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    ぽんぽこマウンテン

    「35歳で映画に目覚めた」日本人の映像作品、モスクワのヴィデオアート祭で上映

    © 写真: Takayuki Yoshida
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    徳山 あすか
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    日本人の吉田孝行さんの作品が、モスクワの国際ヴィデオアートフェスティバル「Now&After 2016」(国立ダーウィン博物館)で10月22日から11月29日まで上映されている。吉田さんの作品「ぽんぽこマウンテン」はコンペ部門に選出されており、コンペ結果は今月20日以降に発表される見通しだ。

    吉田さんは一橋大学大学院を卒業後、会社勤めをしていたが、35歳で映画に目覚めた。吉田さんの表現者としての出発点は、ドキュメンタリー映画だった。吉田さんは2004年に新潟水俣病をテーマにした映画「阿賀に生きる」の佐藤真監督と出会い、感銘を受けた。佐藤監督を招いて上映会を開催することを計画し、監督本人の承諾も得たが、その後多忙を極め、結局上映会を開催することはできなかった。そのまま歳月が過ぎ、吉田さんは、佐藤監督が自ら命を絶ったことを知った。2007年のことだった。

    吉田さん「私は、自分にはやり残してしまったことがあると思いました。佐藤監督は確かに病気を患っていたものの、ドキュメンタリー映画という表現と格闘する中で『戦死』したのだと思いました。私は、彼がその生涯を通して探求したドキュメンタリー映画というものについて、もっと知りたいと思いました。」

    その後映画美学校に通い、表現者としての道を歩み始めた吉田さん。最新作品「ぽんぽこマウンテン」は世界10カ国、12の国際フェスティバルに選出されている。スペイン・マドリードのヴィデオアート祭では世界中の1000本以上の作品から、ロシアでも800本以上の中から、吉田さんの作品が選ばれた。作品のモティーフになった、ぽんぽこマウンテンとは一体何なのか?

    吉田さん「ぽんぽこマウンテンはフアフアドームとも呼ばれ、今のところ日本にしか存在しない遊具です。本作の撮影場所となった昭和記念公園や武蔵丘陵森林公園など広大な公園内にあり、雪山のように真っ白い半球形をしています。人間が創るものはほとんど硬直した直線で出来ていますが、ぽんぽこマウンテンは滑らかな曲線で出来ており、私はそれに魅せられます。私にとってそれはアート作品のようで、そのアートを作品として完成させるのが、ぽんぽこと飛び跳ねて遊ぶ子どもたちです。その光景はいつまで見ていても飽きることがありません。」

    ぽんぽこマウンテン
    © 写真: Takayuki Yoshida
    ぽんぽこマウンテン

    吉田さんは北海道北部の小さな町で生まれ、祖母は樺太の出身だ。ロシアのラジオの電波が入る地域でもあり、幼い頃に車のラジオから聞こえてきたロシア語の音声が原風景のように記憶に残っているという。そしてロシア映画のファンでもある。

    吉田さん「エイゼンシュテインやヴェルトフのような古典から、タルコフスキーやソクーロフなど、日本でロシア映画が公開されれば必ず見に行きますし、深い影響を受けています。とりわけソクーロフに関しては狂信的と言っても良い程のファンで、自己陶酔ながら、自分はソクーロフの『精神的な弟子』であるとさえ思っています。まだロシアに行ったことはありませんが、ロシアという国は自分にとって非常に特別な存在です。」

    そんな吉田さんにとって、自分の作品が数回の上映に終わるのではなく、展示という形で6週間以上も観客に観てもらえることは、とても嬉しいことだという。吉田さんは「ロシア上映をきっかけに、この素晴らしい日本の遊具がロシアの公園にも設置される日が来れば良いですね。ロシアの子どもたちがぽんぽこ飛び跳ねて遊ぶ光景を想像します」と話している。

    「ぽんぽこマウンテン」は冬に撮影された作品で、子どもたちのシルエットを重視し、モノクロの色調で構成されている。今のモスクワの雰囲気にぴったりだ。11月5日(土)には、毎日一人ずつアーティストを特集する「VIDEO NOW」の一環で、吉田さんの作品が取り上げられる。モスクワにお住まいの読者の皆さんは、ぜひダーウィン博物館へ足を運んでみてはいかがだろうか。

    吉田孝行さん
    © 写真: Takayuki Yoshida
    吉田孝行さん

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