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    南シナ海、米中対立の行方は?

    南シナ海、米中対立の行方は?

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    米駆逐艦「ラッセン」がもともとは暗礁だったが中国によって島へと姿を変えられたスビとミスチーフの付近に数時間滞在した。AFP通信の報じた米役人の声明では、「ラッセン」または米海軍の他の船はこの水域へとカムバックする。スプラトリー諸島のパトロールについてはオバマ米大統領も定期的に行うことを約束した。

    ベトナム人歴史家のグエン・マンハ氏は、我々はこの地域における米中の対立が新たな段階に達したことを目撃しているとして、次のように語っている。

    「米国はトマホークを載せた駆逐艦を送り、中国の反応をうかがっている。米国はこの水域は国際的なものとみなしているが、中国は自分たちの作った人工島の周辺水域は領海と宣言している。中国の第1の反応は抑制のとれたものだった。だが、この先1週間後、米国がこの水域のパトロールを続けたときどうなるかは、見てみないとわからない。この地域の状況を複雑化させている南シナ海の領土論争の解決はどうやら挫折しているように思われる。なぜならこれは、米国のアジア回帰宣言と関係があるからだ。」

    他のベトナム人専門家のレ・ヘ・マウ大佐は、南シナ海の領土論争は今ある国際問題の中でも最も複雑な部類に属しており、これを解決するには政治的メソッド以外ありえないとして、次のように語っている。

    「ベトナムは米国の行為を支持しており、他のどんな国も、例えば日本でも、地域諸国の平和と協力を維持しようとするのであれば、これを支持する。航行の自由について言えば、米国は南シナ海で自国の戦略的関心を擁護している。そのいい例となるのが、先日調印されたTPPだ。TPPには日本もベトナムも入っているが、この2国とも東アジア、東南アジアの国であり、中国とは領土論争を抱えている。このようにして米国はこの地域の諸国に対する自国の力と影響力を強化しようとしている。」

    サンクトペテルブルグ大学の東アジア諸国史学科のウラジーミル・コロトフ学科長は、米中間には東南アジアに対するコントロールをめぐって地政学的なライバル競争が行われているとして、次のように指摘している。

    「いずれの側も自国の権益だけを擁護し、東南アジアの中小国を利用しようとしている。航行の自由は口実で、これは米国が地域における自国の影響力を強めるために実にうまく使うものだ。東南アジアの中小国の大多数がこの地域における米国の軍事プレゼンスの強化を支持している。それはこうすることで自国を中国から守れると考えているからだ。だが私はそうはいかないと思う。米国は反中国的な声明を出しながら、東南アジア諸国の市民、政治家の目の前で自国の役割をアップさせ、自国のプレゼンスを強めていくとおもう。だが、歴史を振り返れば、米国は1974年にはベトナムに帰属するパラセル諸島に、また1988年にはスプラトリー諸島に対する中国のコントロール樹立に自ら手を貸してきていたではないか。米中は自分たちでこの状況を作ったのにもかかわらず、今度は米国はこの諸島はベトナムのものだとは認めていない。この地域の中小の島々にとっては重要なのは航行の自由ではなく、主権のほうだが、米国にとってはこの地域における自国の影響力を強めるほうが重要なのだ。これは兵器や軍事力をひけらかすための口実だ。私が思うに最もありうるシナリオはベトナム人専門家らも書いているように、米中の舞台裏での取引だろう。米中の貿易取引高や相互の浸透を考慮すると、深刻な紛争には至らず、米国側にも中国側にも血が流されることはないと思われる。双方ともこの状況を東南アジアにおける自国の影響力強化に利用している。米国が対象とする国、中国が対象とする国が違うだけだ。地政学的圧力は高まっており、これはこの地域の諸国の主権には殊に危険になってきている。」

     

     

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