日本、諜報機関の創設に動く

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日本が対外諜報機関を設置しようとしている。テロ組織「イスラム国」に日本人2人が拘束され、殺害された。救出に向けた政府の取り組みは実を結ばなかった。秘密情報の収集を担う独立した機関を創設する必要がある、とは安倍首相のかねてからの主張であった。これまで日本は戦略上の最重要パートナーである米国からの秘密情報に依存していた。換言すれば、これまで日本は、自国の機微に触れる情報について、外国の諜報機関に依存していたのである。ところでこの情報技術の世紀にあっては、情報は国家にとって最重要の道具である。

日本にこれまで諜報機関が全く存在していなかったかといえば、実はそうでもない。それは存在したし、存在している。たとえば公安調査庁。しかし十全に機能しているとは言いがたく、ネット上では世界最弱の諜報機関と揶揄されている。また、防衛省には情報本部というものがある。しかし、機能は厳しく制限されている。それは、自衛隊が手足を縛られているのと同様である。さらに、外務省にも、内閣府にも、情報本部が付属しているが、それらが統一を欠き、効率を欠き、にも関わらず、かなりの予算が割かれていることに、批判の声が上がっている。

いま独立した情報機関を創る必要性はどこにあるのか。ウラジオストクのロシア戦略研究所アジア太平洋研究室長ピョートル・サモイレンコ氏は次のように見ている。

「ファクターはたくさんある。何も超自然的な事象などではない。日本はいま、国益追求に邁進し、地域における軍事的・政治的役割を増大させるというトレンドのただ中にある。ある第三者機関のデータによれば、アジア太平洋地域の軍事ポテンシャルは10年間にわたり成長していくとのことだ。そこにも諸々のファクターがある。地域諸国のほとんどが軍拡競争に巻き込まれており、また緊張も高まっている。しかし日本に限って言えば、直面する最大の危険は北朝鮮の戦略ミサイルシステム実験である。北朝鮮のミサイルは日本海を200~300km飛行している。しかしこれは問題の一面でしかない。朝鮮半島全体の情勢も、いま日本が諜報部門を強化しようとしていることの理由のひとつであるだろう。一部の専門家は、朝鮮半島でローカルな軍事衝突が突発する可能性はある、と指摘し、理論的には、それがより深刻な紛争に発展していく可能性もある、としている。もしかしたら朝鮮半島が地域レベルの軍事行動の焦点になるかも知れない。そうなれば、船舶の航行も脅かされる。たとえば、サハリン大陸棚からのエネルギー資源を積んだ貨物船の航行が。もうひとつのファクターは、日本がいま、たとえば尖閣諸島をめぐり中国と、一般に北東アジア諸国と、緊張を高めていること。中国船が尖閣諸島の近海に侵入し、上陸さえ試みるというケースが、たびたび発生している。そのたび日本の海上保安船が出動を余儀なくされ、あわや衝突というところまでいく。さらに経済的ファクターもある。海底資源をめぐる競争が激化しているのである」

一説には、日本は英国のMI-6に範を取ろうとしている。日本の衆議院議員団は英国で研修を済ませ、この秋にも諜報機関創設案を提出することになっている。

報道によれば、拓殖大の川上高司教授は、「諜報機関は日本が普通の国になるためには死活的に重要である」と語っている。日本にはいまだに軍隊さえない。あるのは憲法によって厳しく規模と行動を制限された自衛隊のみである。しかもその憲法は、日本人が自らの力のみによって策定したものではない。1947年、第二次世界大戦後に日本を占領していた米国に、大幅に助けられたのである。憲法改定と諜報機関の創設による、軍隊の創設。それは安倍晋三の野望ということだけでなく、主権国家の市民としての日本の民族的誇りの問題なのである。

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