02:53 2020年05月30日
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朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対する圧力が強まっている。国連安全保障理事会に続いて、日本も北朝鮮に対する制裁を拡大した。ひとまとまりとなった新しい措置は、朝鮮総連のメンバーや、これと関係がある他の組織の代表らに対するビザ制限強化を念頭に置いている。

彼らが北朝鮮に渡航した場合、日本への再入国は禁止されることになるだろう。たとえその目的が人道的なものであったとしても、これまで北朝鮮に行ったことのある船舶に対しては、日本の港への寄港が禁止される。それ以外に日本は、国連決議に従って、北朝鮮からの銀、銅、ニッケルの輸入を禁止した。安倍首相によれば「北朝鮮による日本人拉致、核及びミサイル実験プログラムといった問題の完全解決のため」こうした新しい制裁は必要不可欠だ、とのことである。また同時に安倍首相は、日本政府は「対話のための窓を完全に閉じてはいない」とも強調している。

ここで読者の皆さんの注意を促したいのは、11月30日に北朝鮮に対し国連安保理事会が下した制裁が、石炭輸出の本質的制限を規定している点である。また銅、亜鉛、ニッケル、および銀といった非鉄金属 の輸出も、制裁品目に含まれた。さらに北朝鮮への船のリースあるいはチャーター、そうした船舶に対する保険、医療分野での交換を除く科学技術協力、北朝鮮領内を経由するトランジットも制限の対象となっている。しかし残念なことに、制裁はこれまで同様、北朝鮮当局が自国の核計画やミサイルプログラムを縮小あるいは少なくとも一時停止することを保証するものではない。

北朝鮮の主要な政治的スポンサーである中国が北の石炭の輸入を拒否したことは、新たな制裁措置のカギを握る側面となった。これは厳しい措置である。なぜなら7億ドルもの石炭輸出収入を北は失うことになるからだ。今年三月、中国政府は、国連安保理事会の厳しい制裁措置を初めて支持した。北朝鮮からの金や希少金属の輸入を禁止し、一方で同国へのロケット燃料の輸出を禁止した。しかしこれは北朝鮮指導部に対し影響を与えず、相変わらず彼らは核実験を続けた。今回特筆すべきことは、国連安保理事会の決定に、次の制裁では、労働力輸出による北朝鮮の収入を制限するかもしれないとの明らかな仄めかしが含まれている点だ。基本的に北朝鮮の労働者達は中国で働いており、少数ではあるがロシア国内でも働いている。

こうした状況は、中国が北朝鮮に対する、これまで持っていたような直接的な影響力を失ってしまい、現在多面的な経済的圧力にすがっていることを証拠立てている。一方北朝鮮当局は、核及びミサイル保有国の権利を獲得する路線を頑なに取り、核保有国として国際的に認められることの方が、中国政府、そればかりか他の国連参加国との関係よりも重要だと捉えている。事実上、北朝鮮は、朝鮮半島を核戦争の潜在的発火点のままにしておくか、それとも北を核保有国と認めるかという問いを世界に突き付けているが、この事は、これまでの制裁や制限のすべてを拒否し、米国によるものを筆頭とした安全の保証を斥けることを意味している。

北朝鮮の中央紙「労働新聞」は、米国でトランプ氏が大統領に選出されたことに対し、11月10日「現政権は、米国の次期政権への遺産として、独立核大国(北朝鮮のこと)との相互関係の難しさを残した」とコメントした。その際、同新聞は「共和国の核保有に影響を及ぼそうとしたワシントンの企ては、今や過去の妄想である」と強調している。一方トランプ氏は、大統領選挙中の演説の中で、「北朝鮮の核プログラムを停止する必要があることを金正恩氏に納得させるため」彼と会う用意のあることを明らかにした。しかし、この問題がトランプ次期大統領の政策において優先的なものかどうか、今のところ何も分かっていない。

こうしたことから韓国と日本は、拡大しつつある脅威に反応せざるを得ない。韓国政府と米国政府は、韓国を北朝鮮からの核・ミサイル攻撃から守るため、韓国領内にTHAAD(高高度ミサイル防衛体系)の配備を決めたと発表した。そして先週には、日本でも同様の計画が検討されていることが明らかとなった。ロシアと中国は、北朝鮮が核保有国になることを認めておらず、制裁に加わっている。しかし、こうした計画は、露中両国を心配させないわけにはいかない。なぜならミサイル防衛システムは、ロシアと中国の核潜在力を中立化するためにも使用できるからである。

状況は、袋小路に陥っているように見え、アジア北東部で軍拡競争が激化する恐れがある。この地域では、戦略的不安定化が強まっている。制裁措置以外に、原則的に新しい解決法を模索する必要がある。

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