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    終戦70年式典、行くべきか、行かざるべきか

    終戦70年式典、行くべきか、行かざるべきか

    © AP Photo/ Shizuo Kambayashi
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    リュドミラ サーキャン
    戦勝70周年 (57)
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    モスクワで5月9日に開かれる戦勝70周年記念式典に安倍晋三首相が出席するかどうか、今もって答えは出ていない。先日の産経新聞による報道では、安倍首相はおそらく出席しないだろう、とのことだった。10年前の60周年記念式典には米国、ドイツその他諸国の首脳がそろって出席し、日本からは小泉純一郎首相(当時)が参加した。産経新聞によれば、安倍首相は、日本以外のG7諸国がロシアの招待を退けたこと、ロシアとの平和条交渉、南クリル問題交渉において進展が見られないことを考慮し、式典には出席しないことを決めた。

    在ロシア日本大使館はこの報道を否定した。5月9日にモスクワへ来るかどうかは安倍晋三氏個人の決定による、とのことだった。その決定はまだ下されていない。日本外務省は先に、この問題は検討中であり、4月中に公式の回答が出るだろう、と発表している。極東研究所のヴィクトル・パヴリャチェンコ主任研究員はこの状況を次のように見ている。

    「安倍氏にとっては無論、難しい状況だ。私はここに2つの要素を見ている。一方では、G7メンバーとして、日本は、「ロシアにはまずもって制裁で対する」という共通の姿勢を維持するよう努めている。安倍氏の4月の訪米でも、おそらくオバマ大統領とこの問題が話されるであろう。そのとき、安倍氏が5月9日にモスクワに来ることを良しとする合意が結ばれることも、なくはない、と見ている。米国との、何らかの取引があり得る。何かと引き換えにモスクワを訪れる、という形である。取引材料として私がいま思うのは、米軍普天間基地移設の確約である。日本ではまたぞろ基地移設反対の声が高まっている。いや、もうひとつ取引材料があるとすれば、それは米国の構築するTPPへの、参加の同意である。もちろん安倍氏としては、島々の問題をついに解決し、ロシアと平和合意を結ぶことが出来れば、大いなる政治的成功である。しかし前進への望みは日ごとに薄まっていっている。むしろ、ロシア社会では、9月2日を軍国主義日本打倒の記念日として新たに祝おうとする気運が高まっている。よって、安倍氏は、非常に困難な決定を迫られる。賛成する理由も反対する理由もたくさんある。しかし今のところは反対の理由の方が多い」

    一方で今、中国政府も、9月に北京で行われる第二次世界大戦終結70周年記念式典に、安倍首相や韓国のパク大統領を招待している。これについてパヴリャチェンコ氏は次のように語る。

    「これがもうひとつの要素である。モスクワに行かず中国に行くのなら、安倍氏は首相就任以来稼いできたすべてのポイントを失うことになる。有権者の理解は得られない。一方、モスクワにも北京にも行かないなら、日本とモスクワ、日本と北京の関係改善のためにこれまでなされてきた全てのことが凍結することになる。安倍氏は、言うまでもなく、日中を両輪とする機関車を発車させることを望んでいる。せっかくいま、両者の政治的コンタクトが目覚ましく活発になってきたところだったのである。しかし、中国の増強が、また中国の好戦的な行動が、リアルな脅威として現前する今、北京を訪れ中国の軍事パレードを見学するなど、軽率千万ということになろう」

    しかし、安倍氏が出向こうと出向くまいと、日露・日中の二国間関係は、否応なく発展する。そのこともまた、自明である。安倍氏が一番望まないのは、ロシアと中国の感情を害することである。おそらくこの4月という月は、ある種の奇抜な妥協を模索するか、あるいは、どうしても訪問が不可能な旨を最大限丁重な文体で説いた作文を書くか、どちらかに費やされるであろう。

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    日米関係, 日中関係, 露日関係, 戦勝70周年, G7, TPP, 安倍晋三
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