2015.03.19 , 14:59

日中韓、プロブレマティックな三角関係

日中韓、プロブレマティックな三角関係

ソウルで21日、日中韓三カ国外相が3年ぶりに一堂に会する。三カ国首脳会談へ道を開くものとなることが期待される。最後の首脳会談が2012年5月に行われて以来、日韓・日中の関係は、領土紛争や歴史問題で著しく悪化した。

この間の三カ国関係は食い違いと相互非難、相互挑発で錯綜を極めていた。外相会談で関係を改善し、紛争勃発の瀬戸際という状態から脱することが出来るだろうか。ロシア科学アカデミー世界経済国際政治研究所の日本専門家、ヴィターリイ・シュヴィトコ氏は次のように見ている。

「政治レベルの緊張が高いので、事態の早期改善は望み難い。2009~2010年、日中および日韓の領土紛争が先鋭化した。歴史問題をめぐる古くからある問題も高度に政治化し、それが社会全体の空気に拡散している。歴史問題とは、具体的には、第二次世界大戦の経過と、その結果に対する評価をめぐる問題である。太平洋戦争終結70年が近づく今になって、次々に、大量に、また小止みなく、声明とか、示威行動とかが示されている。また三カ国が三カ国とも、相手方の行動を「脅威」と規定し、国防予算を増大させている。しかしながら、それでも、三カ国の政府は、「このままどこまでも進むわけにはいかない、関係改善へと回帰しなければならない」と理解している、という感じはする。三カ国はこの主題において一致する。また、韓国、日本、中国が、自由貿易圏の設置で合意するということ。もう何年も盛んに議論されてはいたが、折からの政治関係悪化で、交渉は休止を余儀なくされていた。その協議を再開する方向で、何らかの試みが、きたる外相会談ではなされるかも知れない。なにしろ三カ国が三カ国とも、関税障壁の引き下げと相互投資の活発化を、きわめて重要なものと見ているのである」

日中韓の三カ国が経済関係で緊密に結ばれ、それが断ち切られるのは誰の利益にもならない、というのは本当だ。そして、アジア太平洋地域の情勢がかなり緊迫化している中で会談が行われるということそれ自体が、肯定的に受け止められることだ。しかしながら、楽観は禁物だ。今週、またしても、中国船が尖閣諸島近海に姿を現した。日本の菅義偉官房長官は例によって、「日本は尖閣諸島に対する自らの主権を引き続き主張していく」との声明を出した。それと呼応するように、日本外務省のサイトには、1969年に中国政府が発行したとされる地図が掲載された。その地図には、問題の諸島は、日本の「尖閣諸島」という名前で記載されている。日本側の主張では、これこそ、その近海に天然ガスが埋蔵されていることを知るまで、中国自身が尖閣を(釣魚台でなく)尖閣と呼んでいたことの証である。これに対して中国は即座に反応を示した。中国外務省のフン・レイ報道官は、ただの地図一枚では証拠不十分とし、日本側の主張を退けた。このような現状で、三カ国外相は、腰を落ち着けた交渉を行えるのだろうか。また、何について話すことが出来るというのだろうか。ウラジオストク・ロシア戦略研究所アジア太平洋研究科のピョートル・サモイレンコ代表は次のように語る。

「話すべきことは沢山ある。対立点を抱える三カ国が互いに接近するなら、それは大いに歓迎すべき事柄である。しかし、おそらく、出てくるのは、地域における共通の安全保障問題には踏み込まない、二国間問題の解決に向けた一定のアプローチ程度であろう。私見では、対外政策や軍事協力、領土問題、経済といった分野の、ローカルな問題については、つまり、具体的にこの三カ国に関わりのある諸問題については、議論が及ぶだろう。たとえば、中国と日本は諸島の領有問題で露骨に対立しているが、会談はソウルで、つまりは中立的な場所で行われるのである。韓国が仲介役を果たせるかも知れない。同じ具合に、日本が中国と韓国の間の問題について、仲介役を果たせるかも知れない。こうしたやり方で、色々な問題を話し合うことは出来るだろう。しかしそれでも、会談の結果として、北東アジアの安全保障構造全体が変化を促されるようなことは、あり得ぬ。それはこの交渉が、他のキー・プレイヤーが参加しない交渉だからである」

補足すれば、韓国と中国の間には、米国の対ミサイル装置THAADの韓国配備計画という問題もある。韓国側は「配備の意向はない」としているが、中国側は不満と警戒心を緩めていない。もし三カ国外相会談が実現し、何らかの合意が得られたとしても、相互挑発や舌戦がただちに止むことはあるまい。重要なのは、危ない一線を越えないことである。

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