トランプ時代、日米協力はどうなる?

© AFP 2023 / Toru YAMANAKA沖縄
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米国のアシュトン・カーター国防長官は安倍晋三首相との会談が予定される日本訪問に先立ち、「米国は二国間の軍事協力に対する日本の貢献に満足している」と述べた。逆に、選挙運動中、ドナルド・トランプ氏が、米国の在日基地費用の度を越した負担を批判したことは記憶に新しい。

几帳面な日本人は、現実には日本が米軍基地維持費として年間約70億ドルを支払っていることを計算してみせた。これはドイツや韓国の二倍の数字だ。

極東研究所のワシーリー・カシン主任研究員によると、これは、「トランプの行き過ぎを牽制し、日本にも言い分があるということを示す、シグナルだ。現実には、トランプの行動を制限するのは議会である。議会には『日本の友人たち』が多数いる。いずれにしろ、米日は互いを必要としている」

日本では、両国軍事同盟の法的基礎となり、米軍の日本駐留を規定した1960年の安保条約以来続く米国との軍事同盟の存在に異論は出ていないが、懸念は依然として残る。カーター氏に代わり、近々、新たな人物が国防長官に就く。トランプ氏は後任にジェイムス・マティス氏を推しており、本人もこれを了承している。

沖縄県民は金銭的補償で米軍基地を容認するか? - Sputnik 日本
沖縄県民は金銭的補償で米軍基地を容認するか?
日米関係の経済における重要な懸案はTPPであるが、それが少なくとも現在の形では成立し得ないことは、もはや日本の総理大臣さえ排除していない。安倍首相は、TPPによって不況にあえぐ日本経済を活性化し、地域における競争力を高めることを目論んでいた。トランプ氏の大統領就任で協定発効への期待は立ち消えになる可能性もある。

核兵器という問題もある。2018年7月、原子力エネルギーの平和利用に関する1988年の二国間協定が失効する。日本のこの先20年の原子力政策の輪郭を決定するのに根本的な意義をもつ日米交渉を来年にも行わねばならない、ということだ。今年4月、トランプ氏は、日本は北朝鮮から身を守るために自前の核兵器を持ってもいい、と述べた。その数週間前には日本の核保有を禁じる米国の政策を見直す時だ、と述べている。これに対する日本の反応は予想通り、「日本は核兵器を持たず、作らず、持ち込ませないという非核三原則を堅持する」というものだった。のちトランプ氏は核兵器に関する口調を和らげたが、日本の核保有に関する相矛盾した発言で、交渉が激しさを増す可能性もある。

米国・カナダ研究所のアレクサンドル・パノフ氏は、日米はスキャンダルなしに交渉を行うだろう、という。「米日条約の第5条によると、米国は日本を守らねばならず、日本は米国を守る必要がない。トランプ氏はこれに選挙演説で言及した。しかし第6条によると、米国は基地を日本を守るためだけでなく、極東における平和と安全の維持のため、米国の戦略的利益を考慮して使うこともできる。つまり米国は自分の利益のために基地を使っているのだ」

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日本の防衛政策はトランプ氏の手中に
日本研究所のワレーリイ・キスタノフ氏は、日米同盟は揺るぎない、なぜなら両国を近づける「テクトニックな」要因があるからだ、と語る。

「米国にとっては、中国の影響力を抑止するため、日本を地域における『不沈空母』にすることが重要なのだ。しかし米国は、日本自身が米国にとっての軍事・政治的ライバルとなることは、全く利益にならない。トランプ氏は日本の核保有を容認する発言をしたが、現実には、日本の『軍国主義の魔』を野に放つことは誰の利益にもならない」

日本国際問題研究所の山上信吾・所長代行はスプートニクのインタビューで、日米関係は不変であると述べた。

「日米関係は信頼度の高さで際立っている。誰が米国大統領になろうと、誰が日本の首相になろうと、関係の基本は不変である。日本社会に安保条約に反対の声が強かった時代もあったが、社会民主党であれ民主党であれ、いずれの政党が政権に就いたときにも、条約を維持するという方針を堅持することに変わりはなかった。もちろん人の数だけ意見はあるが、日米関係に根本的な変化はないと思う。日本とロシアの関係にもそのような安定性があれば、両国に利益が出るのだろうが……」

関係の安定性はいいものだ。だから日本は現在の米国との同盟を保存し、また、第二次世界大戦後に形成された世界秩序の維持システムを続けたいのだ。しかしトランプ氏の政策は、安倍首相との友好的な会談にも関わらず、今のところ未知数だ。軍事面でもそうだし、日本にとってはそれに劣らず重要な、太平洋における経済統合の分野でもそうである。

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