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    元乃隅稲成神社

    日本でプーチン大統領を待つものは、温泉、シャシリク、それから…「ロシアパン」

    © Flickr/ Akira Takiguchi
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    リュドミラ サーキャン
    プーチン大統領訪日の結果 (51)
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    プーチン大統領の訪日まであと1週間。ロシアでも日本でも、首脳会談の結果に対する予測は、政治家と専門家、また世論とで異なっている。懐疑的でブレイクスルーはないと考える人もいれば、来たる会談を「歴史的なもの」であり、露日関係のさらなる発展にとって決定的なものとなる、と見る人もいる。いずれにせよ双方とも会談を心待ちにし、入念な準備を行っている。

    実務日程が過密すぎて、外国に行っても自分を旅行者のように感じることはできない、と最近嘆いていたプーチン大統領。彼にとって、日本訪問はある意味夢の実現である。「今や私の旅のすべては、空港に着き、空港からどこかの施設へ到着し、それからまた空港へ移動するというもの。それでどこかへ行ったことになってしまう。もちろん本当は、そうでない旅行がしたい。自然を見たり、史跡を見たりしたい。」

    安倍首相がペルーのAPECサミットで、プーチン大統領の訪問準備を個人として采配する、と述べたことは注目に値する。安倍首相はペルーでプーチン大統領に対し、「私の故郷の長門市の人たちはあなたの訪問を心待ちにしています。老舗の温泉旅館であなたを待っています。翌日は東京に移って、経済問題を討議しましょう」と述べた。

    スプートニクのインタビューで長門市の大西倉雄市長が、大統領訪日準備を詳細に語ってくれた。

    「もちろんプーチン大統領の来日に向けて準備をしています。せっかく世界に対して山口県長門市のことが発信されるわけですから。ロシアの中でも山口県や長門市の食材をPRしたい。市ではプーチン大統領をしっかりお迎えしたいということで、市民がロシア語の会話教室を開いたり、ロシア料理のピロシキを市民で作って食べたり、そういったことが行われており、たいへん盛り上がっています。長門市の誇りは、美しい自然、豊かな食材、また人の優しさ。日露戦争の日本海海戦で傷ついたロシアの兵士を看病したり、亡くなった方を日本人と同じように葬り、今でも毎年お寺で法要が行われ、供養が行われています。そういった優しさを伝えることができたらなと思っています。」

    通(かよい)地区大越の浜には、手入れの行き届いた二基の慰霊碑が立っている。一基は日本人の戦没者を、もう一基はロシア人の戦没者を弔うものだ。毎年6月15日には、かつての敵味方の区別なく、慰霊祭が行われている。

    ​地域の歴史に詳しい長門市通公民館の山田功平館長は、10月3日に行われたインタビューで次のように話していた。

    「この地区には100年来、ロシアとの繋がりを守ってきたという事実があります。このようなお墓があって、住民が慰霊をしてきたという事実を、皆様に知っていただければと思います。これから地区外の方が多くいらっしゃると思うので、入り口の案内板や、お墓の近くに説明書きなどもできると良いなと期待しています。プーチン大統領がお墓へ直接いらっしゃることは難しいだろう、とは思いますが、ロシアの大統領が長門市へお越しになるということで、全体的に注目が集まっていると感じます。」

    後日、山田館長の言葉通り、お墓の近くにはロシア語と日本語で説明書きが設置され、お墓へと向かう階段も作られ、アクセスが容易になった。

    プーチン大統領の訪問に合わせてロシア料理を学ぶ取り組みも盛んだ。スプートニクのインタビューで、長門市のご当地グルメを開発している「チームNGT」の代表、西原秀卓さんは、次のように述べた。

    本場のピロシキとはどういうものなのか?
    © 写真: 長門市
    本場のピロシキとはどういうものなのか?
    ピロシキの作り方を真剣に学ぶ
    © 写真: 長門市
    ピロシキの作り方を真剣に学ぶ
    チームNGT作、焼きたてピロシキ
    © 写真: 長門市
    チームNGT作、焼きたてピロシキ

    「長門市で日露首脳会談が開かれるというのは、田舎のまちとしては画期的なことだと思います。私たちにできるのは食に関することなので、食を通してロシアの文化を学んだり、歓迎ムードを盛り上げていきたいと思い、ピロシキ教室を開催することにしました。」

