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    世界は気候変動に関するパリ協定からの米国の離脱を非難する

    世界は気候変動に関するパリ協定からの米国の離脱を非難する

    © AFP 2017/ Saul Loeb
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    リュドミラ サーキャン
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    米国のトランプ大統領は、2015年に気候変動との戦いのために締結されたパリ協定からの米国の離脱を公式に明らかにした。 彼はその理由として、この協定が、米国経済を台無しにし、雇用の縮小をもたらし、他の国々との関係において米国を不利益な状態に置くからだと説明した。

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    米国大統領のそうした決定は、避難の嵐を呼び起こした。米国内でも反応は一様ではない。カリフォルニアやワシントンそしてニューヨーク州知事などは、トランプ大統領の決定に反旗を翻し、パリ協定支持を表明した。電気自動車(EV)メーカーのテスラ及び宇宙開発企業Space Xのイーロン・マスクCEOやウォルト・ディズニーのロバート・アイガーCEOなどは、ホワイトハウスの助言機関を辞任することを明らかした。

    ​また世界的なソーシャル・ネットワーク・サイト「フェイスブック」を設立したマーク・ザッカーバーグ氏も、トランプ大統領の決定に極めて否定的な立場を取り、次のような考えを発信した-「気候変動に関するパリ協定からの離脱は、環境にとっても経済にとっても悪い。それは、未来の我々の子供達をリスクにさらす。我々は、自分達にできる事として、我々が建設する新しいデータ・センターそれぞれが、再生可能エネルギーで100%稼働するようにするつもりだ。

    先に伝えられたところでは、トランプ大統領の娘のイヴァンカさん、彼女の夫のクシュナー大統領上級顧問も、パリ協定からの米国の離脱に反対の意見を述べたとの事だ。

    国連を含めた国際機関の代表者や各国の指導者達も、ネガティブな反応を示した。ドイツのメルケル首相やフランスのマクロン大統領、イタリアのジェンティローニ首相らは、トランプ大統領の決定を批判する共同声明を発表した。英国のメイ首相、カナダのトルドー首相、オーストラシアのターンブル首相などその他多くの国々の首脳達も「深い失望」を明らかにしている。朝日新聞の報道では、日本の山本公一環境相も、2日午前、定例記者会見に臨んだ際、トランプ氏を強い調子で非難し、次のように述べた-

    「やっとここまで来たという人類の英知に背を向けた。失望に加えて、怒りも覚える。先進国も新興国も温暖化対策に取り組むという世界的な潮流は変わらない。」

    一方中国は、厳しい批判を控え「米国が離脱しても、我が国は合意を遂行する」と約束した。経済大国として中国は、気候変動との戦いにおいて、国際社会に対し特別の責任を負っている。長い間中国は、温室効果ガスの排出量で米国を上回って来た。おまけに、現在に至るまで中国のエネルギー産業は、かなり石炭に依存している。しかし中国政府は、再生可能エネルギーへ移行する固い決意を表明しており、国内で生じている変革のスピードは印象的なものとなっている。現在中国内では、太陽熱や風力発電所が、世界のどこよりも多く建設されている。また中国は、近い将来、電気自動車利用において世界のリーダー国となるよう努力している。さてロシアだが、今後もやはり自らの義務に忠実であることを明らかにしたが「米国の離脱は、協定そのものに影響を及ぼすだろう」と強調した。

    ドミトリイ・ペスコフ大統領報道官は「協定の効果が、鍵を握る参加国が抜けることで減少するのは明らかだ」と述べている。またロシアのセルゲイ・ドンスコイ天然資源・エネルギー相は「米国の離脱は、地球温暖化防止領域でのリーダーのイメージを台無しにしている。低炭素経済への移行という世界的傾向は、もう後戻りできない。ロシアは、2020年までにパリ協定を批准するつもりだ」と指摘した。

    先日スプートニク日本記者は、「グリンピース」ロシア支部エネルギー問題担当責任者である、ウラジーミル・チュプロフ氏に話を聞いた。氏は「グリンピース」の立場について、次のように説明している-

    トランプ大統領は、米国の進歩を止めようとするかもしれない。しかし、他の世界全体は、未来を目指している。人類には、エネルギー安全保障及び気候変動の諸問題を解決する唯一現実的な道がある。それは、省エネ技術を積極的に用いながら、再生可能エネルギー源に転換してゆくという道だ。すでに世界30カ国以上で、太陽熱や風力発電が、化石燃料を燃やす従来の発電より安価になった。

    昨年は、石炭にとって後戻りのできないターニングポイントとなった。G7のうち3つの国が、石炭燃料を使わないと発表したのだ。インドと中国では、石炭燃料による火力発電所100以上の建設が凍結された。一方世界全体で、そうした建設プロジェクトは62 %も減少した。多くの国々では、新しい発電所建設において、再生可能エネルギーに対する投資が、伝統的な化石燃料による発電所に対するものの2倍になった。

    もしトランプ氏が、気候変動との戦いのテンポを遅くすることができたとしても、大きな代償を支払う事になるのは米国民自身だろう。米国は、海面の上昇や、より頻繁な炎暑、その他の異常気象に苦しむ可能性がある。

    国の安全保障上のリスクも増えるだろう。トランプ氏は、米国におけるクリーンエネルギーへの移行を遅らせる事となるが、その際米国人は多くの働き口や経済的将来性を失ってゆく。しかし彼は、そうしたプロセスを止めることはできない。経済そのものが、彼のやり方に反対して動いている。米国最大の石炭企業、マレー・エナジーを保有するロバート・マレー氏でさえ、雇用を石炭産業に再び呼び込むのは不可能であり、働き口が、法的制限のためではなく、テクノロジーの発展により失われたことを認めている。太陽熱や風力発電は、米国の他の経済領域より12倍も速いスピードで、雇用を作り出しており、現在太陽熱発電分野では、石炭産業の2倍の人達が働いている。こうした部門で働いている人達が、自分達の将来をトランプ大統領が台無しにするのを、恐らく黙って見ているはずはない。」

    米国のパリ協定離脱から生じる深刻な影響は、こうした事ばかりではない。政治的な影響も大きい。つい最近イタリアで開かれたG7首脳会議は、主要7カ国のリーダー達が、米国を、信頼できるパートナーとして受け入れるのをやめるかもしれないことを示した。彼らは、米国が、気候変動のみならず貿易や安全保障その他の問題でも、自ら負った責任を果たさないのではないかと疑い始めている。

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    環境, ドナルド・トランプ, 米国
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