2015.01.23 , 13:26

日本はロシアとの平和条約を結ぶ気はないのか?

日本はロシアとの平和条約を結ぶ気はないのか?

日本はロシアとの平和条約締結に邁進する気はないのか? 先日表された岸田外相の声明からは、まさにこんな印象が拭えない。

岸田外相はベルギー訪問で現在のウクライナ状況を南クリルの歴史と比較するというリスキーなことをやってのけ、「ウクライナにおいて起こっていることも力による現状変更ですが、北方領土の問題もちからによる現状変更です」と述べたのだ。ロシア外務省は日本の外相のこの声明を「歴史をさかさまに覆す」試みと非難した。

ロシア外務省の発表したコメントには次のような文章が並んでいる。

「この声明に関して思い出していただきたいのは、世界における自国の支配を強固にしようとナチス・ドイツと手を組んだのがまさに軍国主義時代の日本であり、これらは第2次世界大戦開始前まで存在していた現状を武力を用いて破壊し、一連の諸国を占領したことである。

ところが今、岸田氏は、先日ドイツでウクライナのアルセーニー・ヤツェニュク首相が行なった声明を文字通り繰り返し、本質的には歴史を覆そう、戦争の原因と結果に対する共通した認識の理解の発展を否定しようとされている。我々としては、残念ながら日本政府は以前と変わらず、歴史の教訓を学ぶことを望んでいないと捉えざるを得ない。こうした歴史の記憶の喪失は第2次世界大戦における連合国の戦勝70周年の年にあって許されるものではない。」

日本外務省はロシア側との応戦を控え、岸田外相の声明への評価を的外れで「受け入れ難い」と評したに留まった。その理由はあたかも北方領土は「日本が1945年8月に(第2次大戦で無条件降伏を求める)ポツダム宣言を受諾し、その後旧ソ連軍に占領されたもの。これは事実である。岸田氏は歴史的事実を踏まえた認識を述べた」からだという。

ところがこれに対し、ロシア外務省モスクワ国際関係大学東洋学部学部長でロシア国際問題会議の専門家、ドミトリー・ストレリツォフ氏は、岸田外相の言及した「事実」は全く事実ではないとの見方を示し、次のように語っている。

 「1945年8月15日に日本の天皇が行なった降伏宣言にもかかわらず、日本軍は抵抗を続けていた。これはサハリン、クリル諸島でもそうだ。無条件降伏条約が調印されたのはようやく9月2日になってのことだ。このためロシアや他の諸国も極東での軍事行為を終結させたのは9月2日であり、日本の考える8月15日ではない。

 このほか、クリル諸島、もちろん南クリルもだが、ここは軍事占領を受けていた。つまりこの諸島における日本守備隊の武装解除は完全に連合国側の決定に沿ったものだ。特にスターリンとトルーマンの間では合意ができていて、トルーマンはソ連軍がクリル諸島の占領を行なうことに同意していた。

 これは戦争の論理から出たものであり、日本守備隊の武装解除の論理、占領ゾーンにおける日本分割の論理から出たものだ。このことから、ソ連がクリル諸島を不法に占領したというのは正しくない。」

岸田外相がウクライナとクリル諸島の状況を比較するに至った原因について、ストレリツォフ氏は次のような見解を持っている。

「全体から見て、ウクライナ危機やそれに対する欧州の反応のコンテキストにおいては、日本は今ロシアに対立的感情を持ち続けているようだ。西側との連帯を示そうとしているのかもしれない。

岸田氏が個人的見解を述べたとは思えない。なぜならこれだけのレベルの政治家であれば、いかなる声明も公式的性格を帯びるからだ。おそらくこれは、この段階で日本人には平和条約問題、プーチン大統領の訪日問題についての政治対話の早急な再開の可能性は見えていないのだろう。」

ストレリツォフ氏はこう述べながらも、日本は未だにかなりプログマティックな立場を維持し、その国益に直接触れないような問題に関しては行動を控えていることを指摘した上で、日本が対露関係で立場を硬化させたと性急な判断を出さぬよう呼びかけた。ストレリツォフ氏はクリミア、ウクライナ問題は日本とは直接的な関係を持たないとの見方を示している。

これより少し前、ロシアのラブロフ外相はウクライナ危機が露日関係に影響を及ぼすとして、次のようなコメントを発表している。

「昨年、この(露日)関係が凍結されたのは悲しいことだ。それはまず、日本も対露制裁に加わらざるを得なくなったことに起因する。とはいえ、(日本の制裁は)西側世界の他のメンバーのようなアグレッシブなやり方ではなかったが。

日本が反露縦列に加わらざるをえなくなったこの事件の犠牲となったのは、様々なレベルにおけるコンタクトも同じだ。我々はこれに対して冷静な姿勢をとっている。本音ではもちろん、政府間委員会の作業も、『2プラス2』フォーマットも再開したいところであり、日本の外相の招待も行いたいところだが。だがこれは我々には依拠していない。」

プーチン大統領の訪日の可能性については、ラヴロフ外相は、日本側がすでにロシア大統領へと送った招待状に補足して具体的期日を挙げ次第、ロシアはその具体的期日に反応を占めすと答えている。

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