10:10 2019年07月21日
安倍首相

安倍首相は絶好のチャンスを逃した

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中国は第二次世界大戦に終止符を打った「日本に対する勝利」を 盛大なパレードで祝った。戦争で命を落とした大勢の人々の犠牲を記念する目的のパレードだった。51カ国が招かれ、うち49カ国が応じたことは、第二次世界大戦の結果に対する視点、軍国主義やファシズムに対する評価が一致していることを示している。

しかし西側諸国の多くが参加を拒否した。西側ではこの盛大な式典は中国人民軍の強大さのアピールであるといわれている。折しも中国は南シナ海における領土要求を再び強めている。こうした政治環境では、日本の安倍晋三首相が参加しなかったことも自然なこととうなずける。しかしその決断は容易なものではなかった。ロシア科学アカデミー極東研究所のワレーリイ・キスタノフ氏はそう語る。

「私の感じでは、安倍氏の決断は式典がはじまるほんの数日前にとられたものだ。政界では暗闘が演じられた。北京訪問支持派も反対派も確実に存在した。招待されていることが報じられてからも政府の公式の反応が長らく発表さなかったことで、すでに逡巡があることが明らかになっていた。のち日本メディアに、書面での招待はない、あるのはただ、昨年11月のAPECで習近平国家主席から安倍首相に伝えられた口頭での招待だけだ、と報じられた。これを追って、安倍首相は北京をパレード後に訪問する、との報道がなされた。つまり、赤の広場のパレードの翌日にモスクワを訪問したメルケル首相の例に倣う、というものだ。のち、安倍首相が北京を訪れないことが明らかになった。つまり、私の感じでは、首相は長い間、最終的な決断をとりあぐねていたのだ。ここには諸々の強い圧力もあった。まずは国内の支持層からの圧力。安倍氏は右派、保守派の支持を受けているのだ。こうした層は、言うまでも無く、日本の降伏を喜ぶような式典に安倍氏が参加するのには反対だった。そして、これも言うまでも無く、安倍氏は欧米の顔色を伺った。その筆頭は米国だ。オバマ大統領は北京訪問を拒否した。それがG7に連なる欧州諸国に影響を与え、やはり北京訪問を断念する運びとなった。米国が安倍氏に直接的な圧力をかけたとも考えられる。何しろ中国はいま、東南アジア政策を非常に活発化させている。海軍力を増強し、日本に領土要求を突きつけている。領土紛争は他にもある。たとえばスプラトリー諸島。ここではベトナム、中国、台湾、マレーシア、フィリピン、ブルネイの6カ国が領土主張を交差させている。ここに中国は人工島を造成し、滑走路を建造している。加えてパラセル諸島。こうした問題が西側では侵略的、攻撃的、拡張主義的政策と見られている。だからこそ中国を抑止しなければならない、というわけだ。これを論拠に米国は反中連合を組み、そこで最重要な同盟国は日本なのである。他にもフィリピンなどのASEAN諸国がこれに連なっている。フィリピンなどは米国の中国包囲網の一大拠点と化そうとしている。フィリピンは北京の招きを無視した。あたかもこの国は、第二次世界大戦における侵略国が中国でなく日本であったことを忘れたかのようだ」

安倍首相は米国との戦略的パートナーシップを維持しつつも、経済協力を基盤に、中国との関係改善にも長らく取り組んでいる。折しも歴史問題で反日的観点を共有する中国と韓国が接近しており、日本政府はこれに警戒心を募らせている。韓国は日本とならんで米国の最重要戦略パートナーであるが、パク大統領は中国の招きを無下にしなかった。最も、訪問を短縮しはしたが。この点安倍首相は、欧米にくみして、中国との関係を改善する千載一遇のチャンスを逃したのだ。キスタノフ氏はそう語る。

「安倍氏は習近平国家主席との会談のチャンスを逃し、日中間に横たわる諸懸案を腹蔵なく話し合う機会を逸した。関係は客観的にみて緊張し、複雑化し、険悪化している。問題は領土紛争ばかりではない。両国は事実上、軍拡競争をおこなっている。ガス問題もあるし、防空識別圏の問題もある。話し合うべき問題は山積しているのに、安倍氏はその機会を逃した。橋は焼け落ちてはいない、とは言われる。安倍首相は近日開催の諸々の国際会議、たとえばAPECやG20で習近平国家主席と会談することに前向きであるという。しかしそこで会談が実現するとしても、それらはあくまで臨時の、非公式な会談にとどまり、ハイレベルの公式会談の役目は果たせないだろう。安倍氏は千載一遇のチャンスをのがした。中国はこの不愉快な包囲の中に取り残される。日中関係の将来は確実に損なわれた」

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第二次世界大戦, 歴史, 戦争・紛争・対立・外交, 戦勝70周年, 安倍晋三, 日本, 中国
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