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    金正恩氏

    金正恩氏は朝鮮労働党大会を利用して北朝鮮で革命を起こすつもりか

    © AFP 2016/ KCNA
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    アンドレイ イワノフ
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    5月初め、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正恩第1書記は朝鮮労働党大会を実施する構え。このことは正恩氏が自ら推し進める政治改革に朝鮮労働党メンバーの広範な層の支持を取り付けることで政権強化を図ろうとしていることを物語っている。

    これについて、モスクワ国際関係大学、国際調査研究所の上級研究員、アンドレイ・イヴァノフ氏は次のような考察をまとめた。

    「北朝鮮の改革を開始したのは金正恩氏ではなく、その父親の金正日氏だ。金正日氏が改革を余儀なくされたのは1990年代後半、北朝鮮は旱魃だ、洪水だと様々な自然災害に見舞われたことが理由だった。こうした災害のおかげで大規模な飢餓が起こり、このために中国、ロシア、米国、韓国、日本など多くの諸国の行なった人道援助にも関わらず、天災による犠牲者の数は、西側諸国のマスコミ情報によれば数十万人とも数百万人ともされている。同時に社会主義陣営が姿を消し、それとの結びつきが断たれたことも北朝鮮経済には打撃となった。生き残るために人々はあらゆる規則、法律を侵し、事実上、民間企業活動に従事し始めた。北朝鮮政権はといえば、だまってこれを看過し、金を稼ぎ、食物を買うために市民が中国との国境を不法に越境する事実にも目をつぶった。

    その結果、北朝鮮には中国製の製品、食料品が姿を現し始め、民間経営のレストラン、小規模の工場が出来始めた。だがこうした無秩序状態に終止符を打つ代わりに、2000年代の初め、金正恩氏は経済改革の開始を宣言した。正恩氏が感化を受けたのは中国、ベトナム、ロシアの事例だった。といっても当然ながらエリツィン型の経済改革ではない。プーチン型のものだ。そしてこれを韓国の金大中(キム・デジュン)大統領が支援した。かつて政権からの抑圧を受け、韓国版CIAの韓国中央情報部によってもう少しで殺害されるところだった金大中氏は、対北関係に『太陽政策』を推し進め、2000年の夏にはピョンヤンを訪れ、金正日氏と会談まで実施した。

    北朝鮮は国際的な孤立状態から急速な勢いで抜け出ようとし始めた。こんな北朝鮮と外交関係を樹立しようという国は西側諸国のなかに出始めた。とはいえ、当時、ジョージ・ブッシュ政権の米国がこうしたプロセスを激しく阻害したのも事実である。というのもブッシュ大統領を取り巻く補佐官らは北朝鮮問題は交渉ではなく、喉元を絞めあげる制裁を用いて解決すべきと考える者らばかりだったからだ。米国側からの非難は改 革に反対する北朝鮮エリートの保守層の影響力を強めてしまい、おそらくはこうした者らとの戦いに疲れ、金正日氏は死期を早めてしまったのだろう。2011年12月にこの世を去った。

    ところが、国内の改革反対者の抵抗、米国のあからさまな敵意、保守が政権に返り咲いた韓国の、どう考えても利口とは言えない政策にもかかわらず、政権を引き継いだ金正恩氏は改革に新たな弾みをつけた。こうしたことは、スイスのエリート校で学んだこの人物からは十分期待できたことだった。かくて北朝鮮のバラエティーショーのステージには、以前なら『米国帝国主義』のシンボルとして禁じられていたミッキーマウスやミニー、西側のスケールからしてもあまりにも短すぎるミニスカートをはいた少女歌手が登場しはじめる。また北朝鮮経済には成金が出現した。この成金らは一見、『役人』の仮面を被っているが、実際は自前の工場や企業を持つ、れっきとした経営者だ。

    一言で言うならば、北朝鮮は変わりつつある。この国は民主主義の輸出国である米国のずたずたにされたユーゴスラビア、イラク、アフガニスタン、リビアのような悲惨な運命を繰り返さないために、軍備に途方もない経費を費やさざるを得ないものの、それでも新たな経済を築こうとしているのだ。

    この路線を揺ぎ無いものとするために金正恩氏は今、大会を必要としている。若い指導者は西側からの多大な圧力に抗し、保守派の改革反対を克服するために与党政権党の党員らの支持を取り付けたいと望んでいる。この試みが吉とでるかどうか。ピョンヤンへ赴き、大会の様子を見てみようと思う。

     

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