07:45 2021年01月27日
社会
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2020年の話題を総括 (16)
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2020年を決定づけた出来事といえば、間違いなく、これまでになかった新型コロナウイルスであり、これにまつわる様々な出来事はタランティーノ監督のもっとも鮮やかなファンタジー作品にも勝るインパクトを与えた。新型コロナは多くの人命を奪い、地球上のすべての大陸の、人間の生活のあらゆる局面に影響を及ぼした。しかし、2020年には、新型コロナウイルス以外にも、世界を震撼させた記憶に残る出来事があった。「スプートニク」が2020年の重大事件をまとめた。


世界の誰も予期しなかったウイルス

2020年の冬に、中国における初めて新型コロナウイルスの感染が伝えられたとき、多くの人々がこれを局地的なものだと考えた。しかし、このとき、ある程度、恐怖を感じた人でも、コロナの影響がこれほどまでの規模となり、劇的な結果をもたらすことになろうとは想像もしなかっただろう。

3月11日に、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルス感染症はパンデミック(世界的な大流行)に至ったとの認識を示したが、その時点ではまだ多くの国で、自分たちの国だけは災難を免れることができるかもしれないと一縷の望みを抱いていた。しかし、その後、国家間だけでなく、国内の地域までもが閉鎖されるようになった。もっとも最初に打撃を受けたのは観光業界である。リゾート地やホテルから利用客が消え、空港には飛行機の駐機の列ができ、スタジアム、美術館、劇場は閉鎖された。

そして、どの国でも、できるだけ自宅で過ごすようにとの要請が行われた。世界の主要国さえも、経済的打撃を受けた。製造業はストップし、国際輸送は削減され、輸出入も激減した。また学校の授業だけでなく、国際的な見本市、会議、サミットまでもがオンライン形式へと移行し、マスク、自主隔離、ソーシャル・ディスタンス、リモートワークといったものが、「新たな日常」となった。コロナによる物理的、経済的、心理的損失がどれくらいの規模になるのかは、現時点では専門家にも分からない。というのも、感染拡大はまだ終息しておらず、ウイルスは変異しながら2021年にも生き延びようとしているからだ。わずかな希望は、複数のワクチンが開発されたことである。


東京オリンピック延期

2020年、多くのスポーツ大会や競技が中止、または延期された。またいくつかの大会は無観客での開催となった。

国際オリンピック委員会(IOC)は東京五輪を2021年まで延期することを決め、人々に理解を求めたが、しかしこの決定は組織関係者、スポーツファン、そして選手たちを落胆させた。というのも、トランポリン競技の外村哲也選手(35)のように、これがオリンピックに出場する最後のチャンスだった選手もいるからだ。外村選手は6月に現役引退を発表した。

同じく6月、東京五輪競技大会組織委員会は、2021年の五輪開催準備の3つの基本原則として、安全・安心な環境の提供、東京都民や国民の理解を得るための費用の最小化、安全で持続可能な大会とするための簡素化を掲げると発表した。しかしながらIOCは、大会日程の大幅な変更はないと明言した。


カオスをもたらした殺人事件

5月25日、46歳のアフリカ系アメリカ人の黒人男性、ジョージ・フロイドさんが、ミネアポリスで警官による不適切な拘束により死亡した。米国で警官によって黒人の命が奪われるという事件はこれが初めてではないが、今回の事件は人種差別に対する大規模な抗議行動「ブラック・ライブズ・マター(=黒人の命は大切、BLM)」を、米国のみならず、日本を含む世界各国で引き起こした。一方で、人種差別撤廃と警察改革の抗議デモと同時に、米国では略奪や破壊や暴動が相次いだ。


政治ショーとしての大統領選

2020年の米国の大統領選挙は、国際的なリアリティー・ショーの様相を呈した。2020年の年初にはドナルド・トランプ第45代大統領が当選すると見られていた。トランプ大統領率いる米国では、経済成長が見られ、失業率は低下し、中国との貿易戦争は米国の製造業に大きな損失を与えず、民主党によるトランプ弾劾の試みも、無罪評決で幕を閉じたからである。しかし、新型コロナは大統領選の行方にも影響を与えた。トランプ大統領は他の国の首脳と同様、経済を救済するか、膨大な経済的損失を犠牲にして人命を救済するのかの選択を迫られたのである。そしてこの闘いでトランプ大統領は敗北を喫することになった。米国におけるコロナウイルスによる死亡者の数は第二次世界大戦による犠牲者の数とほぼ同数となった。大統領選の投票結果を覆そうとする試みも失敗に終わり、最終的に選挙戦を制したのはジョー・バイデン氏である。就任式は1月20日に予定されている。


宇宙分野での飛躍的発展

オーストラリアで観測された地球の大気圏に突入した小惑星探査機「はやぶさ2」のカプセル
© REUTERS / Japan Aerospace Exploration Agency (JAXA)
5月30日、米国の新型宇宙船「クルードラゴン」が2人の宇宙飛行士を乗せて、フロリダ州のケープ・カナベラルから発射され、翌日、国際宇宙ステーションにドッキングした。これを実現したのはイーロン・マスク氏率いる民間宇宙企業スペースXで、企業が開発した民間の宇宙船が運用されるのは世界で初めてのこととなった。

また2020年、中国の宇宙船「長征5号」が初めて、月の「嵐の大洋」と呼ばれる地域から土壌試料を採取、地球に持ち帰った。「嵐の太陽」周辺が調査されるのはこれが初めてのことである。こうして、中国は米国、ソ連に次いで、月面探査に成功した世界で3つ目の国となった。宇宙分野において、もう1つの大きな成果をあげたのは日本である。12月半ば、宇宙探査機はやぶさ2が小惑星リュウグウのサンプルを入れたカプセルを地球に届けた。研究者らは、土壌の調査によって、太陽系形成についてより詳しく知ることができるようになると期待している。

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