2014.01.13 , 18:25

ロシアの役人、贈り物の対価を払う

ロシアの役人、贈り物の対価を払う

   ロシアの役人たちは高価な贈り物を手元にとどめることを禁じられる。ロシア内閣は、国家公務員に対し受け取ったプレゼントを鑑定に出すことを義務付ける命令を発効させた。査定ののち、価額3000ルーブル以下の物品は手元に送り返されるが、それを越えるものは連邦ないし地方の公有資産目録に登録され、のち競売に出される。その際もとの持ち主である公務員には優先落札権が付与され、どうしても手元に起きたいものは購入することで晴れて自己の所有とすることが出来る。その購入代金は国庫に納められる。

   政府命令によれば、今後プレゼントを贈られた国家公務員は、プレゼントを受領してから3日以内、出先で受け取ったのであれば本来の管轄地に帰ってきてから3日以内に、特別コミッションに報告することを義務付けられる。その後は同じく、全権を付与された機関による査定が行われる。

   もしも贈り物が査定や競売の過程でその価値を失った場合には、その物は単純に、廃棄される。それから、役人は様々な機会に花束を受け取る。豪華な花束を受け取ることもあろうが、公式行事で受け取る花束・景品・オフィス用具などはプレゼントとは考えられないことが決まった。しかし、これが抜け道となる危惧もある。野党・ロシア自由民主党党首ウラジーミル・ジリノフスキイ氏は、政令の主旨に賛同しつつも、「手ぬるい」と批判している。

   「花だろうが菓子だろうが酒類だろうが文房具だろうが、あらゆるものをプレゼントと考え、禁止しなければならない。何らかの形態のプレゼントを許せば、そのプレゼントに封筒が忍び込ませられる。その封筒には5000ユーロとか、1万ユーロとかのお金が入っている。プレゼントという事実そおものが否定的な感じを引き起こす。私の書斎には張り紙が掲げてある。『プレゼントお断り、ハグお断り、キスお断り、握手もお断り』」

   異なる意見もある。高官といえども人間である。プレゼントの何が悪いか。幾世紀にもわたる伝統や、ロシア人のメンタリティが、ここには与って力ある。たとえば教師に対し、父兄から貰った菓子箱だの、劇場のチケットだのを査定に出させるなど、人道的なやり方とは思えない、と、ロシア連邦社会評議会のセルゲイ・マルコフ氏は語っている。

   「この政令の狙いは汚職対策であろう。プレゼントという名の贈収賄を禁ずるのが目的だ。なるほど公務員やその家族に自動車だとか、そういった高価な物品を贈るとなれば、これは問題だ。私はこの政令に賛成するが、それでも、私なら、違うやり方を取っていただろうと思う。全ての公務員に対し、受け取ったあらゆるプレゼントについて、直属の上司に当該プレゼントの写真を添えた書面の報告をするよう義務付ける、というやり方だ。これで何ら問題を起こすことなく上層部も職員たちの状況が把握できる。写真をとって、簡単な報告書を作るだけなら、簡単ではないか。わざわざ公設の鑑定所に持ち込んで、ちょっとしたプレゼントまで評価してもらうなんて、複雑すぎる。複雑すぎるシステムというのは、忌避される。役人たちは裏道を行くことを考えるだろう。贈り物というのは日常の事態だ。件数も多い。小さなプレゼントも大きなプレゼントも捌けるような妙手が必要なのだ」

   役人のプレゼントの監視というアイデアは、ロシアの独創ではない。外国の経験が多く参照された。英国では、250ドル以上のプレゼントを貰ってはいけないことになっている。これより高価な品物は、同様の価額のものを贈り返す意図がある場合にのみ受け取っていいことになっている。カナダでは、公務員は金額で表現可能なプレゼントは一切受け取ってはいけないことになっている。違反者は刑事罰の対象になる。

  中国では役人に贈ってはいけないもののリストが整備されている。違反は収賄罪と認定され、重大な場合は死刑もあり得る。

   米国では、連邦政府の役人および大統領は、外国人から価額305ドル以上のプレゼントを受け取った場合、書式の作成とともに、ナショナル・アーカイヴに収めることが義務付けられている。のち、手元に置きたければ、買い取る仕組みになっている。米国の上院議員は、一年間に300のプレゼントを受け取る、との推計がある。プレゼントの価額が75ドルを超える場合には、報告を上申しなければならないことになっている。一方、一年間に250のプレゼントを受け取るとされる下院議員の場合は、価額100ドルを超えるプレゼントについて報告を上申することになっている。地方公務員はというと、住民から50ドル以上の品物を受け取った場合、すでに収賄と見なされる。

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