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    K-324:米海軍に屈辱を与えたソビエト潜水艦

    K-324:米海軍に屈辱を与えたソビエト潜水艦

    © 写真: Public Domain
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    高価な機密装備を損傷させたことにより多くの米海軍高官が免職されたがとりわけ米国が憤懣を募らせたのはそれら装備がソビエト海兵の手に渡ったというニュースであった。

    30年前のこと。冷戦の真っ盛りだ。1983年の秋、多目的原潜K-324(NATOのコードネームはヴィクトル3、ソビエトではシューカ)が西大西洋を巡視していた。

    10月31日、ソビエト潜水艦がサルガッソー海に米海軍の最新鋭巡洋艦マックロイを発見。同船は最新鋭対艦探知システムTASS(Towed Array Surveillance System)の試験を行っていた。演習上の標的として選ばれたのは米国の原潜フィラデルフィア(SSN-690)。米艦の乗組員らは演習にもう一人の参加者がいることなど疑ってもみなかった。ソビエト潜水艦K-324だ。同船は航行音を消して隠密裏に米巡洋艦に近づき、その頭部にとりついた。それから14時間というものソビエト潜水艦は技術的諜報を行い、秘密の潜水艦アンテナのパラメーターを測定した。

    熱帯暴風雨で米艦の演習は困難になり、中止された。マックロイ号は急に方向を変え、基地へと急ぐ。ソビエト潜水艦の船体に奇妙な振動が走った、と長年ののち、当時の一級船長アレクサンドル・クジミン氏は記者らに語っている。

    「メインタービンが故障した。原子炉もタービンも、非常用防護装置が作動。浮上せざるを得なかった。浮上し、熱帯暴風雨の真っただ中に入った」。

    こうなった原因は浮上してはじめてわかった。潜水艦に、探査機のついた長大な金属製のケーブルという形状の、米艦の機密アンテナが巻き付いていたのだ。この遭難船の救助にハバナにいたソビエト船アルダンが出動した。

    しかし先にそれを見つけたのは米駆逐艦ピーターソンおよびニコルソンだった。両艦は紛失した機密装置の捜索を行っていたのだ。潜水艦が拿捕されることを危惧したK-324の船長は、自爆準備を整えるよう命じた。しかし事は公海上で起こっており、米艦は潜水艦の周囲でしか行動できず、不運なアンテナをネジで断ち切ろうと遠巻きに試みるしかなかった。

    やがてこの危険なゲームに米潜水艦フィラデルフィアが駆け付ける。同船はソビエトの潜水艦に近づき、その真下に入った。そして、どうやったものか、ソナーつきのケーブルを船体に巻き付けることに成功した。

    そうして悲喜劇じみた状況が出来上がった。敵対する2隻の原潜がまるで綱引きを争うような格好になった。終いには強化ケーブルが引き千切られ、フィラデルフィアは自らの船体に巻き付けたソナーつきカプセルを丸ごと奪い去ってしまった。しかしK-324のネジにはまだ400mにもおよぶ機密低周波アンテナが残されていた。

    急行したソビエト船アルダンがK-324を牽引し、キューバに連れ帰った。ネジから巻き取られた米国のアンテナは特殊軍事航路でモスクワに送られた。K-324は再び大西洋のパトロールに復任した。

    のち明らかになったところでは、当時のロナルド・レーガン大統領はこの件について報告を受けると、海軍の高官数名を解雇するよう命じた。議会は翌1984年度の軍事予算で、海軍の学術調査諜報の割り当て額を25%削減した。ロシアに機密のすべてを渡してしまうような海軍の活動に渡す金などない、というわけだ。

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