11:22 2020年12月01日
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政府は今月、高速増殖炉「もんじゅ」について、廃炉を前提に抜本的に見直す姿勢を明らかにした。もんじゅの廃炉は、年末にも正式決定される見込みだ。

昨年11月の時点で原子力規制委員会は、日本原子力開発機構によるもんじゅの運営が「不適当」だとして、新しい運営主体を見つけるよう、もんじゅを所管する文部科学省に勧告していた。文科省は新法人を設立してもんじゅを存続させることを目指していたが、政府の理解が得られなかった。もんじゅの再稼動には、文科省の試算によれば18年間で約5800億円かかるという。現在は動かないもんじゅを単に維持するだけでも、年間で223億円が失われている。

NPO法人・原子力資料情報室の伴英幸(ばん・ひでゆき)共同代表は、政府がもんじゅ廃炉を前提に動き始めたことを受け、「ようやく廃炉の決断が出て良かったです。ここまで時間がかかったのは遅きに失しますし、もっと早くに決断しても良かったと思いますが、いずれにせよ廃炉という方向性が打ち出されたことについては歓迎しています」と話している。
さて、もんじゅ廃炉後、日本のエネルギー政策はどのような方向に転換するのか。複数の政府関係者は、もんじゅが廃炉になっても使用済み核燃料をリサイクルすることを目指す日本の核燃料サイクル政策に変更はない、との見方を示している。

高速増殖炉は、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉というステップを踏んで開発される。このうちもんじゅは第二段階の「原型炉」である。このステップでは発電技術を確立することが求められるが、うまくいかなかった。もんじゅが廃炉になれば、この段階を踏んでいくことは不可能になる。伴氏は、政府が核燃料サイクルを堅持することが難しい理由について、次のように話している。

伴氏「国はもんじゅと、もんじゅの次の段階につながる実証炉の開発をエネルギー政策の主軸にしてきました。もんじゅを廃炉にするという結論が出れば、『核燃料サイクルは堅持する』と言っても、実質的には撤退していくことになると見ています。日本国内には常陽(茨城県大洗町)が実験炉として残り、それを使って細々と研究を続けていくことになるのでしょう。しかし常陽の原子炉では意義のある研究、将来の高速炉を目指すような意味のある研究成果は得られないと思います。次の原子炉を作るにしても、福島の事故もありましたから、現実問題として国内に建設予定地が見つかることはないでしょう。」

文科省は常陽の再稼動を目指しているが、常陽はもんじゅの前段階のポジションにあたる実験炉である。常陽が再稼動しても、もんじゅの建設前に逆戻りすることになる。政府は核燃料サイクル政策温存のため2030年頃に運転開始すると見られるフランスの実証炉研究計画へ参画しているが、成果を活かす見通しはない。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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