    長門市のやきとり店ではロシアのシャシリクをイメージしたロシア風やきとりを味わうことができる。また、大津緑洋高校日置校舎では、食品加工を専攻する生徒たちがロシアのパン「バトン」にそっくりの「ロシアパン」を焼いた。

    • 食品加工の授業でパンづくり
      食品加工の授業でパンづくり
      © 写真: 大津緑洋高校
    • 農高夢市場でロシアパンを限定販売
      農高夢市場でロシアパンを限定販売
      © 写真: 大津緑洋高校
    • ロシアパン限定50個、大人気であっという間に売り切れ
      ロシアパン限定50個、大人気であっという間に売り切れ
      © 写真: 大津緑洋高校
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    © 写真: 大津緑洋高校
    食品加工の授業でパンづくり

    生徒たち手作りのロシアパンは大人気で、お一人様一個の限定販売にもかかわらず、瞬く間に売切れてしまった。

    スプートニクはまた、ロシア料理シャシリクを参考に限定やきとりメニューを開発した長門やきとり横丁連絡協議会の会長・青村雅子さんに話を聞いた。

    「期間限定メニューは、お客様にも喜んでいただいています。ロシアとはどういうところなのか、何を食べているのか、ロシアについて話しながら、お食事される方もいらっしゃいます。今までロシアというと遠い遠い国という感覚でしたが、プーチン大統領が来てくださるというので、地元はみんな喜んでいますし、盛り上がっています。これを機にロシアと色々な形で友好関係が深まって、私たち市民とロシアの方たちが繋がれればいいな、という思いもあります。」

    チームNGTが開発した、長門市の食材を使ったロシア料理メニュー
    © 写真: チームNGT
    チームNGTが開発した、長門市の食材を使ったロシア料理メニュー
    ロシア風やきとり、限定メニュー開発中!
    © 写真: 長門市
    ロシア風やきとり、限定メニュー開発中!
    洗練されたロシア風やきとり
    © 写真: 長門市
    洗練されたロシア風やきとり

    また、長門市のホームページには、プーチン大統領訪日に合わせ、ロシア語による特設ページが登場した。ロシア語による観光ガイドや美麗な旅行ブックレットに加え、10日、長門市では自由参加のロシア語講座も開かれた。

    スプートニクの独占インタビューで山口県の村岡嗣政知事は県とロシアとの関わりについて語った。

    「歴史的には、今度訪問していただく長門も、日露戦争の時に傷ついたロシア兵を保護したり、亡くなったロシア兵のお墓を建てて、今でも地元の方が慰霊祭をしたりと、長いつながりがあります。そして県内の産業も、ロシアに進出しているところもあります。例えば『ユニクロ』ですね。これは山口県の企業です。あとは山口県は石炭の輸入量、取扱量が日本一で、ロシアからも石炭を輸入しています。カニカマをつくる機械の世界シェア7割を持っている企業が山口県にありまして、ロシアに展開してカニカマをつくっています。『ヤナギヤ』という会社です。そういった優れた技術を持った企業が、ロシアと実際につながりを持って活動しています。

    こういった形で山口県に世界から注目が集まったので、このチャンスを是非活かしたいと思っています。山口県の魅力を多く知ってもらって、どんどん山口県に来てもらう。素晴らしい景観も知っていただき、ここに来たいなと思ってもらえるといいなと思います。そういった中で観光客をどんどん増やして、山口県の活性化につながるように努力していきたいと思います。」

    プーチン大統領は長門市で、元乃隅稲成神社などを楽しむこともできるだろう。頂上から見下ろすと、123もの鳥居の列が丘から海へと降りていく。日本を代表する美しい景観である。

    ​長門から車で30分のところには世界遺産に登録された萩市があり、古く美しい街並みを見ることができる。また山口県は温泉でも名高い。プーチン大統領が宿泊するのは、高級旅館・大谷山荘かもしれない。

    スケジュールはもちろん過密なので、プーチン大統領の訪問プログラムに名所探訪が含まれるかどうかはわからない。しかし長門市の住民は、政治家としての、隣国の首脳としてのプーチン大統領だけでなく、旅行者の好奇心をもった、ひとりの人間としてのプーチン氏を目にすることを望んでいるのだ。

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