04:27 2018年10月18日
クジラ

日本は商業捕鯨再開を熱望、クジラを殺さない調査は技術的に限界

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今月1日、日本から南極海へ向け、調査捕鯨のための船が出航した。日本政府はこのたび「新南極海鯨類科学調査計画」を開始する。これは2年ぶりの調査だ。2010年、オーストラリアは「日本の捕鯨は調査捕鯨ではなく商業捕鯨であり、国際捕鯨取り締まり条約に反している」として国際司法裁判所(ICJ)に日本を訴えた。2014年3月に判決が出たが、「現在のやり方での調査捕鯨は認められない」と、日本の言い分は認められず、実質的に日本の敗訴となった。

今回、日本の捕鯨調査再開を受けて、反捕鯨団体「シー・シェパード」は日本の調査船に直接妨害を行うことを予告している。また、つい先月ハッカー集団「アノニマス」が商業捕鯨を支持するアイスランド政府のホームページに攻撃をしかけ、複数の省庁のホームページが閲覧不可能になるという事件も起きた。日本も攻撃を受ける可能性がある。捕鯨反対の声が大きくなり、調査員の安全も懸念されている中、なぜ日本は捕鯨調査再開を決定したのか。水産庁・国際課捕鯨班の担当者に話を聞いた。

スプートニク「日本は去年、オーストラリアとの裁判に負けました。2014年は捕鯨を見送りましたが、なぜ今年捕鯨再開に踏み切ったのですか」

捕鯨班「裁判では、調査内容についていくつかの指摘がなされました。調査目的をもっと明確にすること・調査期間を区切ること・目的を達成するのに必要な致死的調査のサンプル数を合理的に設定すること・非致死的調査をもっと検討すること・国際的な他の研究機関との協力を促進すること、といったようなことです。新計画では、これら判決の指摘を全て反映しています。」

日本がそもそも捕鯨調査にこだわるのは、科学的データをもとに商業捕鯨を再開させるというねらいがあるからだ。これに向けて非常に重要なのは、クジラの人口ピラミッドを作ることである。RMP(Revised Management Procedure)という算出手法を適用することで、商業捕鯨のために持続可能な捕獲頭数を割り出すことを目標としている。全体で何十万頭ものクジラがいるうち、どれくらいの割合のクジラが性成熟年齢なのか、つまり繁殖できるのかを調べ、将来的なクジラの人口動態を把握することは、鯨類資源管理に貢献する、というのが日本の立場だ。

スプートニク「クジラの年齢調査は耳垢の採取によっておこなわれます。現在はクジラを捕獲した上で耳垢を取っているわけですが、クジラを殺さずに耳垢を取るなど、調査方法を改善させることはできないのですか」

捕鯨班「クジラが生きている状態で耳垢だけ採取することは、現時点ではかなり難しいです。一部、科学者によっては、部分的に皮膚を削ぎとって、そのDNA情報を調べればある程度の年齢情報がわかるのではという人もいますが、現時点ではそこまで研究は進んでいません。そのやり方では精度の高い年齢情報はまだ得られない上にコストも非常にかかり、現実的ではありません。また、個体が性成熟しているかどうかは解剖して生殖腺を見てみないとわかりません。」

今回、致死的調査の対象種はクロミンククジラのみとなっている。他のクジラ(ナガスクジラ・ザトウクジラ)の生息数・分布域は目視で観察することになっている。

スプートニク「そもそも、将来的な捕獲許容量を決めるために致死的調査を含む捕鯨調査をするということは、IWC国際捕鯨委員会の多数を占める捕鯨反対国からは理解が全く得られないのでは」

捕鯨班「日本の目標は科学的根拠に基づく持続可能な商業捕鯨の再開ですので、それを実現するためには科学的情報を収集することが不可欠です。そのためにこういう調査が必要であるということです。ICJ裁判においては国際捕鯨取り締まり条約のもとで議論が行われてきました。その判決の中で、この条約の目的のひとつが『鯨類資源の持続可能な利用である』ということが明確にされました。日本が行っていることは、まさに条約の目的を達成することです。逆に、持続可能であろうとなかろうと、『捕鯨は何でも禁止』というのは、むしろ条約の目的に反する考え方であると我々は思っています。」

 

 

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