2015.02.17 , 17:01

塩原俊彦、露米に振り回される日本人(本当に悪いのは米国、ロシアはシロ)

塩原俊彦、露米に振り回される日本人(本当に悪いのは米国、ロシアはシロ)

ウクライナ危機の責任はロシアではなく、米国にある。昨年末に発刊の『ウクライナ・ゲート』の帰結はずばり、こうだ。著者、塩原俊彦氏は有名な研究者。今回、ウクライナ情勢をめぐる独自の視点をラジオ「スプートニク」のアンドレイ・イヴァノフ記者からのインタビューに答え、次のように語っている。

この本のなかには悪いのは米国だと書かれていますが、本は1000部刷っていますが、全部売り切れています。要するに1000部売れて読まれたくらいでは、米国が悪いということを知っている人はほとんどいないということです。マスメディアによって騙されているんだということをより多くの人にわかってほしいんです。

SPUTNIK:政治家たちは一般にウクライナ危機の原因はロシアだと主張します。民主主義を求め、ロシアの圧力から逃れようとするウクライナに欧米は協力し、これを解放せねばならないと。この中ではロシアは悪者です。ですが、あなたのご意見は普通の日本人の見解と異なっていますね。

だから、それは普通の日本人が間違っているんです。それをこの本で言いたかったわけです。

SPUTNIK:ですが、日本人にはこうした見解は奇妙に見えるでしょうね。この著書によって、日本人に伝えたかったことはなんですか?

私はヴァルダイ・クラブのメンバーで、プーチン大統領と会食もしていますが、プーチンのことをいいとは書いたことはありません。10年以上もロシアを研究していて、プーチンには問題があるとも書いてきました。

ただ今回のことはロシアが仕掛けた話ではなく、米国が仕掛けたことですから、米国が悪いと、事実を事実として書いているだけです。

プーチンのために何かをやっているわけではなく、私は学者として、真実を調べて書いているだけで、今回の事件に関しては2013年の11月からの動きや、極めて有名なヌーランドとウクライナ大使の会話や2月11日の協定を巡る問題とか、いろいろなことをきちんと調べていけば、誰が考えても今回の事件は米国が仕掛けたとしか考えられないわけです。

にもかかわらず西側の人の多くは、ロシアが仕掛けた、ロシアが悪いと思っている。これは全く違う。

なぜこの本を『ウクライナ・ゲート』と名づけたかというと、その昔「ウォーターゲート事件」がありましたね。ウォーターゲートビルというのは民主党の本部が入っていたビルで、これはニクソン大統領の起こしたスキャンダルでした。

今回の事件はオバマが起こしたスキャンダルであることをこのタイトルで私ははっきり表したわけです。悪いのは米国だと。これは事実なのです。

SPUTNIK:この危機における米国の目的は何だったと思われますか?

基本的に米国はジョージ・ダブル・ブッシュの時代からいわゆる新保守主義、または新自由主義ともいいますが、これが大きな力をもっていて、つまり市場を重要視し、強い米国が世界を牛耳るために市場をどんどん解放していき、米国の支配を強めようという勢力がもともと強かったわけですね。イラク戦争も米国が引き起こしたのですが、そのときはジョージ・ダブル・ブッシュ大統領の国防総省、国務省に新保守主義の人がたくさんいたのですが、この人たちはイラク戦争後、評判をおとし、どんどん抜けていったのです。

しかもオバマ大統領になって共和党から民主党に大統領が代わった。しかもオバマは『チェンジ』といって代わった。これによって米国は大きく変わると誤解する人がたくさん出てきた。

ところが実際米国の政治を握っているのは軍であり、産業界、官僚、学会であったりするのです。こうした人たちは変わりません。したがって、オバマ大統領になっても米国の基本的政策は変わっていないのす。

特に彼らの中でヒラリー・クリントンは国務省の長官もやっており、彼女は新保守主義に近い考えをもっていたがために、国務省のなかには新保守的な考えを持った人たちが生き残っていたんですね。

その代表例は国務次官補をやっているヌーランドっているユダヤ系の女ですが、この人なんかが残っていたがために、2005年のユーシェンコ政権樹立をしくんだりしていた連中が、米国務省内で一掃されず、残っていて、しかも米国産業界も官僚も学会もそうですが、新保守主義、新自由主義的思想を持っている人たちが強いままの状況です。

今回たとえばシリアへの化学兵器をめぐる空爆を2013年の夏にオバマはやるとテレビ演説しておきながら、ロシアが一生懸命空爆をやめさせようと話し合いに入って、これを止めたわけでしょう。これは米国の支配層から見ると、せっかく戦争をやるいいチャンスだったのに、何でお前は止めたんだ、という事態が起きたわけですね。

あるいは、2013年より前の段階では、本にも書きましたが、盗聴事件をばらしたスノーデンさんをロシアが匿いましたね。これによってオバマとの関係は2013年の段階がすごく悪くなっていた。

