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    サハリン州の州都ユジノサハリンスク

    今年のビザなし訪問事業計画大筋合意、自由訪問が自由ではない理由

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    徳山 あすか
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    先月25日ユジノサハリンスクで、2016年度のビザなし訪問事業計画に関する代表者会議が行われ、大筋で合意がなされた。この会議は1年ごとにサハリンと札幌で開催されているものだ。日露双方から、ビザなし訪問を実施する事業主体の関係者や当局の担当者が出席した。

    出席者の一人である公益社団法人・千島歯舞諸島居住者連盟(通称:千島連盟)の業務第一班長、松尾秀治(まつお・ひではる)氏はスプートニクの取材に対し「今年もいつも通り、友好的に話し合いができました」と述べた。

    ビザなし訪問の形は大きく分けて3種類ある。墓地を訪れる「墓参」、日本人とロシア人の人的交流に重きを置いた「ビザなし交流」に加えて、1999年から「自由訪問」という枠組みがスタートした。自由訪問は国の補助を受け千島連盟によって実施されている。自由訪問とは、ふるさと訪問とも言える。ビザなし交流では大きな町を訪れ施設を見学したりロシア人と交流を行い、相互理解を深めることがメインだが、自由訪問では元島民やその家族が、かつて住んでいた場所を訪れることを主目的としている。自由訪問という名称ではあるが、実際のところ自由に行動できるわけではない。今年の自由訪問の担当者である松尾氏は次のように話している。

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    © AFP 2017/ Toshifumi Kitamura
    松尾氏「元島民の方の、居住地跡の散策が自由訪問の柱です。アンケート調査でどこに行きたいか聞きますが、日程や時間的に難しいこともあります。千島連盟会員の皆様には一括して参加希望を聞いています。しかし船のキャパシティや参加希望者の年齢の問題もあり、全て希望通りにはなりません。」

    特に高齢の元島民については、次回行けるかどうかの保証はないため、色々な要素、優先度合いを見ながら、優先順位が決められていく。行き先によっても希望者数に差が出てくる。国後島なら泊(ゴロヴニノ)、択捉島なら紗那(クリリスク)はいつも希望者が多い。

    松尾氏「元島民本人のみに限らずその子どもや孫、三世代で祖父母の住んでいた場所を見たいという方が多くいます。もう何もないのですが、そこに昔住んでいたんだよ、という話をするため、親族で行かれるケースが多いですね。」

    日本人の居住地跡に辿り着くのは多くの場合容易ではない。ビザなし訪問専用船「えとぴりか」には25人乗りの交通船が搭載されていて、本船から交通船に乗り換え、砂浜に乗り上げて上陸する。喫水の問題からえとぴりか号を接岸できないため、救命胴衣を着け、船を乗り換えることは必須である。しかし海が荒れていると交通艇を海に降ろすこともできない。運良く砂浜に上陸できたら、そこから徒歩で目的地まで向かう。これにはかなりの体力が必要だ。高齢の元島民には、介助をしてくれる親族がいなければ、また介助者がいたとしても体力の関係で時間内到着が難しい。また天候の要因にも大きく左右される。

    2015年度は全部で7回予定されていた自由訪問のうち、2回が中止、出航したものの悪天候のため上陸できなかったことが3回あった。

    自由訪問は、名称こそ「自由」がついているが、様々な制約があり実際の自由はない。昨年、予定通り実施できたのがわずか2回だったこともそれを物語っている。ビザなし訪問開始から今年で25年になるが、参加者や参加枠組みが限定されており、このために人の往来の自由がないことは、両国にとって大きな損失だ。

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