20:05 2017年09月23日
東京+ 22°C
モスクワ+ 13°C
    演習は戦争に発展するか?

    演習は戦争に発展するか?

    © REUTERS/ Kim Hong-Ji
    オピニオン
    短縮 URL
    ドミトリー ヴェルホトゥロフ
    31324143

    2017年3月、韓国で毎年恒例となる軍事演習Key Resolve/Foal Eagleが開催されている。アメリカと韓国の陸海空軍が参加する、世界最大級の軍事演習だ。

    毎回北朝鮮が激しく反発するこの軍事演習には1つの興味深い特徴がある。数多くの発表がなされるにもかかわらず、メディアには重要な詳細が一切漏れてこないということだ。情報は極めて一般的で、量も少ない。 手元の情報によると、今回の演習の全体規模はおおよそ昨年と同じになる:米軍が1万7,000人、韓国軍が300,000人だ。戦略兵器も動員される。アメリカと韓国は既に空母の参加について合意しており、おそらく、USS Carl Vinsonが参加するだろう。この空母は護衛艦を伴って南シナ海で哨戒活動を行っており、演習の開始に合わせて釜山に入ることになっている。またこの軍事演習には、おそらくVirginia 級となるだろうと思われるが(2006年にはSSN-777 North Carolinaが参加した)、原子力潜水艦も参加する。パールハーバーにはこのクラスの潜水艦が3隻所属している:SSN-775 Texas、SSN-776 Hawaii、SSN-777 North Carolinaだ。このうちの一隻が演習に派遣される可能性がある。これは最新の潜水艦で巡航ミサイルBGM-109 Tomahawkを 12発搭載する。またこの演習には岩国基地から固定翼機F-22 Raptorが、第7爆撃航空団から爆撃機B-1B Lancerが参加する。4機の爆撃機がグアムのアンデルセン基地に派遣されている。

    兵器の構成では、今回の演習は前回のものとそれほど変わらないが、 今回の演習は特に緊張した情勢の下で行われる。北朝鮮は一連のミサイル発射実験を実施しており、2017年2月12日には新型ミサイルPukguksong-2の発射も成功させ、これにより北朝鮮軍のミサイル攻撃能力は大幅に高まった。

    また、金正恩の異母兄である金正男がマレーシアで不審死を遂げたことも情勢を先鋭化させている。韓国では、金正恩が暗殺を命令したと考えている。

    昨年の演習Key Resolve/Foal Eagleでは北朝鮮のミサイル基地に対する予防攻撃の訓練が行われた。2017年2月8日、韓国政府が発表したところによると、今回の演習ではミサイル基地の諜報とミサイル発射防止を想定した、新たな威嚇戦略が初めて訓練に移される。演習を指揮するのは韓国軍合同参謀本部(JCS) で、 司令部は米韓連合司令部の地下施設に置かれる。

    ミサイルの脅威は極めて深刻化しており、事実上、日本も演習に合流するほどだ:3月には北朝鮮のミサイル攻撃に対する民間防衛演習が予定されている。J-Alertシステムの試験および政府・国民の避難訓練が行われる。ミサイルの飛行時間は15分以内であるため、演習の条件はかなり厳しいものとなる。

    しかし、最も重要な問題は、演習が軍事衝突に発展するかどうかという点にある。答えはおそらくノーだろう。米国と韓国の目的は今のところ北朝鮮を威嚇することだけである。そうでなければ、作戦準備にもっと多くの兵力を動員しているはずである。北朝鮮にとっても演習中に攻撃を仕掛けるのは決して得策ではない。なぜなら、米国と韓国の諜報機関は最高の警戒態勢にあり、サプライズ効果を利用できなくなるからだ。

    しかし、演習期間中、双方はおそらく戦闘行為の訓練と敵の偵察の機会を最大限利用するだろう。米国と韓国はミサイル基地と機動型ミサイルの発見に全兵力を投入すると考えられる。北朝鮮は自らの兵力をうまく利用して敵の反応を探るだろうし、また、レーダー対策の方法をいくつか試すと考えられる。

    全体として、紛争の可能性は高まっている。まず一点目に、北朝鮮は中国が石炭の購入を止めたことで、輸出の機会を縮小させている。そのため、経済情勢の改善は期待できない。二点目に、金正男の死後、事件の捜査が終了するまでは、交渉の可能性にも疑問符がつく。三点目に、韓国では朴槿恵大統領の弾劾が行われており、当面、国の最高指導者がいない状態となる。北朝鮮にとってはかなり有利な情勢ができあがっており、北朝鮮指導部の絶望的な行動を後押しする要因は揃っている。

    タグ
    日本, 韓国, 米国
    コメント・ガイドディスカッション
    Facebook経由でコメントスプートニク経由でコメント
    • コメント