17:27 2019年11月20日
F-35戦闘機

F-35配備:岩国が狙われる

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2016年11月初旬、山口県岩国市当局は、米軍岩国基地に16機の米国の最新戦闘爆撃機F-35を配備することを承認した。岩国市の福田知事は、住民生活への影響が悪化することはないと述べた。

これは概してありふれたニュースだ。しかし、このニュースには、非常に幅広い国際的な軍事的、政治的関連性がある。

一つは、F-35が、戦闘機の老朽化問題に直面した米空軍の希望であるということだ。F-35は、F-16やF/A-18などの古いタイプの代替機となる見込み。プロジェクトは、高コストと性能不足のために何度も批判にさらされた。そのため大規模な軍事紛争が起こる可能性のある地域に近い日本への配備は、恐らく新モデルの可能性と将来性を証明するためのものだと思われる。

2つ目は、岩国基地が海軍と空軍の兼用基地であり、上陸や敵の沿岸部の確保などを任務とする米海兵隊の基地だということだ。2016年8月、米海兵隊の副司令官ロバート・ウォルシュ中将は、2017年初旬に強襲揚陸艦「ワスプ」(USS Wasp)と一緒に航空機を配備すると述べた。ワスプ級強襲揚陸艦は、海兵隊の装備を整えた遠征大隊(1893人)を岸辺に上陸させ、同大隊を航空支援することができる。岩国基地に配備される16機のF-35B(海兵隊用仕様)のうち6機は、上陸用舟艇に搭載され、10機は沿岸部に配備される。F-35Bの戦闘行動半径は865キロで、岩国航空基地から北朝鮮の平壌まで達する。

3つ目は、オバマ米大統領は2016年5月の訪日時に、まず岩国航空基地を訪れ、その後で安倍首相と会談し、その他の決められたイベントをこなしたということだ。これは、同米軍基地の大きな政治的重要性を示している。

これらの点から、地域の全体的な軍事・政治的文脈を考慮して、米海軍司令部の意図を要約するのはそれほど難しいことではない。これはもちろん、北朝鮮との武力衝突が発生した場合の空母打撃群の形成に関するものだ。

その編制(上陸用舟艇、海兵隊と航空団の遠征大隊)によると、この打撃群は、海兵隊の上陸を任務としているように思われる。一方で、打撃群の要は、最新の戦闘爆撃機F-35を使用することであるような気もする。F-35は、空対空ミサイルから誘導爆弾、対戦車ミサイルまで、搭載できる弾薬の種類が幅広く、地上と空中の標的に対処できる。米国は、レーダー可視性を低減させるための技術が、北朝鮮の脆弱で旧式のMD(ミサイル防衛)システムに対して作動すると考えている。強襲揚陸艦「ワスプ」に航空団の一部を配置することで、起こり得る軍事作戦で航空機を使用する可能性が著しく高まる。「ワスプ」が海へ出て、北朝鮮の沿岸から50マイルから100マイルの場所で有利なポジションを取ることが可能だ。その時、航空機はそこから最小限の時間と燃料で任務遂行に向けて行動できる。

これらの航空機から、北朝鮮との戦争が始まった場合に、米軍事司令部が、空中の支配権を獲得し、戦いが始まってから数時間で戦争の行方を自分に有利な方向に変えるつもりであると判断できる。米国の外交官らは最近、北朝鮮の外交官たちと直接コンタクトを取り始めたが、米当局が北朝鮮を力で打倒するのをあきらめていないのは明らかだ。

戦争は二つの側面を持っているため、北朝鮮の報復について述べることも可能だ。岩国基地は、北朝鮮のミサイル・核攻撃の対象となる可能性がある。その場合、何が起こるかを大まかに推定することができる。核出力およそ30キロトンの核爆弾(北朝鮮にはこのようなものがある)は、半径900メートルを完全に破壊し、2300メートルに損傷を与えることができる(岩国から北に33キロの広島での核爆発での結果による)。北朝鮮が水素爆弾や、例えば威力100キロトンの弾薬を製造した場合、完全に破壊される推定半径は1280メートル、損傷を受けるのは4600メートルとなる。航空基地の格納庫上空で炸裂した場合には、まず町の東部が被害を受け、続いてほぼ町全体に影響が及ぶ。したがって岩国の住民は、北朝鮮との戦争が起こった場合、戦禍に巻き込まれる恐れがある。

その他にも、F-35のような「ステルス」戦闘機は、メートル波レーダーによく映る。北朝鮮の防空基盤は、まさにそのようなレーダーを装備したソ連製のS-75システムだ。さらに複数の情報によると、北朝鮮は米国の航空機AWACSのレーダーを抑えるシステムを開発しているという。すなわち、航空機を目的位置へ誘導するシステムを狂わせるということだ。全体として、16機のF-35を使って北朝鮮との戦争に勝つためのこれらの意図は、実際の戦争では失敗に終わる可能性がある。

多くの視点がありふれている。さらに注意深く見てみると、これは今後数か月以内に発生する可能性もある、北東アジア全体の軍事・政治的状況の重大な混乱に関するものである。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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