17:03 2017年12月17日
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    たいやき

    ロシアにあんこを広めた伝説のたいやき屋

    Anastasia Berezenets
    オピニオン
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    徳山 あすか
    3581

    ロシア人にお土産をあげるとき、長らく「あんこは避けた方がいい」と言われてきた。しかしそれも、もう時代遅れかもしれない。何しろサンクトペテルブルグ発の「たいやきカフェ」が人気を博し、ついにモスクワ進出まで計画しているというのである。

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    たいやきカフェのオーナー、アナスタシア・ベレゼニエツさんは、超・あんこ党。旅行先のニューヨークでどらやきを食べ、あんこの何ともいえない甘みと美味しさに感動した。地元・ペテルブルグに戻った彼女は「あんこロス」になり、自分であんこを広めることを決めた。しかし、どらやきは見た目的に普通で、ロシアの朝食の定番「オラードゥシキ」に似てもいる。そこで、目と舌の両方で楽しめるたいやきカフェを始めることにしたのだ。

    独学でたいやきのレシピを研究し、一店舗目が軌道にのり始めた頃、アナスタシアさんに転機が訪れる。日本のテレビ番組の助けで、日本へたいやき修行に行けることになったのだ。子どもの頃から日本が大好きだったアナスタシアさんは夢のような気持ちだった。アナスタシアさんを受け入れてくれたのは北陸一美味しいと言われている「わかば富山店」。特に、頭から尻尾までぎっしり詰まったあんこの美味しさには定評があり、県外からもたいやきを求めて来店する人が後を絶たない。この店の味を支えているのは、この道50年以上の職人で、店主の小澤雄一さんである。

    小澤さんはアナスタシアさんについて「優しくて気持ちの良い子で、仕事に対する、つまりたいやきに対する強い気持ちがあります。商売の素晴らしいセンスをもっていて、ロシアであれだけのことができるのはすごいと思います。店舗を増やすのは簡単ではないので、逆に、彼女に教えてもらわないといけませんね」と話す。

    アナスタシアさんと小澤さん
    © 写真: Anastasia Berezenets
    アナスタシアさんと小澤さん

    実際に小澤さんのもとで修行できたのはわずか4日間という短い期間だったが、アナスタシアさんは今でも小澤さんのことを「先生」「日本のお父さん」と呼び、尊敬して慕っている。修行後、たいやきへの愛はますます加熱し、昨年サンクトペテルブルグに面積の大きい二店舗目をオープンさせた。看板メニューも、それまで使っていた中国産のこしあんから、小澤さんに教わったレシピに基づいたつぶあんに変更した。アナスタシアさんは開店資金を捻出するため、なんとマンションを売却。それでも足りなかったのでクラウドファウンディングで資金を募ったところ、65万ルーブル(約126万円)集まり、目標額に到達し開店にこぎつけることができた。なんと最も多額の寄付をしてくれたのは、日本人男性だった。アナスタシアさんは「その方に、本当に心から感謝しています」と話す。

    ロシアでは、カフェは日本のレストランのような機能をもつ。「きちんとした食事もできるカフェにしたい」ということで、たいやき以外にもカレーライスなど新メニュー開発に余念がない。桜餅など純粋な和菓子から、ほうじ茶クリームプリンなど、和洋折衷のスイーツもある。また、店舗では草履作り、墨絵、生け花、書道など各種マスタークラスも開催されている。ロシアにおいて日本好きの人々は増えてきたが、まだまだ日本への旅行は敷居が高く、若い人にとって旅費を工面するのは簡単ではない。たいやきカフェは日本に行かずして日本文化に触れられる貴重な場となっているのだ。

    • アナスタシアさん(前列左)と仲間たち
      アナスタシアさん(前列左)と仲間たち
      © 写真: Anastasia Berezenets
    • 店内風景
      店内風景
      © 写真: Anastasia Berezenets
    • 抹茶クリーム味もあるよ
      抹茶クリーム味もあるよ
      © 写真: Anastasia Berezenets
    • 天然もののたいやき型
      天然もののたいやき型
      © 写真: Anastasia Berezenets
    • 草履作り講座
      草履作り講座
      © 写真: Anastasia Berezenets
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    © 写真: Anastasia Berezenets
    アナスタシアさん(前列左)と仲間たち

    ペテルブルグにはたいやきカフェの他にも、セバスチャンさんのたこやき店仙台ラーメンのヤルメン、お茶の福寿園など、日本の雰囲気を楽しめるスポットがたくさんある。ここ近年、日本ブームが広がっている理由について、アナスタシアさんは「時が来たということ。日本にあこがれて、自分の夢を実現したいと考える世代が、ようやくそれを実行できる年齢になったのだと思います」と話している。三店舗目の開店が待ち遠しい。

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    文化, 露日関係, 食品, 日本, ロシア
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