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    トランプ氏

    クレムリンの極東政策とトランプ・ファクター

    © Sputnik/ Caitlin Ochs
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    アンドレイ イルヤシェンコ
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    昨年ロシアの「東方転換」政策の中で、質的な変化が生じた。一方、米国の新大統領にトランプ氏が選出されたことでまた、その政策に重要な修正が持ち込まれる可能性が出てきた。

    その際、地域においても世界においても、ロシアの主要なパートナーとして残るのは中国だ。⒓月24日に行われた記者会見で、プーチン大統領は「露中には、国際問題の多くの問題に関し共通した立場がある」と強調し、次のように続けた-「この事は言うまでもなく、あらゆる国際問題において、大変安定的で重大な要素になるだろう。我々は、中国との関係を大切にし、その更なる発展を期待している」。

    中国の習近平国家主席が、杭州でのG20でプーチン大統領に示した主賓としての厚遇ぶり、国連安全保障理事会での反シリア決議に対し共に拒否権を行使した事、極東での対ミサイル防衛システム配備を受け入れることはできないという共通した立場、さらに南シナ海での合同海洋演習…こうした事が強調されたが、これらは、露中関係が質的に強化されていることを裏付けている。露中両国は、公式に同盟関係を宣言してはいないものの、実際のところ同盟国になりつつある。こうしたすべてのことは、ロシアと欧米の関係が危機的に尖鋭化した事、また中米関係が潜在的に悪化していることを背景に起こった。しかし、このプロセスのテンポは、トランプ氏が大統領ホストに就くと共に急速に加速化するものと見られている。

    当選後すぐにトランプ氏は、中国の経済政策に対する彼の批判や海軍の艦船数を350にまで増やすプログラムが、選挙中の単なるパフォーマンスではないことを示した。すでに現在、中国政府は、トランプ氏の親台湾的行動に神経質に反応しており、南シナ海での水中無人機拿捕という形での脅しを匂わすシグナルを彼に送っている。あるいは、南シナ海に中国最初の空母「遼寧」を派遣し示威行為に出たりして、米国の主要なライバル、または敵とも言ってよい自分達の役割を確認している。著名な米国の政治学者サミュエル・ハンティントン氏は、すでに20年前に、文明の衝突という自分の概念を根拠づけるため、少なからぬ労力を費やしたが、彼が言わんとしたのはイスラム世界との衝突ではなく、まさに極東での衝突だった。

    プーチン大統領訪日、2日目は東京
    © 写真: Russian Presidential Press Office/Sergey Guneev
    その一方で、中国と米国の間の緊張の高まりは、プーチン大統領にとって新しいチャンスとなるかもしれない。トランプ氏の勝利は、ロシア政府に、露米関係正常化に向けた思いがけない可能性を与えた。トランプ次期大統領は公然と、政治分野におけるロシアとの協力の必要性を訴えている。その際、トランプ氏の新しいチームは、米大統領選挙にロシアが介入したというあらゆる批判を、断固斥けている。 新たなチャンスが開けているのは何もロシアばかりではない、米当局にとってもそうだ。またExxonMobilの会長兼最高経営責任者(CEO)時代にプーチン大統領や、ロスネフチの社長で大統領の近しい同志であるセチン氏と信頼関係を築いたティラーソン氏が国務長官に任命されたことも、注目すべきことだ。ロスネフチは、国営企業で、外貨収入の基本的な部分をロシアの国庫にもたらしている。

    なお12月18日、自民党の山本一太・元内閣府特命担当相は、フジテレビに出演した中で、次のように発言した-「ティラーソン氏を国務長官に任命したことでトランプ氏が本気で米ロ関係を動かそうとしていることは分かった。ただ、ティラーソン氏が国務長官になったからといって、米ロ関係が急激に変わるとは思っていない。」

    とはいえ恐らく、二人のカリスマ的指導者が起こす「化学反応」が、露米関係復活において、小さくない役割を果たすだろう。露米対話の主要なテーマの一つは、「ダーイシュ(イスラム国)」との戦いであり、シリアにおける平和調整問題である。しかし露米関係正常化の代償は、ロシア政府にとってどのようなものになるだろうか? ロシア対外・国防政策評議会幹部会で名誉議長を務めるセルゲイ・カラガノフ氏は、次のように見ている-「米国側は、ロシアを中国から引き離そうと試みるだろう。この事は、ここ⒛年間、西側の対ロシア関係において、実際まさに主要なモチーフの一つだった。日本も、ウィキリークスが公開した情報から判断すれば、厳格にこの路線を支持してきた」。

    blogs.wsj.com/japanrealtime

    米共和党は、かつてニクソン大統領とキッシンジャー国務長官が見事成功させた方法を繰り返す用意があるようだ。1970年代当時二人は、ソ連と対立していた中国との関係正常化を成功させた。ロシア政府は「冷戦」には米国に対するものと中国に対するもの、2つの前線が存在し、それがソ連に耐えきれない緊張をもたらし、ソ連崩壊を促したことをよく覚えている。しかし現在、ソ連よりもはるかに弱体化したロシアにとって、強大な隣国との対立は到底受け入れられない。とはいえロシアは、中国のために米国との関係を犠牲にすることはできないし、することもないだろう。プーチン大統領が提起している日本との関係復活の戦略的課題は、彼がアジアにおいて、中国 を振り返ることなく、その政治路線を進めてゆく用意のあることを示している。

    こうした条件の中、ロシア指導部にとって、最もふさわしいのは、アジア太平洋地域の安全保障問題に関する多面的対話のイニシアチブをとることだ。ここでの主なプレーヤーは、米国、中国、日本そしてロシアである。今年2017年中、このテーマは、ますます重要なものとなるだろう。4大国の枠内でのみ、安全保障問題の解決は可能だ。そしてロシア政府には、そのための良い条件がある。中国とは、特別な良い関係にあるし、米国とは関係正常化に向けた展望が開かれようとしている。そして12月半ばの、プーチン訪日後、日本とも質的に新しい関係が築かれようとしているからだ。

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    露米関係, ドナルド・トランプ, 中国, 米国, ロシア
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