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    トランプ氏トランプ氏はオバマ大統領のアジア回帰を終わらせるか?

    トランプ氏はオバマ大統領のアジア回帰を終わらせるか?

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    まもなくオバマ政権が政治の舞台から去り、「トランプと世界」という演目の第1幕が始まる。トランプ・チームの大勢の人々が、オバマ大統領のアジア政策の不明瞭さや弱さを批判したが、民主党政権が自分たちの政策をアジア方面に展開させた時のエネルギーは注目に値する。アジア回帰は明らかに包括的な戦略として考えられたものであり、そこには伝統的な同盟関係や、新旧の「パートナー関係」のあらゆる可能性の発展が含まれるはずだった。戦略開発センターのアントン・ツヴェトフ氏は、このように語っている。

    オバマ大統領は北東アジアで日本との主な同盟原則を刷新することや、韓国との同盟関係の発展過程を維持することに成功した。もちろん韓国との関係では、2010年の韓国哨戒艦「天安」沈没事件から最近の核実験に至るまでの北朝鮮からの絶え間なき不明瞭さの「輸出」が寄与した。さらに米国は近年積極的に同盟国である日本と韓国の「架け橋」もしなければならなかった。2016年3月、難しい歴史的問題について意見の相違が残っているものの、米ワシントンで米日韓3カ国首脳会談が開かれた。

    また南シナ海をめぐる状況はさらに複雑だ。米国とフィリピンは2014年、フィリピンにおける米国のプレゼンスを強化する新たな協定「米比防衛協力強化協定(EDCA)」を締結した。しかしフィリピンのドゥテルテ新大統領は、EDCAにはまだ触れないと約束したものの、この同盟の強固さに疑問を投げかけた。「NATO非加盟国の主要同盟国(MNNA)」に指定されているタイとの関係発展は、2014年のタイ軍事クーデター後に鈍化し、タイは米国にとって最も都合のよいパートナーではなくなった。

    一方で米国は2期続いたオバマ大統領の任期中にベトナムにとって最大の輸出市場となり、同時にベトナムへの米国製武器の禁輸も解除した。ベトナムは今後も米国にとって中国封じ込めシステムの一部として興味深い国でありつづけ、ベトナムはその米国の関心を中国と地域の小さな国々の摩擦が維持されている間は歓迎するだろう。

    なお中国と米国間の摩擦も排除されてはいない。トランプ氏が米大統領選挙で勝利した後に台湾の蔡英文総統から祝辞を受け、同氏と電話会談したことは中国にショックを与えた。米中が国交を樹立した1979年以来、米大統領や米次期大統領が台湾総統とやりとりしたことはなかった。それは「一つの中国」原則を維持するためだった。トランプ氏はタイムズ紙とビルド紙のインタビューで、「一つの中国」原則は信仰の象徴ではなく交渉の対象だと述べた。これに対して中国紙「Global Times(環球時報)」は、「トランプ氏は中国の報復の威力に驚くだろう。もし彼があえて『一つの中国』原則に害を与えるならば」と報じた。

    恐らくこの脅迫を、最近の遠征で中国の空母「遼寧」率いる艦隊が台湾の周りを初めて1周したことが裏付けている。同時に南シナ海の人工島で新たなMDシステムやその他の軍事施設が確認されている。米新政権は、オバマ大統領が東シナ海および南シナ海における中国の活動や中国の経済拡張に対して毅然としたしかるべき態度で反応しなかったため、中国は地域における自国の立場を強化し続け、また多くの国が自国の経済や外交路線を多角化するようになり、それは時に米国のためにならなかったと考えている。次期国務長官候補のレックス・ティラーソン氏はこれについて、「島の建設はやめるべきだ」と述べ、もし中国にこれらの海域を通過する条件を決めることを許すならば、南シナ海の状況は「すべてのグローバル経済の脅威となるだろう」と述べた。

    なお、地域に自由貿易と投資の活動的なゾーンをつくることを目的としたオバマ政権下で署名されたTPP協定を破棄するというトランプ氏の約束も、グローバル経済の脅威になる可能性がある。TPP協定の破棄は、オバマ大統領のアジア回帰のあらゆる経済要素を脅かす。オバマ大統領のベン・ローズ副補佐官(国家安全保障問題担当)は、「TPP合意からの米国の撤退は自分の足を撃つようなもので、中国に利益を与える」と比喩的に表現した。

    オバマ大統領のアジア回帰は、危機後の数年間と重なり、当初から費用の観点から見て有効なものであるべきはずだった。このメカニズムは「principled security community」と呼ばれた。同メカニズムでは、米国のより強力な同盟国でありパートナー国である日本、韓国、インド、オーストラリアは、より弱くて新しい、例えばベトナムやフィリピンをサポートしなければならない。まさに安全保障分野におけるベトナムやフィリピンの日本との積極的な協力、ならびに安倍首相による最近の東南アジア諸国4カ国歴訪は、この論理によって説明することができる。

    しかし米新政権のアジアにおける方針はまだ完全には明らかではなく、中国も日本もその他の多くの国々も、そしてアジア以外の国も、当惑してはいるものの、冷静になり、トランプ氏の論理を理解し、同氏が今後実際にとる行動を見極めようとしている。

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