18:00 2020年10月20日
社会
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2019年の話題を総括 (17)
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貿易や石油をめぐる経済戦争は、対立する国々のリーダーたちに妥協点を探すことを余儀なくさせ、英国の首相はテレーザ・メイからボリス・ジョンソンにとって代わり、パリのノートルダム大聖堂の火災の後には新しい尖塔ができ、アマゾンやシベリアでの大規模な森林火災は、深刻な環境問題に人々の意識を向けさせた。スプートニクは、実にたくさんの出来事で満ちていた2019年を、読者の皆さんとともに振り返る。


貿易戦争:戦いはまだ続いている

2019年、米国と中国は、両国の間に入っている亀裂を深めた。しかし年末にかけて両国は、貿易交渉の第一ステージで合意に達したと発表。12月19日、米国のスティーブン・ムニューシン財務長官は、来年初頭にも、両者が貿易協定の第一フェーズにサインする用意があると述べた。中国は米国製品とサービスをより多く購入することを約束。そして両者は、現段階で追加の関税を導入しないことでまとまった。ただし、これ以前に導入された関税は引き続き効力を発している。トランプ米大統領によれば、米中は間もなく貿易協定の第2フェーズに関する交渉を開始する予定だ。

© AP Photo / Ahn Young-joon
韓国 日本製品不買を呼びかける集会

今年、第二次世界大戦時の日本による韓国支配、軍国主義をとっていた日本に対する韓国側のクレームにより、日韓関係は先鋭化した。韓国の裁判所は、徴用工訴訟で新日鉄住金に賠償を命じた。新日鉄住金はこれを拒否したため、裁判所は韓国における同社の資産の差し押さえを認めた。日本は、スマートフォン製造にとって欠かせない化学製品の韓国に対する輸出規制を強化し、韓国をホワイト国から除外した。

韓国は軍事情報包括保護協定(GSOMIA)からの離脱を表明。しかし、何度にもわたる議論のあと、韓国はGSOMIAの失効期限だった11月23日の直前に一転して継続を表明し、日韓は協定を維持することにした。


非核化は後回し

金正恩委員長 韓国の聖なる山
© REUTERS / KCNA
金正恩委員長 韓国の聖なる山

北朝鮮をめぐる問題は2019年、袋小路にはまりこんだ。2月にベトナム・ハノイで行なわれた米朝首脳会談は物別れに終わり、米国は北朝鮮に対し、核兵器を放棄するためにより決定的な行動を要求した。しかし北朝鮮は、米国は、北朝鮮が行なっている非核化のための自発的な措置に応じて、何もしていないと述べた。5月から11月にかけて北朝鮮は、13の短距離および中距離ミサイル実験を行なった。 結果、12月12日に行われた国連安保理会合で米国は、シンガポール共同声明を実現できるよう、北朝鮮の提案を検討する用意があると明らかにした。

そして、ブレクジットも後回し

© REUTERS / Dylan Martinez
テレーザ・メイ前首相

テレーザ・メイ前首相によって主導されたEUからの英国離脱プロセスは、今年3月29日に開始されるはずだった。しかし、議会はこれを拒否し、一年中何回も、ブレクジットの日付は繰り返し延期されてきた。メイ氏は妥協点を見つけられずに、辞任を発表。 7月24日、ボリス・ジョンソン氏が英国首相に就任し、10月31日にブレクジットを実施すると約束した。しかしまたもや議会が行く手を阻んだ。議会は、2020年1月31日まで、EU離脱交渉を3ヶ月延長する法律を可決したのである。これに対しジョンソン首相は、エリザベス女王に議会の一時中断するよう要請し、認められた。ジョンソン首相が公約を果たすことができず、しかも、議会を中断する決定が違法であるにもかかわらず、ジョンソン氏率いる保守党は12月12日の議会選挙で記録的な支持を得た。


