっとクレムリンの武器庫博物館に保管されてきたが、今回、この展覧会のために初めて武器庫の外に出された。モノマフの帽子はいくつもの大きな宝石がちりばめられており、額に当たる部分が毛皮で覆われている。あまりも価値の高い国権の象徴に、これほど近くまで寄る機会が与えられたことは今までにはなかった。また女帝アンナ・イオアンノヴナの座った王座も展示されているが、これも2500個のダイヤモンドがちりばめられ、贅を凝らしたつくりとなっている。

   展覧会は来年1月22日まで。お正月までの間にロシアを訪問されるご予定の方々はぜひ、クレムリン内の博物館においでになって、ロシアの君主、皇帝らの身につけた象徴をご覧くださり、その歴史に思いをはせてください。

 

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