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その際プーチン大統領は、改めて「クリルでの露日協力の成功は、地域の安全保障問題の解決いかんに直接かかっている」と強調した。
これに対し、袴田茂樹教授は、産経新聞の取材に応じた中で、ロシア国境に近い日本領土内に米国のミサイル防衛システムТHААD.が配備される可能性があるとのロシアの懸念に、懐疑的な見方を示した。袴田教授は、プーチン大統領は、日本に南クリルを返さないための新しい口実を単に探しているのだと捉えている。こうした教授の見方に対し、ロシアの専門家アナトリイ・コシキン氏は、情報通信社レグヌムが14日に発表した論文の中で、次のように反論した。以下その内容を、簡単に御紹介したい。
コシキン氏は、日本の同僚に対し、1956年10月19日に調印されたソ日共同宣言が現実のものとならなかった悲しむべき歴史について、注意を促している。この宣言によれば、ハボマイとシコタンの2島は、日本に引き渡されるはずだった。コシキン氏は、次のように指摘している-
「ソ連と日本の関係史を研究するすべての専門家は、他でもない1960年の日米安保条約の再締結により、1956年に達成された条件下での平和条約の調印が不可能になってしまった事を、よく知っている。」
コシキン氏の意見によれば、米国のミサイル防衛システムTHAADは、あらゆることから判断して、北朝鮮の未完成の弾道ミサイルに対するものではない。そうした目的のためには、すでに日本国内にあるミサイル防衛手段で十分である。コシキン氏は「韓国と日本におけるTHAADシステムは、何よりも米国が、ロシアや中国を封じ込めるために必要なのだ」と指摘している。
いずれにしても、安倍首相とプーチン大統領がともに成功裏に保ち続けようと努力している対話は、両国のリーダーが、関係と協力の維持を断固目指している事を示すものである。それが領土問題解決を助けるかどうか、それは、ある程度時間がたってみないと分からない。