石油をめぐる戦争

5月、アラブ首長国連邦外務省は、領海近くの4隻のタンカーに対する「破壊行為」を報告した。 6月13日、オマーン湾でさらに2隻のタンカーが攻撃された。証拠がないにもかかわらず、米国と英国はイランを非難した。 1週間後、ホルムズ海峡付近で、イラン軍の組織・イスラム革命防衛隊が、RQ-4グローバルホーク偵察ドローンを撃墜した。これは米国がイランに新たな制裁を課す口実となった。

7月4日、英国海軍がジブラルタル海峡でイランのタンカー「グレース1」を拘束したことで、新たな紛争が勃発。イランは対シリアの制裁体制に反したとして非難された。これに対抗し、7月19日、イスラム革命防衛隊は英国のタンカー「Stena Impero」を拘束。 8月、ジブラルタル当局は「グレース1」の乗組員を釈放し、米国による船舶没収の要求に応じず、「グレース1」を解放した。 9月16日、イラン外務省はとその乗組員に対し、同様の決定をした。

石油戦争」は、タンカー事件だけに限らない。 9月14日、サウジアラビアの二つの主要石油施設が、イエメンのフーシ派武装勢力のドローンによって攻撃された。この事件は、莫大な軍事費と米国製のパトリオット防空システムにもかかわらず、サウジのインフラが脆弱であることを示した。 この結果、数日間、石油生産を半分以上削減することを余儀なくされた。米国は、この攻撃にイランが関与していると主張した。


ウクライナに新大統領誕生
© AP Photo / Zoya Shu
ゼレンスキー氏

ウクライナでは、2019年に新大統領が誕生した。 テレビタレントのゼレンスキー氏が、73.23%の得票を獲得し、前大統領のポロシェンコ氏を上回って当選した。5月の新大統領の就任は、2014年から軍事作戦が続いているウクライナ東部における和平プロセスの再開に希望を与えた。ドンバスでの紛争を排除するという約束は、彼の主要な公約の1つだった。 12月9日には、ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスによる、ノルマンディー4者協議が開かれた。

ノルマンディー4者協議の総括では、ミンスク合意に変わるものは何もないと確認した。次回の会合は2020年5月の予定。 そしてこの時までに、ウクライナはミンスク合意の改正案を用意する。


香港におけるデモ

2019年6月、中国本土への犯罪者の身柄引き渡しに関する法律の施行に反対して、香港で大規模な街頭抗議行動が始まった。香港当局はこの法律の施行を遅らせたが、デモ隊は要求を拡大し、デモ時における警察の行動の調査と改革を求めた。

  • 香港デモ
    香港デモ
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  • 香港デモ
    香港デモ
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    香港デモ
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    香港デモ
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    香港デモ
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香港デモ

12月8日、香港で公認の抗議集会が開催され、複数の情報ソースによると、市内中心部に数十万人の参加者が集まった。 AP通信によると、デモ参加者は「自由のための戦い!」と唱え、街を2キロほど行進した。

アジアの金融の中心地のひとつである香港の混乱は、投資ファンドから最大50億ドルの資本流出を招いた。


モスクワにおけるデモ

夏、モスクワでは、2010年末から数えて、最も重要かつ大規模な抗議行動が行われた。 デモは、モスクワ市選挙委員会が立候補を許可しなかった無所属候補者を支援するために開催された。 未登録の野党によって組織された集会は、市当局との事前の合意なしに開催され、警察は大勢のデモ参加者を拘束した。

© Sputnik / Evgeny Odinokov
モスクワにおけるデモ

最初の集会は7月14日にモスクワの中心部で行われ、公式データによると約1000人がこれに参加した。7月27日に行われた次のデモには、公式データで3000人が参加し、うち1074人が警察に拘束された。権利擁護者たちは警察に対し、非公正に権力を行使し、参加者を逮捕したとして抗議した。

8月10日、モスクワで公認デモ「選挙権を取り戻そう」が開催された。この集会の参加者は、7月27日と8月3日に行われたデモで参加者が逮捕されたこと、無所属候補者が市議会選挙へ立候補できないことについて反対を表明した。 非営利団体「ベールイ・ショッチク(ホワイトカウンターの意)」によると、最大で6万人がデモに参加した。 警察は、「公開イベントのピーク時に」約2万人が参加したと発表した。

