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    ジョック・スタージス氏

    モスクワでジョック・スタージス氏のスキャンダラスな展覧会が閉鎖されたのはなぜか?(写真)

    © 写真: Tatiana Skládalová
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    タチヤナ フロニ
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    モスクワの「リュミエール兄弟写真センター」の指導部は、世論の圧力を受け、同センターで開かれていた写真展「ジョック・スタージス。恥の欠如」を自主的に閉鎖した。

    ヌード写真、時には10代のモデルのヌード写真で世界に名を馳せる写真家ジョック・スタージス氏にとって、このような状況は初めてのことではない。スタージス氏は以前、米国でスキャンダルの真っただ中に置かれたことがあった。1990年代、FBIがスタージス氏のスタジオを家宅捜索し、10万点以上のネガ、写真、カメラ、さらに他の機器を没収した。しかしこの米国での出来事は、スタージス氏のキャリアにとって画期的なものとなり、同氏の知名度を上げた。地元の裁判所の陪審員らは、その後も何らかの容疑でスタージス氏を訴えることもなく、西側のアートコミュニティーは、足並みをそろえてスタージス氏の側に立ち、同氏の写真をめぐるスキャンダルは、ヒステリーと米国における芸術的表現の自由の弾圧のケースだと指摘した。

    ​ロシア人性科学者のレフ・シェグロフ氏も、「スプートニク」のインタビューで似たような見解を表し、次のように語っている-

    「この展覧会に何らかの容認できないものが実際にあったか否かを評価するためには、社会団体や社会活動家たちではなく、少なくとも専門家たちの意見が必要だ。なぜなら特定分野の専門的評価は、それぞれが必要不可欠な多くの基準を持っているからだ。私が展覧会で見たものから判断した場合、スタージス氏の作品はポルノの概念には当てはまらない。そのためこの場合、問題は単に複数の人々の道徳・精神的基準にある可能性がある。なお展覧会には思慮深く『18+』と書かれていた。一方で常に『アグレッシブなモラリスト』として表現することを望む人々がいる。私は彼らをそのように呼ばずにはいられない。彼らは、エルミタージュ美術館のピアトロフスキー館長に対しても展覧会の閉鎖を求め、クレームをつけることがある。一度、欧州の劇場と何ら変りのないペテルブルグの マールイ・ドラマ劇場で豚の頭が放り投げられたことがあった。演目が何かによって彼らの道徳を不安にさせたからだ。しかしこのような許可なしに行われる社会行為や可能性のある禁止などは、全く逆の効果をもたらす。これらはスキャンダルの主役たちの熱狂的な人気をさらに加速させ、彼らの作品へ世論やメディアの関心をさらに集めるだけなのだ。」

    米国ではスタージス氏の作品にそれと同じことが起こった。この出来事により、スタージス氏の知名度は飛躍的に高まった。米国の複数の都市で活動家たちが書店を襲撃し、スタージス氏の写真集の撤去あるいは処分を求めた。このような「PR」のおかげで、スタージス氏の写真集は積極的に出版され、喜んで購入された。なお多くの批評家は、スタージス氏の成功は同氏の作品の芸術的価値ではなく、スキャンダルとスタージス氏の芸術の「政治化」の恩恵を受けていると指摘している。ニューヨーク・タイムズの美術評論家アンディ・グランベルク氏は、スタージス氏の作品について、もしポルノでなければ、同じく芸術でもないと指摘した。一方でグランベルク氏は、いずれにせよアーティストの自由は常に守られているべきだと強調した。

    ヌード写真、さらにはそれが非常に若いモデルたちであることが、小児性愛者たちを興奮させ、現実的に挑発するという考えや、自然に沸き起こる不安にはどのように対処すればいいのだろうか?シェグロフ氏は、次のように語っている-

    「もし展覧会で誰かに小児を対象とした性愛や性的嗜好があらわれたとしたら、その人はただできるだけ早く医師の診察を受ける必要がある。誰かが何かを懸念しているという理由のみで展覧会を閉鎖するというのは十分な根拠ではないように思われる。誰かが子供の遊び場でミニスカートを穿いている少女を見て興奮する可能性も同じように懸念できる。そして世論はこの後どのような行動を取る可能性があるのだろうか?子供たちに宇宙服を着ていない場合には外出するのを禁止するのだろうか?専門家に代わってよく知識のない、時に悪意に満ちた人たちが芸術を評価することがある。彼らは時折『許すな!』という警察の役目を奪う。そして残念なことに、他の無学な人たちにとっては、それが伝染性の手本になることがある。」

    なお、世論の圧力やメディアでスキャンダルが繰り返し報じられたことにより、ロシア上院議員のエレーナ・ミズリナ氏と、社会院・安全保障委員会のアントン・ツヴェトコフ委員長も展覧会に注目した。両氏もスタージス氏の作品に、児童ポルノや小児性愛のプロパガンダの色合いという、多くの当惑する点を見出した。しかしこれは驚くことではない。なぜならかつて米国でも、世論がスタージス氏の写真集の出版を廃止するよう求めたからだ。まずは米国最大の書店バーンズ・アンド・ノーブルから始まった。しかしスタージス氏の論敵がバーンズ・アンド・ノーブルから勝ち取ることができたのは、写真集を書店のあまり目立たない棚に置き、特別な包装をして販売するのが精一杯だった。

    モスクワでのスタージス氏の写真展をめぐる状況が今後どのような展開を見せるのかはわからない。しかしスタージス氏が米国の時と同じように、スキャンダルの名声をもう一つ獲得したのは明らかだ。

    なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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