22:23 2019年07月16日
日本人専門家:トランプ氏が大統領になれば日露外交の自由度が増す

日本人専門家:トランプ氏が大統領になれば日露外交の自由度が増す

© 写真 : Madame Tussauds London
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徳山 あすか
米大統領選挙 (68)
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米国大統領選挙の結果は、将来の日露関係の行方にも大きく関わっている。リア・ノーヴォスチ通信社の元東京特派員で、アジア外交に詳しいジャーナリストのアンドレイ・イリヤシェンコ氏は、ドナルド・トランプ氏が米国大統領になれば、露米関係の雪解けに希望を抱くことができ、ひいては日露関係にとってもプラスであるという見解を示している。

日本人専門家はどう見ているのか。スプートニクは、国際関係アナリストで、『プーチン最後の聖戦』など多数の著書がある北野幸伯(きたの・よしのり)氏にお話を伺った。北野氏もやはり「トランプ氏が大統領になった方が日露関係が改善するだろう」と述べている。

北野氏「トランプ氏はプーチン露大統領と和解することを公言しています。シリア問題、ロシアのハッカーによる選挙妨害の問題があっても態度を変えず、一貫してプーチン氏と話し合う姿勢を見せていますので、その点がぶれることはないでしょう。

トランプ氏の主張は、自分の国は自分で守るか、あるいは金を出せということなのです。日本に対しては『米軍駐留費をもっと払わなければ米軍を撤退させる』と述べています。現在、日本は米軍駐留経費の75パーセントを払っていますが、もしそれが100パーセントになったとしても年間1855億円の増額にすぎません。つまりトランプ氏が勝利すれば、わずかな負担額増で日米同盟はほとんど変わらず維持することになります。それでいて、日本とロシアの外交にはかなりの自由度が出てくると思います。米国がロシアと和解するならば、米国の同盟国である日本がロシアと接近しても、問題ないというわけです。」

ではもし、ヒラリー・クリントン氏が勝利した場合はどうなるのだろうか。クリントン氏が国務長官だった2009年から2013年までは、露米関係「再起動」の時代でもあった。しかしその後、露米関係は悪化した。北野氏は、ウクライナ革命からロシアによるクリミア併合という流れにあっては、米国のリーダーが誰だったとしても、ロシアに対する制裁は行われただろう、クリントン氏が特別に反露強硬派というわけではない、との見解を示している。

北野氏はまた、「米国の外交は2015年から根本的に変わっている。それは最大のライバル中国に対抗するためだ」と指摘している。転換点になったのは2015年3月。中国が主導して発足させたアジアインフラ投資銀行(AIIB)に、米国の反対にも関わらず英国が加盟したのだ。それを皮切りにドイツやイタリア、フランスといった親米諸国が続々加盟した。

それまでは欧州でウクライナ問題、中東でシリア問題に注力し、戦う姿勢を見せていた米国だったが、停戦合意に踏み切り、問題を畳み始めたのだ。ケリー米国務長官は2015年5月、「ウクライナ危機」後はじめてロシアを訪問。「制裁解除」の可能性に言及し、世界を驚かせた。また同年7月には、ロシアと米国の協力により、歴史的「イラン核合意」が実現した。このように、「AIIB事件」後、米国は明らかにロシアへの態度を軟化させている。

北野氏「今、シリアにおいて露米関係が悪化しているではないか、という人もいます。しかし私は、トランプ氏を落とすためにわざと対露関係を悪化させていると見ています。『トランプはプーチンの操り人形だ』というイメージを植えつければ、トランプ氏は支持を失います。ロシアのハッカーが米大統領選に関与しているなどと、このタイミングで急激に『反プーチン』のプロパガンダが米国で盛り上がってきたのは、トランプ氏が当選しないようにするためです。

クリントン氏が当選したとしても、中国こそが米国最大の脅威である、というオバマ政権の外交方針を踏襲するでしょう。ですから、ロシアに対するバッシングが強まることはないと思います。しかしクリントン氏は伝統的な米国の支配層であり、日本を属国であるとみなしています。日本が勝手に独自外交をすることを認めませんから、日露関係を改善させようとすれば、米国が横槍を入れてくるのは間違いないでしょう。」

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ドナルド・トランプ, ヒラリー・クリントン, 米国
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