2019年冬、デモで逮捕された人々に裁判で判決が言い渡され、社会に大いなるレゾナンスを呼び起こした。


安定しない「ラテンアメリカの秋」

今年は多くのラテンアメリカ諸国が混乱に陥った。メキシコ、ベネズエラ、ボリビア、ブラジル、コロンビア、ペルー、エクアドル、チリといった国々だ。各国の混乱の原因はもちろん異なるが、傾向はほとんどどこでも同じだ。社会の不平等、これらの国々が輸出している主要原材料の世界レベルでの価格破壊、あらゆる階層での腐敗、そして近年の民主的制度の弱体化といったものだ。

© AP Photo / Luis Hidalgo
チリ

ボリビアのエボ・モラレス大統領は選挙で勝利したが、野党はこの勝利は不正なものだと見なし、デモが起こった。軍隊からの圧力を受けてモラレス氏は辞任し、国外へ亡命した。

コロンビアでは、政府が新しい年金制度および労働改革について議論し始めたとき、何十万人もの人々が路上に出て、首都ボゴタでも第二の都市メデジンでも、抗議行動をした。

最近では、ラテンアメリカで最も繁栄している国であるチリも、交通費の値上げとともにすぐ暴動に直面した。 10月20日、サンティアゴには緊急事態宣言が出され、当局はすぐに、当運賃の引き上げをやめた。

ベネズエラでは、1月21日に、ニコラス・マドゥロ大統領就任を宣誓した直後、大規模な抗議行動が始まった。野党の指導者であるフアン・グアイド国会議長は、違法に国家の暫定大統領に就任したが、米国を始めとした多くの西側諸国が彼を暫定大統領だと承認した。いっぽう、ロシア、中国、トルコ、その他いくつかの国は、マドゥロ氏を正当な大統領として支持した。


自然の大変動

今年、森林火災で最も大きな被害を受けたのはロシアとブラジルだった。

© Sputnik / Alexander Kryazhev
シベリアの森林火災

ロシアもブラジルも、火災で焼失した面積は、これまでの記録を超えた。火災の主な原因は、自然発火、地球温暖化に関連するもの、また、違法伐採の痕跡を隠すための意図的な放火などだ。

アルバニアでは、40年ぶりの大地震という悲劇が起こった。地震は11月26日に国の北西部で発生。 約800人が被災し、少なくとも50人が死亡した。

ペルーで起きたマグニチュード8の地震は、その規模の大きさで記録を更新した。この地震で2人が亡くなり、数十人が負傷した。

昨年と同様2019年も、日本は夏にも秋にも集中豪雨と台風に見舞われた。農林水産省の推計によると、9月に台風15号「ファクサイ」が通過した後の被害額は509億円(4億6,820万ドル)に達し、緊急事態と認定された10月の台風19号「ハギビス」がもたらした損害は1221億7000万円(11億ドル以上)と推定されている。

© AP Photo / Toru Hanai
台風19号「ハギビス」

トランプ大統領の弾劾

2019年も、米国の民主党は、トランプ大統領を弾劾・罷免しようと試みた。

米国情報機関の匿名の情報提供者からもたらされた情報によれば、トランプ氏と、彼の弁護士ジュリアーニ氏は、次期大統領選挙の主なライバルであるジョー・バイデン氏の名誉がスキャンダルで傷つくよう、ウクライナのゼレンスキー大統領に圧力をかけていたという。バイデン氏の息子のハンター・バイデンは、ウクライナのエネルギー会社「Burisma」の取締役であった。情報提供者の報告では、トランプ氏とジュリアーニ氏は、ウクライナへの財政および軍事支援と引き換えに、ハンター氏に対する腐敗防止調査を開始しようとしたということだ。

