狂った世界は、核戦争の準備か?

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狂った世界は、核戦争の準備か? - Sputnik 日本
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ここ数日、世界のマスメディアが伝える主要ニュースの一つは、何と言っても先制核攻撃の話題である。 これに関し、モスクワ国際関係大学のアンドレイ・イワノフ上級研究員の見解を、以下皆さんに御紹介したい。

金曜日には、北朝鮮の指導者金正恩第一書記が、国の全指導部に対し、祖国防衛のために、いつでも核兵器を用いる事ができるよう準備せよと指示したとのニュースが世界を駆け巡った。加えて彼は、先制攻撃の準備ができるよう国の軍事ドクトリンを見直した。恐らく、こうした措置は、又もや核実験を行い人工衛星を打ち上げた北朝鮮に対し、先日国連安保理事会が導入した厳しい制裁に対する答えだったと思われる。北朝鮮がミサイル搭載可能な小型核弾頭を所有しているとの証拠がないにもかかわらず、日本では、金正恩第一書記の好戦的な指示は、大きな不安を呼び起こしたが、これには全く根拠がない。

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こうした状況の中、例えばロシアについて言えば「NATOからの核兵器による先制攻撃の脅威にさらされている」-そう言えないだろうか?これは被害妄想などではなく、今から数年前、米国が、ノルウェー国内のロシア領から遠くないところで、核攻撃の訓練を実施している事実を公式に確認したことで明らかになった。米国の週間軍事新聞「エアフォース・タイムス(Air Force Times)」は、こうした演習に、米国の戦略爆撃機В-52が、ロシア側からの攻撃の可能性を危惧するNATO同盟国の支援のため派遣された事を、はっきり指摘した。

またほとんど同じ時期に、米国のロバート・ヨーク国防次官は「必要があれば、米政府は、核兵器を最初に使用する用意がある」と言明した。またNATO欧州連合軍のフィリップ・ブリードラブ最高司令官は、ロシア北西部の対ミサイル防衛システムを弱体化させるプランについて語った。そうした目的のため、北欧や英国には、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F-22「ラプター」やF-35を配備する計画だ。それ以外に米国は、古くなったノースロップB-2スピリットやВ-52に代る、長距離打撃爆撃機(Long Range Strike Bomber、略称LRS-B)プロジェクトによる戦略爆撃機B-21の製造作業を活発化させている。こうしたすべての空騒ぎの目的は、ロシアの領土を大手を振って攻撃する事にある。

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なぜそんなことをするのだろうか? ロシアには、NATO加盟国であろうと、スウェーデンやフィンランドのようなNATOの枠外に残っている国であろうと欧州のどの国も攻撃するつもりはない。しかし米国は、ここ最近、クリミアをロシア語系住民保護を口実に「併合した」ロシアは、バルト三国でも同じことをする準備をしているとの恐怖感を、欧州諸国に強く吹き込み、NATO加盟国として守られていないスウェーデンやフィンランドに対しは、すぐにNATOに加わるよう求めている。

ロシアの脅威に関する妄想めいた声明を西側諸国の人々が信じるか否かは、定かではない。しかし、こうしたプロパガンダ・キャンペーンの組織者にとっては、そんなことは重要ではないのだろう。とはいえ、すべての人々にとって重要なのは、別の事だ。もしロシアの脅威という呪いの言葉が、軍事予算拡大のために必要なだけなら、それはたいしたことはない。災いは、軍備が増強される事で、演習で仕上げのなされた技能や新しい軍事技術を実践で使ってみたいとの誘惑が高まってゆく事にある。しかし今のところまだ、一つ安心できることがある。それは、米国やNATOで行われている対ロシア戦の近代化は、西側の敗北を示したという事だ。ロシアはこれについて分かっているが、自分達の優位性を利用するつもりはない。問題は、西側つまり欧米が、ドンバス(ウクライナ東部・南部地域)でのジェノサイド(住民の大量虐殺)を許さず、シリアでは断固としてテロリストと闘うロシアを「侵略的」で「不適当」とみなす事にある。恐らく彼らにとって「平和的でふさわしい」ロシアというのは、脆弱で、米政府やNATO当局からなるチームの言う事をよく聞くロシアなのだろう。しかしもうロシアは、そんな風にはならない。つまりこれは、ロシアとの核戦争を意味するものなのだろうか?

 

 

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