2013年の11月12月にヤヌコーヴィチがEUにはいるとか入らないとかでもめていましたが、その以前の段階で米国はウクライナ政府内のナショナリストらを焚き付けて、ヤヌコーヴィチ反対勢力として、ソーシャルネットワークサービス、SNSというものを使い、たとえばケーブルテレビであるとか、ツィッターとかアラブの春を演出したときに用いた、政府の規制を受けていないメディアを用い、反政府活動をする同じ手法をウクライナに導入し、ナショナリストを焚き付けたわけですよ。

それで2013年の11月からヌーランドはキエフのマイダン広場にまで出かけていき、クッキー配って『がんばりなさいよ』って応援するような馬鹿なことを平然としてきたんですね。

本にも書きましたが、日本の霞ヶ関の官庁街で今でも反原発の運動をしている人たちがピケをはっていますが、そこに中国外務省の幹部が訪れたのと同じなんだ。そういうことを米国政府は平然とやってきたんですよ。

その結果として、2月11日の段階ではオバマ・プーチン両首脳の電話会談で合意した内容をヤヌコーヴィチと反政府勢力の3人の代表者とドイツ外相、ポーランド外相、フランスの外相代理が見守るなかで協定を結んだんですよ。なのにそれが右派セクターの無謀な手法のために、ヤヌコーヴィチが逃げ出すという結果になりましたね。

常識的に考えれば、ロシアが主張するように2月11日の協定の段階に戻すのが筋

というものでしょう。なのにそれをしなかった。つまり右派セクターの行なったことを承認したんですね。これがゆえに現在の事態が引き起こされているんですね。

これはまさに、米国がナショナリストを煽動し、ヤヌコーヴィチ政権を倒したことで、こういう事態になってしまったわけですね。しかも米国の心ある政治家らがいうように、ヤヌコーヴィチは民主的に選ばれた大統領であったわけですから、いくら腐敗しているとはいえ、暴力革命で倒していいはずはないのです。

そのあとの、ロシアによるクリミア併合にしても、実際を調べれば分かるように、右派セクターがほうぼうで暴動まがいのことをおこしていたわけですから、クリミア半島に暮らすロシア人だか、ウクライナ人だがわかりませんが、住民を助けるためには、併合しなければ、今のルガンスクやドネツクと同じように何十万もの人が殺されていたかもしれないんですよ。

その生命を誰が守ったのか? プーチンが守ったんですよ。そのどこが悪いんですか? その原因を作ったのは、米国がナショナリストを焚き付けたから悪いんでしょう?

キューバの近くのグアンタナモ基地を米国は100年以上も支配して、返せ、返せといわれても返していない。そういうことをやっている国がクリミア併合を非難する理由はあるのか? 

基本的に見て行くと、どう考えても米国が悪いわけですよ。にもかかわらず、欧米のメディアはそういう批判はできない。特にドイツとフランスですね。2003年のイラク戦争のときにはドイツのシュレーダー首相とシラク仏大統領はイラク戦争に反対し、ジョージ・ダブル・ブッシュと対立ということを立派にやった。

ところが今回のメルケル、オーランドはそういうことができない。ここにも大きな問題があります。彼らは、これは米国の仕掛けた、とんでもない戦争であることは重々承知しています。だって、2月11日の会談でそれぞれの外相がちゃんと見ているわけですから。

2013年12月に米国は欧州、日本の政府に対し、ソチ五輪開会式に出席するなという圧力をがんがんかけた。メルケルは米国がとんでもないことを準備していることをよく知っていたので、2014年の1月になって、開会式に出ないことをようやく明らかにしたのです。それくらいメルケルは悩みに悩んでいた。

日本の安倍は北方領土の問題もあり、あまりプーチンと対立したくないという思惑もあって出席しましたけど、他の欧州諸国は、この段階で全て米国の圧力に屈してしまっているわけですね。

こうした背景があって、各国のメディアはまあ、ユダヤ系が牛耳っているせいもあるんだろうけれども、多くの人は怖くて米国批判ができない。

SPUTNIK:ですが、欧米にいるジャーナリストが欧米のリーダーを批判することはありますよ。

もちろん。でも、それが少なすぎるから問題だといっているんです。日本でも同じ状況があって、要するに米国が悪いという人は私以外いないくらいですよ。

SPUTNIK: この本が日本の世論に何らかの働きかけを行なうことはできたでしょうか?

それは心ある人に刮目(かつもく)することはできたでしょう。つまり、この本を読み、報道に騙されていたことに非常に驚き、そして感動したでしょうね。

SPUTNIK: 部数を増やすことは出来ますか?

これは昨年11月に出ていますから、新たに書き加えた保蔵版を出すかもしれないんですが、今話し中ですね。

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