日本は集団的自衛権を持つ、しかし

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日本の集団的自衛権に関する法律が5月に修正される可能性がある。成立すれば、米国の第七艦隊と日本の海上自衛隊の共同行動が容易になる。これは先日、横浜で、米国のロバート・トーマス第七艦隊司令官が行った発言である。

一方の鮒田英一・自衛艦隊司令官は、日本は地球上のあらゆる国際水域および国際空域で行動する可能性と能力を有している、と述べた。

パキスタン紙「デイリー・タイムズ」はこの状況について、米国と日本は南シナ海で領土要求を行ってはいないが、この海域に、第七艦隊に加えてさらに日本の艦隊が駐留したなら、中国は定めし苛立ちを募らせるだろう、と報じた。

ロシアの著名な東洋学者で日本駐在大使も務めたアレクサンドル・パノフ氏は、「米日の防衛協力関係が新次元に移行することを過大に評価するつもりはないが、地域の平和と安定のためには違うやり方をとる必要がある」と語る。

「法律が修正されても、太平洋における影響力が飛躍的に増大するなどということはない。もちろん日本の艦隊は現時点で最も強力なもののひとつであり、そのプレゼンスは地域でも目立つ。日本の艦隊は、演習を行ったり、また、たとえば日本から遠い海域で、米軍の兵站を手伝うなどの活動にも参加している。たとえば、米国がイラクで作戦を行っていたときなどだ。しかし、紛争状況というものは、私は今のところ、ないと思っている。ロバート・トーマス司令官の発言は相当つかみどころのないものだった。日本人が一番不安に思っている中国海軍の活動性にもアクセントが打たれることはなかった。彼はこう言った。なるほど米国は、中国海軍の最近の演習に注意を向けもしたが、自分としては、それは中国海軍の国際水域における演習の拡大ということに過ぎず、中国の軍事政策の一環をなすものとして見ている。このようにである。第一、日本でも米国でも、どの国にしたところで、可能性さえあれば同じように行動するのである」

パノフ氏はトーマス発言を、米国の中国に関する発言としては、相当に穏健なものだ、と評価している。パノフ氏いわく、これは、たとえ日本が中国の活動性に深刻な懸念を表明しても、米国は中国との紛争に乗り出す気はない、ということの証左である。しかし、間違っても、米国の第七艦隊のプレゼンスそのもの、また、米日による合同演習その他共同行動が、地域の安定に資することはない、とパノフ氏。

「概して太平洋では非常に旺盛な軍備拡張が進んでいる。とりわけ海軍力の。東アジアにおけるこの軍拡競争に参加しているのは米国、中国、日本のみではない。多くの国が、大量の戦艦を購入している。今こそ、明らかに、信頼醸成措置について、地域における海軍の行動の規範について、地域諸国の真剣な対話が必要な時期に来ているのである。それが必要であることについては、事あるごとに叫ばれている。しかし行動がともなわない。だが、このことをこそ突き進めるべきなのである。まずは、誰が、どのような懸念と憂慮を抱いているのか、ということを、議論することから始めなければならない。安全保障を強化しうる何らかのメカニズムを打ち立てねばならない。各人が自分の思うままに行動し、それが他国の憂慮を呼んでいる現状が続けば、ついには紛争が勃発しかねない」

ただし、パノフ氏は、5月に予定されている集団的自衛権に関する法修正は、今はまだ分析を必要としている段階である、という。同法のいくつかの重要なディテールが日本の今後の行動の多くを規定するようになる。たとえば、集団的自衛権とは何かということが、どのように具体的に判定されるのか。どのような地域が対象となるのか。政府の具体的行動には議会の承認が必要になるのか。これらのことはなお論議を要する。また、同法が最終的にどのような外形をとるのかという点については、平和主義政党をもって聞こえる連立相手の公明党の立場にも大きく依存することになる、とパノフ氏。

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