2014.03.22 , 13:40

ロシア真珠の奇跡

ロシア真珠の奇跡

  ロシアの衣装や日常の家庭用品、イコンやを飾る民族工芸品は、川で取れる真珠によって美しく装飾されてきたが、その伝統がよみがえる可能性がある。ロシアの学者達は、川の真珠が採れるヨーロッパの真珠貝といわれるハマグリの一種が、これまで含まれていた保護リストからはずされ、採取が解禁となるチャンスがあるとの確証を得た。この話題になっている貝は、ここ数年、ロシア北方アルハンゲリスク州の川にかなりの数、繁殖していることが分かった。

   古来ロシアでは、川真珠の美しさが珍重され、その滑らかな乳白色の表面や柔らかな光沢が愛されてきた。

  ロシア科学アカデミー北方エコロジー問題研究所実験室のユリア・ベスパラヤさんは、ロシア北方の河川に生息する川真珠の研究をずっと続けてきた―

   「川真珠は、私達の誇りとするものです。かつて古代ルーシでは、北方の河川で採れたものが最高とされ、ツァーリに献上され、褒美を受けたものでした。美しい形で大きなものは、国が特別に保管しました。多くの古いイコンには、まさにこうしたアルハンゲリスクの川真珠が美しくはめ込まれています。」

    11及び12世紀からロシアでは、川真珠を使った刺繍が広まり、それを利用したアクセサリーなどの生産が盛んになった。

アルハンゲリスク州郷土史博物館のジャンナ・ペトリチェンコ学芸員は、次のように話している―

   「修道院では、聖職者の祭服や祈祷の際に用いるものばかりでなく、女性の被り物などの真珠刺繍もなされました。それはロシア女性の伝統的衣装の一部で、最も粒のそろった大きな川真珠によってすべてが装飾されました。そうした被り物は、当時牝牛一頭が3ルーブルだった時代に、1000ルーブルもしたそうです。ロシア北方の女性達にとって、川真珠は最高のプレゼントで、憧れの品でした。なお若い未婚の娘は、あまり派手な色合いでない控えめな首飾りをすることが良しとされたようです。」

   ロシア以外で川真珠が見られるのは、フィンランドやスウェーデンで、同じ北方でもノルウェーやバルト諸国、英国では稀だ。しかし欧州の川真珠は、絶滅の危機にある。一方ロシアでは、すでに20世紀初め、北方のコラ半島やカレリアの多くの河川では、川真珠を使った民族工芸が広く発展していたが、こちらでも乱獲や産業排水による川の汚染がたたり、川真珠の数は激減し始めた。

   現在、環境的には改善が見られるが、北方エコロジー問題研究所のユリア・ベスパラヤ研究員は「ロシアの河川に川真珠が完全に戻ってきたというにはまだ早い」と慎重だ―

   「とはいえ、かつてロシア北方の伝統的工芸品に欠かせなかった川真珠がよみがえる潜在力は残っています。アルハンゲリスク州の川に、川真珠が今も生息していることが分かりました。しかしその状況は、一様ではありません。ある川では、1平方メートルに1つ以下という少なさですが、真珠貝装飾復活が期待できるほどたくさん生息している川もあります。例えば、ソルザ川の一部の地区では1平方メートルあたり900個にも達しています。この数字は、大変高いものです。」

   このほか調査の過程で、魚の孵化場(養魚場)が川真珠の個体数を増やす助けになっていることが明らかになった。

 

     T.スムィスロワ

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