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    「可能性の窓」は開いている!露日関係専門家、首脳会談の意義を徹底討議

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    徳山 あすか
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    19日、国際情報通信社ロシア・セヴォードニャのプレスセンターにて、現代における露日関係をテーマにラウンドテーブルが開かれた。本イベントにはロシアの名だたる日本学者が参加し、15日・16日の日露首脳会談について総括を行った。日本からは、法政大学の下斗米伸夫教授とNHKの石川一洋解説委員が同時中継で出演した。

    元駐日大使のアレクサンドル・パノフ氏は、「プーチン大統領の訪日は成功だった。現在、両国が達成できる最大限のラインまで合意できた」と評価し、「大局的かつ戦略的な見地からすれば、ロシア・日本双方ともそれなりに満足できる結果が得られた。日本は実質、対露経済制裁レジームから外れ、大小の経済プロジェクトに合意し、巨額をロシアに投資することを決めた。これからロシアは、これらのプロジェクトを積極的に実現することによって、強固にしていかねばならない。これは永遠に開いているとは言えない『可能性の窓』である」と述べた。またパノフ氏は、日本がついに四島での経済活動および人道的見地からの人的交流に同意したことを肯定的に評価。これは平和条約締結交渉に向けた二国間の信頼醸成に役立つという見方を示した。

    ロシアの有力シンクタンク「RIAC」(ロシア国際問題評議会)のアンドレイ・コルトノフ会長は、安倍首相が、自身の支持率が下がるかもしれないと覚悟しながらも、プーチン大統領との対話に積極的に乗り出したと分析。首脳会談後は、首脳同士で合意したと思われた話が実務レベルでうまくいかず、実現できないまま終わることがよくあると指摘し、今回はそれが起こらないように願う、と付け加えた。

    ロシア科学アカデミー極東研究所・日本研究センター長のワレリー・キスタノフ氏は、経済協力の合意に達したことは大きな意味があると高く評価した。安倍首相の今回の課題は、日中関係が緊張している中、ロシアが中国にばかり傾倒していくのを防止することだったと指摘。経済面で言えば、その目的は達成されたと評価した。ロシアは今、政治的にも経済的にも中国への接近をかつてない程に強めているが、キスタノフ氏は、本音を言えば「ロシアは中国に完全に傾倒したくはない」と話す。

    モスクワ国際関係大学で東洋学研究を専門とするドミトリー・ストレリツォフ教授も、自らを楽観主義者の一人と位置付けた上で、「露日関係の好転は地域の安定をもたらす。平和条約締結については、ロシアが従属的な立場をとるのではなく、露日が共通してこの目標に向かうと示したことが大事だ。クリルでの共同経済活動については、元島民だけでなく北海道の住民をサハリン州へビザなしで受け入れることにも言及された。国境周辺の往来はデリケートな問題で、信頼をもとにしなければできない。人的交流が盛んになれば相互の不信感は拭われていく」と話した。またストレリツォフ教授は、北東アジアの情勢を鑑みれば、2+2で露日が安全保障について協議するのは両国の国益に適うと述べた。

    モスクワ国際関係大学・国際ジャーナリズムが専門のセルゲイ・チュグロフ教授は、安倍首相が「信頼」というキーワードを多用したことに言及。「日本は信頼を基盤にして成り立っている国」として、人的交流拡大の重要性を強調した。

    下斗米教授は、ロシア経済紙の記者の質問に答えた中で、日本の中小企業はロシアビジネスに関する情報が少なく、今のところ極東で活動しているのはJGC(日揮株式会社)のような大企業であるが、今後は北海道とサハリンを始めとする地方自治体間の交流などが広がっていくだろうと述べた。また下斗米教授は、日露間では盛んに文化交流が行われてはいるものの、学術界やメディア関係者の間でロシアの専門家が減っていると指摘し、人的交流の不足が根本的な問題であるとの認識を示した。

    ロシアの日本への愛はいつも一方通行だといわれている。ロシア人がおおむね日本に好感を抱いているのに比べ、日本人のロシアに対するイメージは悪く、ロシアに好感をもつ日本人は2割程度である。この状況について問われた石川氏は、「経済協力や投資の拡大とは何を意味するのか。それはロシアに多数の日本人が滞在するようになるということだ」と述べ、人間同士のコンタクトが状況を改善させるとの見方を示した。また、今のところ日露間の留学生数は双方向とも少数にとどまっているが、冷戦時代の記憶がない、ソ連を知らない若者たちが過去のコンプレックスなく積極的に交流することは重要な意義があると強調した。

     

     

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