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    中国企業がクリル諸島のインターネットを敷設。日本企業はどこへ?

    中国企業がクリル諸島のインターネットを敷設。日本企業はどこへ?

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    アンドレイ イルヤシェンコ
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    2年も経たないうちに、クリル諸島のゲーマー達はついに心ゆくまで『バトルフィールド』で遊べるようになる。現在、クリル諸島のインターネット通信は、そもそもインターネットが引かれているところではの話だが、衛星回線を利用している。信号は弱く、当然、オンラインゲームにはほとんど使えない。概して、このような通信状況では、島の社会経済発展計画にとっても、今後予定されている日ロ共同経済活動にとっても決して十分とは言えない。しかし、状況は変わり始めている。

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    © 写真: Russian Presidential Press Office/Sergey Guneev
    1月半ば、ロシア通信大手の「ロステレコム」は、海底光ファイバー通信回線『サハリン-クリル諸島』の海底ケーブル、陸揚げ局および付随する陸上インフラの設計に関する公開入札で、中国大企業Huaweiが勝ち残ったことを発表した。この回線はインターネットアクセスやVPNサービスの利用、通信回路のレンタルを可能にするほか、ネットワークリソース全体を拡大させるものである。

    計画では、海底光ファイバー通信回線はサハリン州の州都ユジノサハリンスクとクリリスク(紗那、択捉島)、ユジノクリリスク(古釜布、国後島)、クラボザヴォツコエ(穴澗、色丹島)をそれぞれ結ぶことになる。回線の総延長は約940キロメートル。当初の回線容量は各島向けにそれぞれ40ギガビット/秒となり、最大80×100ギガビット/秒まで増設が可能である。

    「ロステレコム」社長のセルゲイ・カルギン氏によると、「『サハリン-クリル諸島』プロジェクトの実現により、気候条件の厳しい地震地帯に高い信頼性を持った通信回線をつくることが可能になり、クリル諸島住民に近代的で質の良いテレコミュニケーションサービスを提供することができるようになる。新たな海底光ファイバー通信回線は、通信ケーブルの大容量化やトラフィック制限の解消を可能にするほか、緊急出動、警察、消防、緊急事態対応といったサービスへの接続を可能にする」という。

    回線敷設費用の総額は概算で33億ルーブル。しかし、プロジェクトは非営利のものであり、その社会的意義は間違いなく大きい。住民一世帯あたりに換算した場合の費用は約60万ルーブルとなる。これはこの種のプロジェクトとしてはロシアにとって前例のないレベルの費用であり、支出額がここでは決定的な意味を持たないことを如実に示している。
    総じて、新たな通信回線ができることで、南クリル住民の大陸から隔絶された現状の解消が促されるほか、新たなビジネス環境が整備され、もしかすると、新たなビジネスの方向性も生まれるかもしれない。そしてこれは、日ロの政治関係や島の運命をめぐる交渉の進展に関係なく実現するのである。

    一方で、南クリル諸島における日ロ経済協力の展望が議論され始めた今、新たな通信インフラは当然大きな重要性を持つようになっている。それなのに、日ロ関係の新たな段階を象徴すべき領土において、回線敷設の主要請負業者となったのが中国のHuaweiだというのは、いささか逆説的な気がする。

    同社が参画することになったのは決して偶然ではない。2016年秋、「ロステレコム」は『カムチャッカ-サハリン-マガダン』区間の海底光ファイバー通信回線の商業運転を開始した。その際、「ロステレコム」のパートナーとして設備機器の納入と海底光ファイバー通信回線の海底部分の建設作業を担ったのがHuaweiである。同社にとっては、これがロシアで初めての海底ケーブル敷設プロジェクトとなった。
    そして今回、Huaweiは南クリル諸島に取り組むことになる。極東発展大臣のアレクサンドル・ガルシカ氏によると、極東でのロ中協力は極めて活発に発展しており、中国から総額30億ドルの投資を誘致するプロジェクトが23件実施されている。

    12月のプーチン大統領の訪日では、81の協定や覚書を含む、幅広い経済文書が締結された。そのうち、23件が極東での経済協力に直接関連するものである。しかし、これらはまだ計画でしかなく、この中に南クリル諸島の住民に直接関係するようなものは、今のところ見当たらない。

     

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    露中関係, 露日関係, クリル諸島
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