07:37 2017年12月14日
東京+ 2°C
モスクワ+ 1°C
    木下順介

    ロシアで活躍する木下順介監督、俳優業との両立・モスクワ国際映画祭の価値について語る

    © 写真:
    オピニオン
    短縮 URL
    徳山 あすか
    0 100

    ここ数日モスクワでは真夏日が続き、街は23日に開幕した国際映画祭で盛り上がっている。スプートニクは、モスクワで映画監督、俳優として活躍する木下順介氏にインタビューを行った。本稿ではインタビューの抜粋をご紹介する。

    木下氏によれば、モスクワ映画祭は「日本人にとって、とても良い映画祭」だという。

    木下氏「モスクワ国際映画祭は、日本の映画をとても高く評価してくれている映画祭です。新藤兼人監督や黒澤明監督の時代から密接なつながりがあり、マーケッターやプログラマーも毎年、日本の映画をどういう風に上映するか、今どんな映画が日本にあるのかを常に見ています。映画祭にはそれぞれのカラーがあります。世界四大映画祭(カンヌ、ヴェネチア、ベルリン、モスクワ)のうち、モスクワ国際映画祭は『しぶい映画』と言いますか、内容の深い作品が出品できる余地のある映画祭ではないかと思います。」

    木下氏は今年の春に行われた、クラスノゴルスク国際スポーツ映画祭で審査員を務めた。審査員は純粋に映画の出来栄えを見て評価をつけていくわけだが、時として、最終的な審査結果が(審査員の了承の上でだが)当初の審査結果と違うこともある。映画祭には商業的な側面が付き物なので、「映画祭の事実を目の当たりにした部分もあった」と木下氏は話す。しかし、いずれにしても、映画祭のコンペ作品としてノミネートされている時点で、映画としてかなりのハイレベルであることは間違いない。賞を取るかどうかは、審査員の好みや時代によっても左右される。大事なのは映画祭に出るか出ないかだ。

    木下氏「今回のモスクワ映画祭もそうですが、世界中から莫大な数の作品が来ますから、その中からコンペティション作品として7~8本の中に選ばれ、『映画祭のまな板』の中に上がることが、映画祭の中で一番大変であると感じています。また、コンペ作品には選ばれなくとも、映画が何らかの形で映画祭で上映されれば、監督、プロデューサー、俳優たちも映画祭に来てレッドカーペットを歩くことができます。それは映画人として、ものすごく大きなことですし、将来への励みにもなります。」

    木下氏は俳優としての活躍も目ざましく、ロシアの戦争ドラマ「勲章」やコメディドラマ「永遠の休暇」などに多数出演している。6年前にロシアへやってきた当時は全くロシア語がわからなかったため、まさか役者をやることはないだろうと思いきや、当初の予想とは裏腹にどんどん仕事が来ている。もちろんこれは、日本で長い間俳優として活躍していたからに他ならない。木下氏は「日本の教育にも感謝しているし、それをロシアで発揮できているというのは、不思議なものだが嬉しい」と話す。

    木下氏「自分が頑張って仕事をすることで扉を開いていけば、ロシアの演劇・映画の分野で頑張っている日本人の学生が、そのままロシアに残って活躍できる土壌を作れるのではないかと思っています。そうして人が増えれば、役も増えていくものなのです。役者として、何語であろうともしっかり演技できる力をもっていれば大丈夫です。日本の俳優はとても器用で、周りを見てしっかり集中して演技をする能力に長けていますから、世界中で活躍できると思うのです。語学が苦手だからといって海外へ行けない、と思う必要はなく、相手にとって、必要な情報を発信する人であるかどうかの方が大事です。」

    映画製作のような大きな仕事をするとき、一つのチームの中には、世代・国柄・価値観に起因する様々なギャップがあるが、重要なのはそのギャップをマイナスに出さず、目的に対して一つになり、結果を出すことである。木下氏は近年、監督としてドキュメンタリー映画「魂」(『終わりの時と始まりの時』および 『ボリショイ卒業』)を製作した。ボリショイバレエ団の元ソリストで、現在は国立ブリヤートオペラ・バレエ劇場バレエ団芸術総監督を務める岩田守弘さんに密着したものだ。同作品はドキュメンタリー映画の登竜門とも言える映画クラブ「ロシアの道」で、日本人監督の作品として初めて上演され、最高の観客動員数を記録した。

    木下氏は夏は主に俳優業、冬は監督業を中心に仕事をしている。現在、何本かの映画が企画段階に入っており、脚本はロシア語に訳されている。また、自らの監督作品だけでなく、今年の春にモスクワで撮影された今関あきよし監督の映画「ライカ-Laika-」にはラインプロデューサーとして参加している。これをロシアで広めていくことも目下の仕事の一つだ。モスクワでますます存在感が高まる木下氏の仕事に、これからも注目したい。

    木下順介氏のフル・インタビューは、スプートニク・サウンドクラウド「話題のテーマ・インタビュー」コーナーの「木下順介氏、ロシアでの監督・俳優業の醍醐味と、モスクワ国際映画祭について語る」でお聴き頂けます。

    コメディドラマ「永遠の休暇」予告動画(木下氏はコック役で出演)


    タグ
    ロシアに滞在する日本人
    コメント・ガイドディスカッション
    Facebook経由でコメントスプートニク経由でコメント
    • コメント