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    下斗米 伸夫氏、露日が接点を見つけた

    下斗米 伸夫氏、露日が接点を見つけた

    © 写真: State Duma
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    アンドレイ イワノフ
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    露日の協力が実った好例となったのが両国の研究者グループによって出された露日関係史についての1冊。そのロシア語版のパイロット本のプレゼンテーションは今日、5月21日東京で開催されたフォーラム「未来の露日関係への視点」に合わせて準備されている。このフォーラムには現在、日本を公式訪問中のセルゲイ・ナルィシキン下院(国家会議)議長も出席した。ナルィシキン氏はロシア語版の方で読者ヘ向けた挨拶文を載せてもいる。

    本のプロジェクトの長を務めるのはモスクワ国際関係大学の学長でアカデミー学者のアナトーリー・トルクノフ氏。露日の研究者集団の作業を直接的に牽引しているのはロシア側はモスクワ国際関係大学東洋学科のドミトリー・ストレリツォフ学科長と、日本側は法政大学法学部の教授でヴァルダイ・クラブのメンバーでもある下斗米 伸夫教授。

    ロシア語版の販売はこの夏初めにも、また日本語版は初秋にもスターとする。ストレリツォフ氏はこのユニークな本について次のように語っている。

    「日本はかつて中国や韓国と一緒に関係史を編もうと類似したプロジェクトをたてたことがありましたが、それとは異なり、この露日プロジェクトは成功したと思います。中国、韓国とのプロジェクト実現化の過程では過去の歴史の事実、時代の評価があまりにも異なったため、共通した見解にたどり着くことはできませんでした。ところが露日プロジェクトではそうした大きな矛盾や対立点はありませんでした。3年にわたる作業のなかで3度の公式的会談と非公式的会談が1度催されており、常時欠かすことなくコンタクトがとられてきました。

    プロジェクトは露日関係の、つまりロシア人と日本人がコンタクトを持った最初の瞬間からの全期間を網羅しています。とはいえ、一番の力点は20世紀に置かれています。つまり両国関係の拡大の主な段階は20世紀にあるととらえられていること、そしてプラスして領土問題、日本兵抑留問題、互いをどう受け止めているかというような問題点も個別のテーマとして取り上げられています。」

    さて、ロシア語版、日本語版にはどういった違いがあるのだろうか? この問いをラジオ「スプートニク」は日本側からプロジェクトを牽引した法政大学法学部の下斗米 伸夫教授にぶつけてみた。

    「内容は全く変わりません。ただ聞いている範囲ではロシアの版はナルィシキン下院議長の序文がついているそうです。日本で市販されるものにはこれはついていません。」


    スプートニク:「下斗米先生は日本側のプロジェクトを率いておられますが、これは成功したと思いますか? 露日では南クリルである北方領土に対する立場、歴史の理解が少し違っています。あなたの見方ではこの本ではロシアと日本の見方は合致していると思いますか、その逆ですか?」

    下斗米 伸夫教授:「それは大変よい質問ですね。この研究の目的はいわゆるパラレル・ヒストリーですから、日本とロシアでどの問題についてどれだけ違いがあるかということを互いに民間の立場で調べるということでした。ですから各国を代表する歴史家、国際政治の専門家が書いていますが、これは個人の見解であって、政府の見解を述べているわけではありません。

    にもかかわらず、私はこれは大変成功したのではないかと思います。その理由は、情報、意見がお互いに違うことを前提に研究を始めたのですが、意外に接点があることがわかりました。日本側がロシア側の評価に近づいたり、あるいはロシア側が日本側の資料を共有したり、そういう形でいろんな接点がでてきたんですね。

    日露戦争の評価で、ロシア側はあの戦争はひょっとしたら避けられたかもしれないと思っていますが、日本側は必ずしもそうではないですね。

    今ご指摘の領土問題についてはここで述べるつもりはありませんが、抑留問題については、むしろロシア側の歴史家のほうが当時のソ連指導者に対して厳しくて、日本側のほうが当時のスターリンの置かれた状況に理解があったり…。

    論点には違いはありますが、こういった形でだいぶ接点があるというふうに見ています。」

    露日の研究者らが心血を注いだ結晶が両国の読者に露日関係の通ってきた容易ではない運命への理解を促すだろうことは疑いようもない。

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