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    顕微鏡の下の全世界:ロシア企業がナノテクノロジー市場を席捲する

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    タチヤナ フロニ
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    顕微鏡の発明は中世科学史上の一大事件であり、今もその意義を失っていない。顕微鏡がなければ現代科学のいくつかの領域は全く存在しなかっただろう。ナノテクノロジーの分野も然りである。ゆえに、特殊科学として顕微鏡学というものがあり、既存のモデルを絶えず改善し、新しいものの開発と生産を続けている。

    ロシア企業NT-MDTは走査型プローブ顕微鏡(SPM)の大手メーカーであり、ナノテクノロジー部門の科学機器を生産・輸出するロシアに数少ない企業の一つだ。すでに設立25年。信頼性が高く、使いやすい光学的方法に基づく幅広い用途のSPMを顧客に提供している。ラマン顕微鏡(ナノラマン)、散乱モード(S-SNOM)走査型近接場顕微鏡、ナノメートル空間分解能をもつ赤外・マイクロ分光法顕微鏡、等々だ。あわせて顧客に対する高レベルのアフターサービスと顧客サポートで、NT-MDT社は研究・生産機関向けハイテク科学機器のメーカーとして主導的な地位を維持・強化している。

    NT-MDTグループのヴィクトル・ブィコフ社長が自社の達成についてスプートニクに語ってくれた。

    「分子エレクトロニクスなどの方向性はソ連時代から旺盛に研究が進められていたので、当社の製品に対しては多年にわたり世界が関心を示し続けている。80年代後半に原子や分子を見ることを可能にする特別な機器なしにはこの方面の研究が不可能であることが明らかになった。当時すでに米国にそうした機器を開発する小規模な企業が1つ存在していたが、我々は独自の開発を開始することを決定した。こうしてソ連崩壊後、我が社が発足した。今日では60カ国以上で製品を生産し、販売している。当社の世界市場シェアは現在、約15パーセント。当社の製品は常に改善されており、教育から医療まで様々な分野で需要されており、欧州、米国、アジアの様々な国々にナノテクノロジーセンターを開設している。年間70もの世界中の展示会に定期的に参加している。グローバル市場でシェアを伸ばしており、展望は明るい。同様の製品が他の国で作られているにもかかわらず、である。業界には約40の企業がある。日本と米国にもメーカーがある」

    しかしナノ世界の研究では、世界の科学界にはますますハイテクなシステムが必要になっている。会社の機能を拡張するために、近年、NT-MDTスペクトラム・インスツルメンツ社グループへと改組が行われた。これにより、様々なSPM機能(ナノメカニカルな組成や、電気的組成などの数値測定)、様々な可視及び赤外線領域のナノ分光法を持つ、更に幅広い機器の製造が可能になった。

    会社の新開発品の1つが高アスペクト比単結晶ダイヤモンドプローブ(単結晶ダイヤモンド、SCD)だ。特徴は化学蒸着によって得られた非常に薄いダイヤモンド針を接着したコンソールを持つ、標準的なシリコンチップだ。このようにして調製したプローブはAFMスキャンの取得時に非常に有用ないくつかの機能を持っている。プローブのSCD円錐角が10度未満なのだ。これによりプローブは、深い亀裂や高粒子間の隙間にさえも浸透し、高いレベルの表面詳細化を達成することができる。SCDプローブは表面エネルギーが低く、これを用いれば、粘性のある生物学的サンプルもより容易にスキャンすることができる(つまり、粘着しにくい)。

    ヴィクトル・ブィコフ社長は、現代の世界においては科学が特に強く経済と連動している、との確信を示す。今日、誰かが購入し、使用する製品を作成するには、世界の経済システムと統合されていることが必要だ。ブロックやユニットのほとんどは既に開発され、最高の特性のもとに生産されている。すべきことは最高のコンポーネントを見つけ、独自の製品の設計にそれを組み込むことだ。そして、まだそう多くはないが日本市場にも存在する買い手を見つけることだ。ブィコフ社長は次のように続ける。

    「我が社の日本における最初のパートナーは東京インスツルメンツ社だ。日本での売上高は世界の他の国に比べて、小さい。400万ドルちょっとだ。我々は拡大を望んでいる。日本市場は非常に特殊で、ともに仕事するのは困難だ。文化が異なるのだ。何よりもまず、日本人職員を含むオフィスを開設するか、または非常に良い日本のパートナーが必要だ。オファーはあるが、最終的な選択がなされている」

    優先順位はやはり市場に置かれている。走査型プローブ顕微鏡には需要があり、同社は世界で非常に良いポジションを占めている。そしてもちろん、将来的にもこの方向で進めていく。実際、すでに今日、NT-MDTスペクトラムインスツルメンツ社グループは、支部を世界中に広げている企業だ。同社のビジネスモットーは、「恐れず、活発に」というものだ。一番になろうとしない人間は最下位になってしまうのだから。

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