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    広島の教訓は学ばれず

    広島の教訓は学ばれず

    © AP Photo/ Eugene Hoshiko
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    リュドミラ サーキャン
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    毎年8月6日には、世界中で核兵器禁止を目指す祈りがささげられる。まさに1945年のこの日、人類史上初めて広島に、それも人口密集地に原子爆弾が投下された。さらにその3日後、長崎でも、そうした悲劇が繰り返された、原爆により広島では、当時の人口35万人のうち14万人が、長崎では、7万4千人が非業の死を遂げた。犠牲者の圧倒的多数は、戦闘員ではなく、普通に暮らしていた一般市民だった。

    広島及び長崎への原爆攻撃が、恐ろしい悲劇であることは疑いがない。しかし核兵器使用の是非に関する意見の対立は、現在に至るまで収まっていない。容認派は、原爆投下により、日米でさらに多くの犠牲者を出すことを阻止できたと主張している。一方反対派は、原爆投下に軍事的必要不可欠性はなかった、他の方法とは違い、原爆投下は、その本質から言って人間の倫理に反する戦争犯罪だと捉えている。

    毎年広島と長崎では、悲劇の日に「平和慰霊式典」が行われ、原爆投下後も生き残られた被爆者の方々が必ず参列されている。何十年もの間、彼らは、絶えず勇気をもってご自分が体験された悲劇を語り、核兵器使用による非人間的で道徳に反する結果について世界に警告を発してこられた。また被爆者の方々は、核兵器保有国に対し核軍縮を加速化するよう訴える請願書のための署名集めを、ずっと行ってきた。彼らは、政治家にも、そして一般の人達にも、核兵器のない世界を創り出すよう訴え続けてきた。しかし被爆者の平均年齢は、すでに80歳を超えており、その数は毎年どんどん減り続けている。日本被団協の最高齢メンバーで、反核運動家である坪井直(ツボイスナオ)氏は「現在の課題は、過去を掘り返すことではなく、未来を見つめることだ」と、おっしゃっている。坪井氏は、インタビューに、次のように話された-

    「いろいろ人間、いいところ悪い所があるが、それをまとめて、人類の幸せをつかむためにはどうしたらよいか、その事を考えると私は胸がわくわくする。あの事件は、歴史の1ページとして、人類が誤った不幸な原爆投下として、それはそれとして、私達は未来に向け頑張らなくてはならない。」

    昨年、広島での慰霊式典で、安倍首相は、核兵器完全廃絶に関する国連総会決議を準備していると述べた。そうした決定が、遅かれ早かれ、採択されるよう望まれる。しかし今のところ、最高級の専門家レベルでさえ「核兵器監視プロセス全体が、これまでにない包括的な危機に見舞われている」と確認している。ロシア世界経済国際関係研究所国際安全センターのアレクセイ・アルバトフ所長は、次のように述べた-

    「冷戦時代、核兵器は、非常にたくさん蓄えられた。その威力は全体で『ヒロシマ級原爆』の150万個分と言われている。この事は、地球の生き物すべてを殲滅する恐れのあるものだった。ここ⒛年の間に、核兵器の数は、米国そしてロシアも含め、かなり減った。しかし、まだそれでも多くの核兵器が残っている。

    相互の核抑止政策は、もちろん、核兵器使用を抑えるものとしてそれなりの政治的役割を演じた。しかし、このモデルは、新しい、より危険なプレーヤーが現れている事によって、古くなりつつある。そうしたプレーヤーになりうるのは、まず自爆犯のようなテロリストだ。もし核物質を手に入れたなら、彼らはそれを使うだろう。彼らにとって、自分の命も他人の命も大切ではないからだ。 中東には、そうした道に沿って進む可能性がある民族主義的、原理主義的体制が存在する。

    朝鮮半島の状況も、同じくひどい。中には、つい最近までは考えられなかったようなこと、つまり限定的に核兵器を使用する軍事紛争が起こる可能性があると公言する人さえいるくらいだ。」

    被爆者の方々の老齢化が進み、亡くなられていくにしたがって、核兵器をめぐるタブーは、日本国内でさえ、力を失いつつある。 そうした傾向はまだ弱く、もちろん、日本人の大多数は、それを支持していないにもかかわらず、今や一連の理論家達は、日本自身が核大国となるのは正当なことだと言い始めている。 広島・長崎の教訓は、果たして本当に学ばれなかったのだろうか?

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