08:20 2018年11月14日
プーチン大統領訪日、2日目は東京

ひょっとして日本との平和条約はロシアを脅かす?

© 写真 : Russian Presidential Press Office/Sergey Guneev
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アンドレイ イルヤシェンコ, タチヤナ フロニ
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プーチン大統領の訪日は経済および南クリル諸島に関する対話の合意というプリズムを通して捉えられている。だが平和条約締結への道で最大の障害となっているのは諸島での共同経済活動における法的問題ではない。露日間の政治対話に決定的な影響を及ぼしているのは戦略的安全保障のテーマであり、ずばり言えばそれは米国のグローバルMDなのだ。

プーチン大統領訪日の初日、大半を占めたのはこのテーマだった。

プーチン大統領は安倍氏との会談で詳細を語ったのは米国が北東アジアに拠点を築こうとしていることであり、これを「ロシアは米国のグローバル攻撃用戦闘システムの一部であり、欧州、地中海、そして今度はアラスカにあるミサイル防衛基地を補足するものとみなしている」と指摘した。ラヴロフ外相も首脳会談終了後にこれを総括したなかで「この問題に関して日本の同僚らはロシアの憂慮をよりよく理解しはじめた感がある」と語っている。プーチン大統領はカムチャッカに拠点を置くロシア軍の核抑止力への脅威としてこれに憂慮を表している。ロシアは米MDはロシアの戦略抑止力の可能性無効化する恐れがあるため、戦略均衡の破壊を目指したものと捉えている。

これまでは米国のMDに対するロシアの憂慮は欧州に関するものだった。長い、困難な対話が続いた挙句、何の実も結ばずにそれは終わった。米国防総省は公式的に米MDを欧州に展開した。ロシアの要請、提案を無視して米国は今年2016年5月、スタンダードミサイル3を搭載したイージス弾道ミサイル防衛システムの地上複合体を戦闘配備した。また類似した複合体の建設はポーランドでも開始されている。これに報復しロシアも約束どおり西の飛地カリーニングラード州にも移動式のミサイル複合体「イスカンデルM」を配備した。地域軍拡競争はまさにこうした様相を呈している。

一方で日本と韓国へのTHAADシステム配備計画もロシアには少なからぬ憂慮の念を抱かせている。

欧州のものに対してアジアのMDは本質からすると地上、海上からの弾道ミサイルの楔形に配備して迎撃システムとなる。こうしたミサイルは米国のほかにはロシアと中国しか有していない。つまり米国MDグローバルシステムはこれらの国に矛先を向けたものだということになる。このため日本が米国MDに参加するという問題はロシアにとっては原則にかかわることになりつつある。つまり日本に島を渡すことはそこに米国MDが配備される恐れが発生するため受け入れられない。

日本との条約がロシアに脅威をもたらすのであれば、何が平和条約であろうか? こうした見解を日本の専門家であるアナトーリー・コーシキン氏も同じくしている。コーシキン氏はパトルシェフ安全保障会議書記と谷内国家安全保障局長との会談では、谷内氏ははっきりとクリル諸島に米国のMDが配備される可能性があると認めていた。島が返還された場合、島は日米安保条約の効力が及ぶ範囲に入るからだ。

「日本はロシアがこの理由で自国の領土を引き渡せないことをよく理解している。米軍基地が出現し、自分自身に矛先が向けられてはたまらないからだ。非常に重要で強調しておかねばならないのはまさにこの問題があったからこそ1956年に共同宣言が調印された後にクリル諸島の境界線の解決を先に進めることができなかったという点だ。このため私は、日本人もロシア人もまさに米国のせいで1956年の合意がいまだに実現できなかったということを知っておかねばならないと思っている。あれ以来、米軍基地は撤廃できないどころか、ますます面積を拡大し強大なものとなった。加えて日本の自衛隊は米国草案の平和憲法にもかかわらず強力な軍隊を取り戻している。技術的にはこれはずいぶん前から世界でも最もハイテクの軍隊に数えられている。」

仮に日本が係争領域に米軍基地が出現することはないと約束したところで疑いは残る。米国にしてみれば署名だけでもすでにそれが米国の国益に答えるものと同様の意味を持つ。これが米国の国益と矛盾するカテゴリーに入れば米国はたちどころに忘れるとコーシキン氏は指摘する。これに関しては日本人アナリストら自身もクリルの領域をMDに使うかどうか、これを決めるのは米国だと認めるほどだ。その顕著な例はNATOがいかに自分の約束を「守るか」ということに現れている。合意にもかかわらずNATOは東方拡大を行ったからだ。

なお記事の中で述べられている見解は、必ずしも編集部の立場とは一致していません。

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露日関係, 日本, ロシア
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