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    夫婦別姓だけじゃ甘い!フルネームは2500 円で変えられる

    夫婦別姓だけじゃ甘い!フルネームは2500円で変えられる

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    徳山 あすか
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    日本の最高裁は先月、民法750条「夫婦同姓の原則」について、夫婦が同じ姓を名乗ることは日本社会に定着しているとして合憲だと判断した。原告団は「姓を変えることがもし簡単なのなら、なぜ大部分の男性が変えないのか。現行制度は実質的に、姓を変えたくないなら結婚するなと、女性に言っているのと同じことだ」と主張していたが、認められなかった。

    最高裁は立法府での議論を促した形だが、自民党の野田聖子・前総務会長は「党内で議論させてもらえない。党内で反対する側は『家族の絆が壊れる』と合理的に議論できないものをぶつけてくるので議論ができない。」と述べている。つまり姓とは反対派にとって家族の絆の象徴なのである。しかしこれでは、なぜ夫婦同姓の日本で離婚が増えているかは説明できない。2016年元旦に厚労省が発表した人口動態統計によれば、2015年の離婚件数は推定で22万5000組と、前年より増加し、2分20秒に一組が離婚している計算になる。

    1984年から活動している市民団体「夫婦別姓選択制をすすめる会」事務局の小境範子(こざかい・のりこ)氏は最高裁判決を受け「姓を残したいという切実な思いがあり、決まったパートナーがいても婚姻届を出していない会員が多いですね。当会は50代、60代のメンバーが中心ですが、80代の会員もいます。会員のうち1割は男性です。この問題は私の世代で終わるものかと思っていましたがまだまだ長引きそうで、今回の判決にがっかりしています。しかし選択の幅を広げるということで世論に柔軟性が出てきましたし、別姓選択容認の報道が多くなってきたのはありがたいと感じています」と話している。

    ロシアの例をご紹介しよう。実はロシアでは、姓も名前も父称も自分の意思で変更できる。14歳以上に達していれば、希望するタイミングで申請することができる。つまり改姓と結婚とは法律上、何の関係もないのだ。申請に必要なものは申請書と1600ルーブル(現在のレートで約2500円)の手数料、パスポートや出生証明書などの書類である。父称とは父親の名前から作るミドル・ネームのようなものだ。例えばプーチン大統領のフルネーム(名字・名前・父称)はプーチン・ヴラジーミル・ヴラジーミロヴィチとなる。つまりプーチン大統領の父親もヴラジーミルという名前であることがわかる。

    もちろんロシア人でもいろいろな人がいる。若くても伝統にのっとり、結婚と同時に夫の姓を名乗る場合も多い。モスクワの大学院生、23歳のマルガリータさんは最近結婚して、フローロワという姓から、ダローシキナに改姓した。この姓はダローガ(ロシア語で道路という意味)という単語に由来するものである。マルガリータさんは「フローロワという姓は響きも綺麗で気に入っていたし、ダローシキナは正直、道路をイメージするので好きじゃありませんが、それでも夫の姓に変えることに決めました。これは私自身の選択です。日本の制度は夫婦どちらかに改姓を強要するもので、選択の自由がないという点でよくありません。どんな姓を名乗りたいかは自分で決めることだと思います。」と述べている。また、年金生活者のナタリヤさんは40年前、成人したことをきっかけに、母方の祖母の姓を名乗ることにした。その後結婚したが、姓は現在に至るまでそのままだ。姓の変更は彼女にとって、成人したことの証明のようなものだった。起業や転職、転居など人生の大きな節目で心機一転し、新しい名前にあやかって強運や良縁を手に入れたいと願う人々が、改姓・改名をするというわけだ。

    日本では夫婦別姓の批判材料のひとつとして「夫婦別姓を選択した場合、親子で姓が違うのはいかがなものか、ましてや兄弟が別々の姓でいることは悪影響がある」という言説が囁かれるが、もちろんこれはロシアでは問題にならない。たとえ出生の際に親が兄弟の姓を統一したとしても、後から自分で変えられるからである。兄弟で異なる姓をもつ著名人といえば、映画監督のアンドレイとニキータだ。兄アンドレイは詩人である母の姓コンチャロフスキーを、弟ニキータは作家である父の姓ミハルコフを名乗っている。2人の父、セルゲイ・ミハルコフはロシア国歌の作詞をした人物だ。

    このようにロシアの人々の姓、名前全体に対するアプローチは非常に多様であり、世代や性別によって縛られるものでもない。また、姓と家族の絆を同じ土俵で考えることもない。

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