06:40 2020年05月27日
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米国はアジア太平洋地域に「ちょっとしたサプライズ」をもたらすべく5年間で数百億ドルを費やす。ペンタゴンのアシュトン・カーター長官が述べた。それら方策は潜在的な敵にとって非常に創造的かつ予想外であるという。

アジア太平洋地域のさらなる軍事化の計画に関する声明には既に見慣れたレトリックが使われている。軍事的サプライズは「平和、安定、進歩」の名の下にのみ行われるという。スプートニクはロシアの軍事専門家らに、国防長官の声高な声明の背後にあるものについて、本当に地域に米国軍事力の近代化が起こることを予期すべきか、コメントを求めた。

ロシアの軍事専門家コンスタンチン・シフコフ氏によると長官の挙げた数字は一見威嚇的だが、実際には、5年間で 400億ドルというのは別段大きな額ではない。装備の再編というのは複合的なプロセスだ。それは近代化だけでなく、新兵器の調達、開発、さらには、それらの供給をも含む。革新的な近代化やアジア太平洋地域におけるサプライズなどというものは非現実的に聞こえる。

「私は長官は実際の計画というよりはコマーシャルを打ったという印象を持っている。400億ドルでもちろん何かを行うことはできるが、超自然的なことは行えない。400億を5年で割れば年間80億。比較のために、米国の軍事予算は現在、約6600~7000億ドル。この中でアジア太平洋地域にサプライズをもたらすための400億という数字はどのように見えるか。これはペンタゴンの普通通りの自己満足的レトリックに過ぎない。パートナーらへの支援、利益の保護を含めてだ。数えたり、対置したりすることを知っている軍事専門家には、カーター発言は説得力がない。秘密兵器?しかし、あらゆる新しい、超画期的な武器はかなり長期的な開発や試験を必要とし、現代においてそれを隠蔽することはほとんど不可能である」

例えば米国は20年間極超音速兵器の開発に取り組んでいる。コンスタンチン・シフコフ氏は次のように述べた。

「今回の発言からただ一つ読み取れるのは、米国が組織および技術的な性質のサプライズを実行しようとしていることだ。どこかに新しいグループまたは地上ミサイル基地を設置する。例えば地対空ミサイルシステムMC-41Iを設置し、この地上設置装置にアンチミサイルだけではなく、陸上発射式トマホークも設置するなど。これはINF条約から出ることを意味するが、米国にはこの種のサプライズが本当にあるかもしれない。しかしながら、その場合にはロシアもまた根拠を持って米国にサプライズをもたらすことができる。米国に確証破壊をもたらす「スタートゥス6」多目的兵器システムを海上に置くなどといった、現実的なサプライズを、である」

それにもかかわらず、米国防総省の長官は、巡航ミサイル、海上誘導ミサイルトマホークの搭載量を三倍にすることにより、米国のヴァージニア級潜水艦の戦闘能力をより高める準備をすると公言した。コンスタンチン・シフコフ氏がこの情報を分析した。

「ヴァージニア級潜水艦は軽量ミサイル12発を積んでいる。彼らは32発を備えるロシアの潜水艦に追いつきたい。しかしヴァージニアが数を3倍にした場合は、その流体力学的特性が大幅に悪化し、ノイズが増加する。同艦はより脆弱になる」

また、アシュトン・カーター長官は、ペンタゴンは、十億ドル単位の金をかけて戦略爆撃機B-21やレーダー、新世代F-35多目的戦闘機500機の購入を行う計画を発表した。しかし、そうした戦闘機の開発にはなお少なくとも5年はかかるであろう、とコンスタンチン・シフコフ氏。

長官声明で具体的に「敵」が指定されることはなかったが、専門家は、彼が中国とロシアについて話していたことに疑いはない、とする。アジア太平洋地域における創造的なサプライズという公約は希望の目標を達成することができるか。それとも単に地域に新たな緊張をもたらすポテンシャルを持っているのだろうか。軍人専門家ウラジーミル・エフセーエフ氏は語る。

「私は米国がアジア太平洋地域におけるサプライズに費やす資金は中国とロシアによって簡単に平衡させられると思う。軍事費の規模を考えれば、特に中国は。サプライズということだが、米国の開発品のすべてをロシアはよくわかっている。また、ロシアは、極超音速機や新型潜水艇の開発を含め、同種の開発を進めている。したがって、今回のレトリックはいつものように中国とロシアに圧力をかけるためのものである。しかし中国もロシアもお金を数えることができる。ペンタゴンが示した金額は米国が地域で中国を抑止する能力のほどを北京に示している。中国が同等の対抗措置をとることは疑いない」

ただしおそらくその対抗措置はワシントンの期待の全く逆を行くだろう。カーター氏がアジア太平洋地域におけるサプライズなどという強迫的レトリックを弄したので、中国は軍事費を増大させ、地域へのプレゼンスも高めるだろう、とウラジーミル・エフセーエフ氏。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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