04:43 2020年08月12日
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フクシマ=事故処理と大変動後の生活 (35)
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福島第一原発事故から5年目を迎え、被災地の状況について、日本政府や東京電力などは「状況は改善されつつある」との楽観的な見方を示しているが、日本人の全てが、そうした考えに賛成しているわけではない。浴びる放射線量がわずかであっても、その影響が本人そして子孫に及ぶのではないかと心配している人達も多くいる。「グリンピース・ジャパン」などの組織は「多くの問題が、まだ未解決のまま残っている」と厳しく指摘している。

スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者は「グリーンピース・ジャパン」のエネルギープロジェクトリーダー、高田久代 (タカダヒサヨ)さんに、御意見を伺った―

「一番重要な問題は、多くに共通している事だが、福島第一原発事故から5年がたった今でも、いまだに事故は収束していないという点だ。事故は、現在進行形で続いている。それにもかかわらず、東京電力や日本政府は、現状をなるべく小さく見せよう、矮小化しようとして、原発はもう大丈夫だとか、もう問題は解決しましたとか言ったり、または別の原発の再稼働を進めるなど、責任を取らずに同じような過ちを繰り返そうとしている。そうした彼らの姿勢が一番の問題だと感じている。

問題がたくさんあり、そのどれか一つをあげるのは難しいが、例えば、放射線量がまだ高い場所にもかかわらず、政府の方針として来年の春には、住民の帰還を促し、その一年後には補償を打ち切るといった方針が示されているのは、大きな問題だ。確かに福島県の中には、すでに放射線量が下がったり、もともと放射線量が高くなるのを免れた場所もたくさんあり、福島県全体が危険なわけでは決してない。ただそうは言っても、放射線量が高いままの場所もあるので、戻る戻らないの判断をそれぞれの方ができるように、被害者の側に寄り添ってサポートするのが、電力会社や政府の役目だと思うが、現状はそうではない。彼らの行動からは、できるだけ早く、原発事故は終わりましたという風に印象付けたいという姿勢が透けて見える。

福島、事故から4年の姿
© 写真 : Arkadiusz Podniesinski/REX
また環境の視点から言えば、5年たった今でも海や大気中への放射能の汚染は、止める事が出来ずに続いている。そして敷地の中には、汚染水という形でたくさんのタンクに、いまだ処理するめどの立たない汚染水がたくさんたまっている。そうした事から、地震が多い日本で又次にそれが起きた時に、津波などが又起こり、それらの汚染水が大きく漏れ出したり、福島原発の敷地内にそのまま残っている高濃度の溶けだした核燃料が再び危険な状態になるといった可能性がある。そうした事が起こらないと誰も否定できない。そうした危機があるにもかかわらず、それを認めずに誤りを繰り返そうとしている電力会社と政府の姿勢に大きな憤りを感じる。

福島で原発事故が起きる前までに、日本では、汚染水も含め、これだけの規模の除染廃棄物や放射性廃棄物が出るとは、考えられていなかった。電力会社も政府も、これだけの規模の事故が起きるとは考えていなかったので、この沢山の廃棄物をどうするかのめども立っていないのが現状だ。もともと本当に豊かな穀倉地帯で、お米や牛肉などの一大産地で、たくさんの農家の方や地元の方々がとても大切にしてきた土地の上に、放射能で汚染されたゴミが山積みになり、もう何年もたっているのを見ると、そこに住む方々や当事者でなくても、大変悲しくなる。

事故から5年たったが、どの世論調査を見ても、日本国民の過半数以上が原発に反対している。事故が起きて直接被害を被った人達だけでなく、日本には、あれだけの事故が起きてもまだ何もする事が出来ないと嘆き、原発とはこれほど恐ろしいものだったと強く思っている人達がたくさんいる。そして先日も、大きな裁判の仮処分の判決があったが、国民が原発というものは怖いなと、原発はこれからも使い続けるものではなく違うものにしてゆかなくてはならないと感じている一方で、電力会社と政府は再稼働を進めようとしている。そうしたことに対し、やはりおかしいと感じ、より大きな憤りを感じて、原発を止めてほしいという気持ちを新たにする人達もたくさんいる。

これまでグリンピースは30回近く現地に入って調査活動を続けてきた。また現在、福島原発沖の海でも最新の調査を行っている。」

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