円卓会議の参加者が特別な注意を払ってその語るところに聞き入ったのはドイツである。ドイツは原子力エネルギーからの完全撤退を決めている。それからインド。インドは対照的に、2023年にかけて9基、新しい原子炉を建設しようとしている。
2011年の福島第一原発事故を受け、ドイツは住民からの抗議の波に直面し、2021年に原子力エネルギーから撤退することを決めた。原子力に関連するあらゆる問題について、政府は住民との合意を達成しようとしている、と環境保護研究政策センター研究員(ベルリン自由大学)ダニエル・ハフナー氏は講演の中で語った。スプートニクのインタビューでダニエル・ハフナー氏は、ドイツでは今日、原子力エネルギーの問題に関する円卓会議は開かれていない、と述べた。逆に、再生可能エネルギーへの移行に差し掛かっているドイツでは、「グリーンエネルギー」について多くのことが話されている、という。
ダニエル・ハフナー氏はまた、ドイツが原子力エネルギーから撤退する理由を明示した。「原子力エネルギーは、ドイツでは安全でないと考えられている。なぜなら私たちは、福島第一原発とチェルノブイリ原発の悲劇を見てきたから。スウェーデンと英国でも事故または災害に類するものを見てきた。技術的なものには一定の危険性は常にあるが、原子力エネルギーは、我々の見方では、あまりにも危険だ。また、原発の廃炉や使用済み核燃料貯蔵設備の建設の費用を計算するなら、原子力エネルギーは非常に高価である、ということが、最近ますます明らかになってきている。そして、私たちは、将来の世代に対し、多量の廃棄物を残すことは公正ではないと考える。彼らのために、創られたままの形の地球を残したい」とダニエル・ハフナー氏。
これとは対照的に、インド政府は、2023年にかけて原発による発電量を15ギガワットに増加させるために、9基の新しい原子炉を建設する計画を発表した。「原子力エネルギー、環境、安全性2016」フォーラムでの講演で原子力エネルギー教育協会書記スワプネシュ・マルホトラ氏が述べたところでは、インドでは今日、積極的に、原子力エネルギーについて住民に知らせる活動が行われている。国民との相互行動の方法の中で最も効果的なものとして、同氏は情報パンフレットの配布、メディアを通じての情報発信、例えば、センセーショナルな記事、説得とコミュニケーションという方法、ならびに懲罰を挙げた。
しかし原子力エネルギーはインドのエネルギープログラムの優先事項の一つにすぎない。「再生可能エネルギーと原子力エネルギーは今日、パートナーとして手を取り合って進んでいる」。スワプネシュ・マルホトラ氏がスプートニクのインタビューで語った。
今年11月に調印された原子力エネルギー分野でのインド・日本の協力協定に関しては、スワプネシュ・マルホトラ氏の意見によると、協定は、日本で作られている原子炉向け個別コンポーネントを注文する際のインドの優位性を高めることになる、という。
ウィーンのIAEA・国際原子力機関とパリのOECD・経済協力開発機構のフォーラムにおけるロスアトムの代表タチアナ・ラキツカヤ氏は、国際フォーラム・対話が今回モスクワに到着し、ゲストが原子力分野での専門家の間の議論がどれほど興味深く、実り多く行われているかを見る機会を持てたことに、喜びを表した。
2日間にわたり開催された第11回国際フォーラム・対話「原子力エネルギー、環境、安全性2016」をハンガリー、インド、ドイツ、イラン、スウェーデン、ベルギー、ベラルーシ、ザンビア、そしてもちろんロシアの代表者など、約600人のゲストが訪れた。