慰安婦像が日韓を仲たがい

© AFP 2023 / Jung Yeon-Je慰安婦像が日韓を仲たがい
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釜山の日本総領事館の対面に慰安婦被害を象徴する少女像が移設されたことを受け、昨年末の12月28日、在韓国日本大使館の長嶺安政大使と在釜山総領事館,の森本 康敬総領事は一時帰国の命を受けた。両外交官とも岸田外相との懇談を行なう構え。

長嶺大使は帰国の便に乗る前にソウルの国際空港で行なった記者会見で慰安婦像の設置をめぐる状況について「極めて遺憾」と述べている。日韓の外務省レベルではある種の合意が達成されたかに見えていた上、日本は政府レベルで(政府レベルであるという事実は韓国側には非常に重要)第2次大戦中の元慰安婦の支援団体に10億円の拠出も終えている。日本はこれにより、日本兵のために慰安婦として働かされた韓国人女性への慰謝料支払問題は解決したと考えていた。にもかかわらずなぜこの問題がまた二国間に鋭く立ち上がってきたのだろうか?

「慰安婦」問題 - Sputnik 日本
日本、韓国の慰安婦財団に10億円を拠出
この問題についてロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長はスプートニクからのインタビューに次のような見解を表した。

「慰安婦問題は純然とした政治的物質的な側面のほかにも根の深い感情的な内容を含んでいる。この問題は長年にわたって非常にアクティブに日韓関係の中で世論にも、そして韓国指導部にも利用されてきた。このため両国の公式人の間で最終的に賠償合意が達成されたにもかかわらず、韓国世論はこれで口をつぐむことはなかったのだ。韓国国民の多くはこの合意は日本が戦争犯罪を認め、懺悔することで達せられたものではなく、あきらかに米国からの圧力によるものと捉えている。」

ジェビン氏は、日韓は米国にとってこの地域における主たる同盟国であるため、両国間に定期的に持ち上がる緊張を頑として受け付けようとしないとして、さらに次のように語っている。

「米国にとっては第2次対戦中の重苦しい暴力という日韓の昔からの意見の相違は一刻も早く忘れ去られるほうがいい。両国とも米国の同盟国としてアジア太平洋地域における米国の軍事プレゼンスの強化プランに積極的かつ整然と参加してきており、その領域には近未来にも米国のMDが展開されるものと期待されている。最終的な目的はこの地域に強固な3方向の軍事ブロックを築くことにある。

だが日韓の意見の相違はこのプロセスを明らかに阻害するものだ。このため米国は同盟国らに圧力をかけ続けてきた。

韓国の広範な世論はもちろんのことこれをよく知っている。このため日本が形式的に謝罪しても精神的には満足感を得ることができず、またいつもの関係緊張化が生じてしまった。これが物語るのは支払がなされようが第2次大戦中の『慰安婦』問題は全く解決済みにはならないということであり、この先も長きにおいて二国間関係を蝕むだろうということだ。他の二次的問題となったかのように見えるものも同じく浮上するだろう。竹島問題などはより一触即発的な性格を持っている。」

こうした展開は日本政府にも受け付けられないものであることは明白だ。日本は「慰安婦」問題が歴史の側面から遠のき、日韓関係の政治議題から消えてなくなるのを待っている。ところがジェビン氏は、状況を複雑化させているのはこれを良しとしないのが韓国の世論に留まらないとして、さらに次のように語っている。

「これを良しとしないのは韓国の政治エリート、政権側の一部もそうだ。彼らは韓国での日本の植民地支配は国民にとってはあまりに残酷かつ過酷だったと捉えている。しかも日本も今にいたるまで占領時代の戦争犯罪に十分な償いを行なってきていないという考えを持っているのは体系外にいる野党でもなんでもない。議席を有するれっきとした政治家らなのだ。これは政権与党の一部が日本との諜報情報の交換合意を不服としていることでも説明がつく。

そこをもって最近承認された法修正では自衛隊の海外派遣が可能になった。自衛隊が様々な前提で韓国にも派遣される可能性があると判明するや否や、韓国政府はこうした事態は韓国側の同意なしに行なわれてはならないという厳格な声明を表した。韓国の領域に日本の自衛隊が出現するという事実自体、韓国民の大半には二国間の過去の史実から到底受け入れられない行為として映ってしまう。」

このように日韓が歴史からどんなに遠く離れたところでその間には依然として十分な数の躓きの石が残されており、時折姿を現しては二国間関係の完全な正常化の邪魔をする。スプートニクが日本人を対象に行なった世論調査では回答者の15%が「慰安婦」問題は過去の歴史ではあるが、これを忘れてはならないと考えてはいるものの、ツィッターでもFacebookでも世論調査の参加者の大半に意見は「日本側は犠牲者らに対して可能な限りの謝罪と賠償をすでに行なっており、これ以上は何もできない」に集約されている。

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