© REUTERS / Leah Millis

トランプ氏

ゼレンスキー氏自身は、圧力をかけられたことも、バイデン氏に関する何らかの要求をされたこともないと、情報を繰り返し否定している。 9月24日、民主党のナンシー・ペロシ下院議長は、トランプ氏に対する調査のイニシアティブをとった。 10月31日、弾劾手続きが正式に始まり、下院での投票結果に基づき、トランプ氏は「権力の濫用」および「議会調査の妨害」に対して弾劾された。クリスマス休暇後には上院での投票がなされ、それで弾劾プロセスは終了となる。


ボーイング737MAXの拒否

ボーイング737
© Sputnik / Наталья Селиверстова
3月10日の朝、エチオピア航空のボーイング737MAX8が、離陸の6分後に、首都アディスアベバから60キロ離れた場所に墜落し、乗客乗員 157人全員が犠牲になった。 墜落事故は、ボーイング737MAX8にとって2回目だった。この5か月前にも事故が起こっていたのである。 2018年10月末にも、ジャカルタから飛び立った後に墜落していた。世界の大手航空会社はボーイング737MAXの使用を拒否し始め、2019年には40もの国が領土内の航空機の通過を禁止した。そして年末になってようやく、ボーイングの経営陣は、航空規制当局が近いうちに運航再開許可を与える可能性が低いため、2020年1月1日から737MAXの生産を停止すると発表。飛行禁止によるボーイングの損失は10億ドル以上にものぼる。


シリア情勢

アサド大統領「シリアには米国の傭兵数千人がいる」
© 写真 : Syrian Presidential Press and Information Office
2011年から継続しているシリア紛争は、図らずも、今年2019年も世界のメディアのトップページを騒がせることになった。 10月9日、トルコはシリア北部における「平和の泉」作戦を発表。これはクルド人部隊がいる場所への空爆で始まった。この作戦の目的は、シリア難民がトルコから帰還できるよう、トルコ国境に緩衝地帯を作ることだった。トランプ米大統領は当初、トルコに作戦開始の「青信号」を与えたものの、その後にはトルコのエルドアン大統領との電話会談で、米国は作戦に参加せず、米軍を撤退させるとの意思を伝えた。12月5日、シリア北東部における米軍削減・撤退のプロセスが終了した。米国のマーク・エスパー国防長官によると、600人の米軍人がシリアに残っている。 10月26日、トランプ氏は、米国の特殊作戦により、シリア・イドリブ県で、イスラム国の最高指導者バグダディが死亡したと明らかにした。しかし、ロシア国防省は、バグダディの死亡に関する信頼できる情報を有していない。


私たちが失ってしまった歴史文化的な価値

4月15日、フランス・パリにおけるノートルダム大聖堂の歴史上最大の火災が発生。 大聖堂の尖塔は崩壊し、聖堂の骨組みも炎に包まれた。

© Sputnik / Dominique Boutin
ノートルダム大聖堂の歴史上最大の火災

消防によると、ノートルダム大聖堂の基本の骨組みと、主要な芸術作品は難を逃れた。パリ検察は、これが放火であるとはみなしていない。考えられる火災の原因は、完全に消されていないタバコ、電気系統の問題などがある。このユネスコの世界遺産再建のために35万人が寄付を行い、1億400万ユーロが集まった。フランス当局は、大聖堂とその尖塔の再建に関する主な問題は、2021年初頭に解決されるとしている。

また、やはりユネスコの世界遺産である日本の沖縄の首里城も火災で焼失してしまった。10月31日の火災は、正殿を完全に燃やしてしまった。県は首里城を再建するつもりだが、それに向けての道筋は立っていない。


スプートニクは読者の皆さんに、今年、世界で起きた印象深い出来事について聞いてみた。1位になったのは「香港・モスクワ・中南米諸国で起こったデモ」で54パーセントを占めた。2位は「文化遺産(ノートルダム大聖堂・首里城)の火災」で25パーセントだった。3位は僅差だったが、「シベリア・アマゾン・豪州を襲った森林火災」で11パーセント。英国のブレグジットに伴う首相交代が10パーセントで4位になった。調査はツイッターで、12月20日から25日にかけて行い、1009人が投票した。


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