経済制裁解除なら投資再開、東アジアエネルギー連携構想も視野

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経済 - Sputnik 日本
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今月6日、日露間のエネルギー協力に関する国際会議が都内で開かれ、ロシアからはロシア最大の国営石油会社「ロスネフチ」のイーゴリ・セーチン社長をはじめエネルギー企業の幹部らが参加した。

同会議のパネルディスカッションにパネラーとして登壇した東京ガス常勤顧問の村木茂氏は、会議は日露首脳会談の前段という位置づけとしても、意見交換の場としても有益だったと評価した。

村木顧問「ロシアは日本にとって色々な意味で重要な国ですし、日ロ関係を長期的に強めていく、ということは両国にとって重要なテーマです。経済協力・経済連携が日ロ関係の基盤になってくると思います。その中でエネルギーというのはもっとも重要な分野です。ロシアは日本と地理的にも非常に近く、非常に大きなエネルギーのリソースをもっています。日本は残念ながらエネルギーのリソースが非常に限られています。この意味ではエネルギーを通じての連携、供給者と需要者との関係は非常に重要です。」

スプートニク「会議では、どのような提案がなされましたか。」

村木顧問「私から提案したのはエネルギーブリッジです。天然ガスではLNG とパイプラインによる供給、石油の供給、石油のリファイナリーの技術協力に加え、ロシアの風力発電または水力発電で作ったカーボンフリーの水素を日本に持ってくること、そしてロシア側も提案している電力供給を提案しました。」

スプートニク「ロシア側からは、日本企業に早く投資に参加してほしいという強い呼びかけがありました。それに対して日本企業の反応はどうでしょうか。」

村木顧問「現在の世界情勢を鑑みると、日本企業としてはロシアに投資をして具体的なプロジェクトをスタートさせるということは、今は難しい状況にあります。ですから我々としては、まずは議論と準備をしていこうとしています。その上で国際的な環境が整えば、具体的なプロジェクトをキックオフさせるということです。セーチン社長からは、ロシアとしては少しでも早く日本の投資を受け入れて、プロジェクトをスタートさせたい、という話がありました。当然、そういう関心は日本企業も持っていますが、国際的な環境を考えると、今すぐ、というわけにはいかないのです。ですから時期が来れば、実行に移せる準備をしていくというのが、現段階で出来ることだと思います。

今、欧米がロシアに対し経済制裁をしています。プロジェクトに投資をする場合、それが経済制裁の対象になってしまっている部分が非常に大きいため、問題が起きるわけです。日本の、グローバルなビジネスを手がける企業というのは、アメリカでもヨーロッパでも投資をしていますから。これを考慮すると現時点で動くことは非常に難しく、それはロシア側も理解してくれるだろうと思います。
しかし準備をしていくということは非常に重要で、日本政府も重要な隣国としてロシアとの関係を強化しようと考えています。日本は欧米とロシアの間で正常な関係が維持できるよう両者を仲介する役割を果たしていく必要があると思いますし、貢献できると思います。だからロシアが中国と連携を非常に強化し、欧米と対立するという対決構造を作っていくというのは、決して良いことではありません。日本は対決構造を望んでいません。日本はアメリカとの関係も維持し、その上でロシアとの関係も構築していこうと思っています。」

スプートニク「経済制裁が解除されれば、日本企業はロシア投資への新たなスタートを切ることができますか。」

村木顧問「経済制裁が外れれば、日本の企業も欧米の企業も北極海・東シベリア・サハリン等へのエネルギーに関する投資を再開できます。例えば日本へパイプラインを引く、という話を議論するにしても、それをロシアと一緒に今やれるかというと、これは経済制裁の対象になるかどうか未知数ですが、状況は微妙なところです。

ただこのようなプロジェクトというのは、そもそも『今すぐ』にできるわけではありません。フィージビリティ・スタディ(実行可能調査)やエンジニアリング・スタディをこなし、経済性も見込め、日ロ双方にとってメリットがあるプロジェクトになるだろうということを、きっちり検証していかなければいけません。

パワーグリッドについても同じです。日本の送電網の制約のことを考えれば、これは簡単な話ではありません。北海道にロシアから電気を引いてきても、最大の需要地である本州の関東地域にさらに電気を流すとなるとコストが非常に大きくなるので、それだけのコストをかける価値があるのかどうか見極める必要があります。

将来的には、日本やロシア、韓国や中国といった東アジア地域でのエネルギー連携をやっていく必要があると私は思います。このアイデアはエネルギー市場を非常に活性化し、供給国にとっても、需要国にとってもメリットになるでしょう。エネルギーに関しては非常に長期的なビジョンと設備計画が必要ですから、このような非常に大きな壮大な構想も頭に入れながら議論していくべきですね。」

 

 

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